【レストラン会計講座】小規模企業共済での節税のメリットを解説します!

飲食店経営者の多くが、「小規模企業共済」というものを知らないのではないでしょうか。

また名前は知っていても、飲食店経営でこの共済に入れるのか、入るべきなのかなどがわからないという人も多いはずです。

そこで今回は、飲食店経営者が必ず知っておきたい「小規模企業共済」について解説していきます。

1 必ず入るべき!?小規模企業共済

小規模企業共済は、国の機関の1つの中小機構によって運営されている、共済制度です。

この制度は、経営者や個人事業主のために作られていて、積み立てによって成り立っている退職金制度となっています。

小規模企業共済の制度を利用するとかなりの節税効果が見込めます。

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国の政策の実施機関である中小機構の運営なだけあって、中小企業の経営者にとってはかなり得な制度です。

ほとんどの中小企業経営者にとっては、必ず入るべき制度と言えます。

しかし、デメリットも無いわけではないので、しっかりと確認して必要かどうかを見極めましょう。

2 小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のメリットは大きく分類して

節税効果がある
資金調達ができる
積立額以上のリターン

の3つがあります。

2-1 節税効果がある

この共済には、掛け金が非課税であること、共済金が退職所得として課税額の小さい所得となること、の2つの節税効果があります。

2-1-1 掛け金

共済の掛け金は基本的に全額が経費計上できます。

小規模企業共済も例にもれず、掛け金が経費、または所得控除とすることができるのです。

こうすることで、課税対象から掛け金が外れ、退職金を自社で蓄えておくよりも、お得になります。

2-1-2 退職金

退職金は、「退職所得」という収入として扱うことができます。

この小規模企業共済は、掛け金には税金はかかりませんが、受け取る共済金には税金がかかってしまいます。
しかし、本来の「事業所得」よりも課税額が小さくなるので、かなり大きな節税となるのです

2-2 資金調達ができる

小規模企業共済の制度の中に、「契約者貸付制度」というものがあり、積み立てた金額を借りることができます。

これは、資金繰りに困窮した時に使うべきものです。

ですが、本当に困った時の手段の1つとして持っておくことは、安定した経営をする上で大切でしょう。

2-3 積み立てた額以上が返ってくることも

小規模企業共済の共済金は、納付月数によって額が変化します。

20年(240ヵ月)より長く納付している場合は、満額以上が共済金として返還されることになります。

20年以上の加入であれば確実に得をすることができますね。

3 小規模企業共済のデメリット

小規模企業共済のデメリットは、

受け取り時の課税
掛け金が満額返ってこない場合がある

です。

3-1 受け取り時の課税

受け取り時には、その金額分が所得として換算されることになります。

つまり、小規模企業共済に積み立てをすることは、完全に税金の支払いを回避したということではないのです。

そのため、受け取るタイミングでまとまった課税がかかってしまいます。

ただし、受け取る時に「退職所得」として税額が算出されるので、支払う額は、非加入時よりも少なくなります。

3-2 掛け金が満額返ってこない場合がある

20年以上の納付が、共済金が掛け金の満額以上となる条件ということは、先ほど説明しましたね。

このことを逆に考えると、20年に満たないタイミングでの解約は、掛け金が受け取れる金額よりも大きくなってしまう可能性があるということが言えます。

節税効果などを踏まえると、完全に20年に満たなくても得をできる場合がありますが、数年で解約をしてしまうと損になるでしょう。

4 共済金の種類と条件

ここまでで、もらえる共済金にはパターンがあることが分かったと思います。

受け取ることができるのは、3つの共済金解約手当金の4パターンです。

4-1 共済金A

共済金Aは、受け取れる金額が1番大きいです。

可能な限り、この共済金Aの形で受け取れるようにしましょう。

受け取れる額の具体例はこちらです。

例)月の掛け金が1万円の場合

納付年数 受け取り可能額 総納付額 差額
5年(60ヵ月) 621,400円 600,000円 +21,400円
10年(120ヵ月) 1,290,600円 1,200,000円 +90,600円
15年(180ヵ月) 2,011,000円 1,800,000円 +211,000円
20年(240ヵ月) 2,786,400円 2,400,000円 +386,400円

