クラウドキッチンとは、デリバリーやテイクアウトに完全特化した厨房施設のことを指します。
食事をするスペースがなく、あるのはキッチンスペースのみという、きわめてミニマルな施設です。
開業にあたり、大きな資金を準備する必要がなく、新しい外食の体形として注目されています。
類語として、「ゴーストレストラン」「シェアキッチン」など様々なものがあります。
場合によって意味合いは変わりますが、
ゴーストレストランは、食事スペースのないレストランという体形、それを行うための設備・施設のことをクラウドキッチンと呼ぶようです。
シェアキッチンはホステルや寮などで宿泊者が共有する場所・宿泊施設での意味合いが強いです。
コロナ禍による、引きこもり需要から、「店で買い、持ち帰って家で食べる」という行動が重視されるようになり、そこからテイクアウト・デリバリー特化のクラウドキッチンが注目されるようになりました。
ここ数か月は外食産業に活気が戻り始めましたが、テイクアウト・デリバリーの需要がなくなったわけではないでしょう。
まず、入居する際に初期費用として100万円ほど支払う必要があります。
ほとんどのクラウドキッチンが水光熱設備などが揃った状態で譲渡されるため、工事費の支払いをする必要がありません。
約1000万円近くかかる飲食店開業と比べると、10分の1近くまで資金を抑えることができます。
さらに月々支払う必要のある家賃ですが、一般的にはガス・水光熱費も込みで定額の料金となっていることがあります。
東京都内では15～25万円近くかかり、中央区など地価の高い地域であれば50万円近くかかることも。
一般的な家賃と変わらないですが、売り上げの10％弱を数十万円の家賃に合わせて支払う施設もあります。
もしデリバリーサービスをで料理を売る場合、何処のサービスでも平均的に35％近くもの手数料を取られます。
複数人雇う必要がなく、人件費が多くかからないクラウドキッチンの場合、材料の原価を可能な限り下げて販売し、デリバリー料金を賄える売値にしなければ商売が成り立ちません。
店舗一軒を持っているわけではなく、あくまでキッチンと少々の倉庫という限られたスペースの中だけで備品や材料の管理をしなければなりません。
大きな備品がたくさんストックされていればいるほど、狭くなり動きづらくなってしまうでしょう。
材料も多く大掛かりな料理を何種類も作りたいと考える場合、あまり適していない体形かもしれません。
時と場合によっては、同じキッチンを他店舗と間借りしあう場合があります。
昼はこちらの営業をし、夜は別店舗の営業など。
そういった場合、きちんと時間以内に業務を終え、退室しなければ多店舗に迷惑が掛かってしまいます。
「自分のペースで自由に進める」という観点で考えると自由さはありません。
ふと、クラウドキッチンの中の1店舗が食中毒を起こしてしまってはどうなるでしょう。
最悪の場合、クラウドキッチン全体が営業停止しなければならないかもしれません。
自分の店で食中毒を起こすだけでなく、巻き添えを食らってしまっては困りますよね。
営業再開してもそれが原因で周りと関係性が悪くなることもありえます。
料理の加熱処理や材料の保存方法に関して、一層気を使わなければなりません。
いかがでしたでしょうか？
クラウドキッチンは料金が安く低リスクであるため、開業が比較的しやすい業態です。
しかしもちろんいいこと尽くしではないということを覚えておきましょう。
