「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エス・ディー・ジー・ズ」と呼ばれます。
2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標で、2030年までの目標として国連に参加している国が「SDGs」の17の目標を達成するために動いていこう、という取り組みです。
17の項目の中に細かな達成目標が10点ずつほどあり、合計169の目標によって形成されます。
終戦後10年近く、いわゆる高度経済成長期と呼ばれる時期に工業が大きく発達し、その影響で大気汚染が発生してしまいました。
近隣住民の健康にも被害が及んでしまったため、結果的には企業発展のために起こった公害となってしまいました。
それ以降法律等が整備され、今や環境保全は企業や店舗ひとつひとつが果たすべき使命となったのです。
企業や店舗の魅力を上げる省エネにもつながり悪いことばかりではないのです。
1990年後半から2015年頃に生まれた世代、いわゆる”Z世代”と呼ばれるような世代は、地球温暖化や東日本大震災など、環境に関した大きなニュースを生まれたころから目にしており、「環境保全は近い将来の自分に関係することである」と実感しているため、環境保全に関したワードに対しては非常に意識が高いという特徴があります。
今や「人生百年時代」とも言われているように寿命が100年近くまで伸びるほど医療が発達しているという時代にあります。
あと80年近く生きていかなければならない中、環境問題は身近なものであり改善しなければならない課題だと多くの若者が感じています。
若者世代をターゲットとした店舗では、”SDGs”には一層気を使わなければならないでしょう。
環境意識の徹底は、スタッフにも影響を与えます。
クリーンな職場で働くという感覚が、「ここで働く意味」ややりがいにつながり、長期的な雇用をできる可能性を高めます。
今や環境意識は企業・店舗の魅力のうちの一つであるという認識となってきています。
17項目別で、それぞれ飲食店が取り組めることについてお話いたします。
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
・「TABLE FOR TWO」
「TABLE FOR TWO」という仕組みがあります。
多くの飲食店が取り組んでいる取り組みで、1食売れるごとに20円の寄付が発展途上国に送られ、来店して注文した側は小さなことから貧困問題の解決に臨めるというものです。
店舗側が捻出するとなると20円は大きいかと思うので、簡単にできる取り組みではありませんが、有用な取り組みの一つです。
飢餓をゼロに
・「こども食堂」などの取り組み
家庭の事情から、「食べたくても、十分に食べられない」こどもがたくさん居ます。
栄養に偏りのある食事しかできない児童を対象に、料理を無償で提供するなどの活動をしている飲食店もわずかながら、存在しています。
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
健康バランスに関した記載をすることで、安心感をもって食事をできる、そのような環境を作ることは生産者の責任のひとつとなります。
社会保険等の完備も中には含まれるでしょう。
・「こども食堂」
さきほどの「2.飢餓をゼロに」と関連性のあるものです。
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
「男性であること、女性であることに関係せず雇用機会・給与は平等であるように」というものが一番身近で考えやすいです。
産休に入った女性スタッフも、いつでも戻りやすいオペレーション・雇用形態をつくっていくことで社員満足にもつながります。
男性や女性を指し示した特定の言葉遣いを控えた接客をするなど、見えにくいところではありますが配慮に気を付けるべきポイントではあります。
昨今は、オールジェンダーのトイレなども街中には増えています。
オールジェンダートイレがあることで、LGBTQに属する方が来店を考えるきっかけにもなります。
ただ規模の小さい店舗だと、男女で分けることすら難しい場合もあるので、必ず取り組むべき項目ではありません。
すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
生活排水を綺麗にして流すなど、生活面でできることが大きいです。これらの取り組みをすることで海に流れる排水を綺麗に保つことができます。
衛生管理上、重飲食業だとグリストラップの設置はほぼ必要条件ともなっていているので、特別機にする必要はないでしょう。
すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセ
ント・ワークを推進する
これは、「安定した働き方」「働きがいのある人間らしい仕事」「経済的な豊かさ」「国内総生産(GDP)の成長」などを目指すものです。
過労死を防ぐための人材マネジメントも考慮しなければなりませんし、
手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」
「強靱(レジリエント)なインフラ」は、「問題が起こってもいち早く修復できるインフラ」を目指しています。
インフラの整備がなされることによって、働きやすい場をつくり、生きがいをつくることにも関わります。
現金商売がほとんどである飲食業。オペレーションの自動化・インフラの整備によってスタッフの負担が減れば、仕事もしやすく結果的に仕事へのモチベーションの向上にもつながるのではないでしょうか。
これは、日本人と外国人の雇用機会などの不平等を無くそうという考えがわかりやすいです。
飲食業となると、接客において高い日本語能力が問われるため、採用するにも「会話能力は甘めに見てて、完全に平等に!」とすることは難しいでしょうが、外国人の面接機会をきちんとつくることは「10.人や国の不平等をなくそう」の達成に寄与するのではないでしょうか。
参考程度にですが、コンビニアルバイトの経験がある外国人はかなり高い日本語能力が必要とされるため、飲食の場で大きく活躍できるかもしれません。
国柄によって、にこやかで元気のいい人もいるので、店の雰囲気づくりに大きく貢献してくれる可能性もおおいにあります。
いかがでしたでしょうか?17の目標のうち、今回は10番までお話しました。
ひとつの取り組みはひとつの目標を達成するだけでなく様々な開発目標に深く関与しており、各方面の目標に影響を与えます。
環境のためにも、まずは身の回りの小さなことからひとつずつ行っていくのはいかがでしょうか。