以下の場合で、共済金Aを受け取ることができます。

4-1-1 個人事業主の場合

個人事業を廃業した場合
共済契約者の方が亡くなられた場合

4-1-2 法人(株式会社など)の役員の場合

法人が解散した場合

4-1-3 共同経営者の場合

個人事業主の廃業に伴い、共同経営者を退任した場合
病気や怪我のため共同経営者を退任した場合
共済契約者の方が亡くなられた場合

4-2 共済金B

共済金Bは、共済金Aについで受け取れる金額が大きいです。

受け取りのルールは共済金Aよりもハードルが低くなります。

受け取れる額の具体例はこちらです。

例)月の掛け金が1万円の場合

納付年数       受け取り可能額  総納付額 差額
5年(60ヵ月) 614,600円 600,000円 +14,600円
10年(120ヵ月) 1,260,800円 1,200,000円 +60,800円
15年(180ヵ月) 1,940,400円 1,800,000円 +140,400円
20年(240ヵ月) 2,658,800円 2,400,000円 +258,800円

以下の場合で、共済金Bを受け取ることができます。

4-2-1 個人事業主の場合

老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)

4-2-2 法人(株式会社など)の役員の場合

病気、怪我の理由により、または65歳以上で役員を退任した場合
共済契約者の方が亡くなられた場合
老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)

4-2-3 共同経営者の場合

老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)

4-3 準共済金

準共済金は、共済金の中では1番受け取れる金額が小さいです。

得する金額の幅は小さくなりますが、損になることはありません。

受け取れる額の具体例はこちらです。

例)月の掛け金が1万円の場合

納付年数 受け取り可能額 総納付額 差額
5年(60ヵ月) 600,000円 600,000円 +0円
10年(120ヵ月) 1,200,000円 1,200,000円 +0円
15年(180ヵ月) 1,800,000円 1,800,000円 +0円
20年(240ヵ月) 2,419,500円 2,400,000円 +19,500円

以下の場合で、準共済金を受け取ることができます。

4-3-1 個人事業主の場合

個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合

4-3-2 法人(株式会社など)の役員の場合

法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合

4-3-3 共同経営者の場合

個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をする場合

4-4 解約手当金

解約手当金は、上記の共済金を受けとるための条件を満たせなかった場合に受け取ることができます。

この場合、受取額が掛け金を下回ってしまう可能性があるので、充分に気を付けましょう。

また、受取金額が掛け金を下回ってしまった場合でも節税額を踏まえるとトータルで得ができる場合があります。

以下の場合は、解約手当金を受け取ることになります。

4-4-1 個人事業主の場合

任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合

4-4-2 法人(株式会社など)の役員の場合

任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)

4-4-3 共同経営者の場合

任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)
共同経営者の任意退任による解約
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をする場合

4.5 共済金の種類と条件のまとめ

ここまでで、小規模企業共済の共済金の種類について説明してきました。

この共済のいいところは、基本的にもらえる共済金が掛け金を下回ることがないということです。

解約手当金に該当する場合は基本的に、途中で自分から解約した時ですので、特別な事情がなければ、必ず続けましょう。

共済金の受け取り額は大きい方が良いですが、それとは別に節税効果もあるので、どんな条件であれ加入することがおすすめです。

5 小規模企業共済まとめ

小規模企業共済に入るメリットが多いことはわかってもらえたと思います。

この小規模企業共済は、デメリットが非常に小さく、節税や節約の効果がとても高いです。

デメリットである

受け取り時の課税
掛け金が満額返ってこない場合がある

は2点とも、金額的な損失がほとんどなく、数年の納付で充分に得をすることができます。

小規模企業共済に限らず、税金対策は、料理やサービスのクオリティを下げずにできる節約です。

お店の経営に直接関わりながらも、質には影響を与えないことから、絶対に軽視できないポイントです。

小規模企業共済の加入は、必ずやるべきですが、

内容が難しく、取り入れにくい
手続等が手間

などの難点もあります。

本記事ではなるべく丁寧に説明したつもりですが、それでも面倒だと感じた方は、プロに任せるのも選択肢の1つでしょう。

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