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コラム- 2023/07/17
- #創業融資
日本政策金融公庫と制度融資、どちらがお得?
創業に向けて資金の調達をと思っている皆さん。出来れば条件が良く、今後の事業展開についてもプラスになるような融資先を求めていると思います。そんな時にまず初めに思いつくのが、日本政策金融公庫の「新創業融資」や「経営力強化資金」、地方自治体による「制度融資」です。
この二つの融資方法は、似ている部分もありますが、細かな点で様々な違いもあります。では、日本政策金融公庫と制度融資、どちらがお得なのでしょうか。この記事では、二つの融資を比較しながら、あなたの事業にとって最適な融資の方法について解説していきたいと思います。
日本政策金融公庫の「新創業融資」「経営力強化資金」と、地方自治体の「制度融資」
まず初めに、日本政策金融公庫の「新創業融資」と「経営力強化資金」、地方自治体の「制度融資」の共通点や違いについて、確認してみましょう。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している公的な金融機関です。その理念によって、新しい産業を作り出すことが主な方針となっています。そのため、新たに会社を創設したいと考えている人にとっては、敷居の低い融資を取り扱っていると言えます。
それに対して、地方自治体の制度融資「制度融資」は、主に地方創生に寄与するような会社を支援するという目的を持っています。日本政策金融公庫の融資と、地方自治体の「制度融資」とは、その目的が異なっているのです。そのため、融資において必要な審査基準にも違いがあります。
日本政策金融公庫の場合、資金の融資については、その会社が今後とも利益を出していけるかどうか、という点が鍵になりますが、地方自治体の制度融資の場合には、地方の経済の活性化に寄与できるかどうかが、融資に際しての大きなポイントになってきます。ですから、どちらがお得かということは、一概には言えません。
強いて言えば、あなたの会社が何を目指しているのかによって、どちらを利用したほうが得なのかは、変わってくるのです。
二つの融資を比較 金利や返済期間は?
日本政策金融公庫の「新創業融資」と、地方自治体の「制度融資」では、このように大元の方針が違います。ですが、お金を借りたい人にとっては、その細かな条件や金利・返済期間などのほうが問題でしょう。実際面で言うと、新創業融資と制度融資とではどちらのほうがお得なのでしょうか?
それは、借りる側の条件によって変わってくる、と言って良いかもしれません。日本政策金融公庫のほうが有利な場合もあれば、制度融資のほうが有利な場合があるのです。もっとも、制度融資はすべての地方自治体で取り扱っているわけではないので、事前に調べておくことが必要です。
まず金利についてですが、日本政策金融公庫の「新創業融資」の場合、金利は2.36%~くらいとなっています。「経営力強化資金」では、金利は2.06%~となっています。一方の、地方自治体の「制度融資」の場合、金利は〜2.5%です。
次に返済期間ですが、これは「新創業融資」の場合、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内となっています。地方自治体の「制度融資」では、自治体や融資の種類ごとに返済期間が異なっているのですが、おおむね5年~10年くらいだと見ておくと良いと思います。
肝心の融資してもらえる額ですが、無担保無保証の場合、新創業融資は1,000万円、経営力強化資金は 2,000万円、都道府県の制度融資は東京都の場合、自己資金+1,000万円となっています。このように、自己資金が少ない場合には、日本政策金融公庫の融資のほうが若干有利だと言えます。
日本政策金融公庫と制度融資、どちらを選べば良いのか?
結論から言うと、日本政策金融公庫と制度融資、どちらを選んだほうが良いのかはケースバイケースです。自己資金が潤沢にある場合には、制度融資を利用するのも良いですし、そうでない場合は日本政策金融公庫の新創業融資を選ぶと良いでしょう。現実問題として、お金を借り過ぎることで経営に負担がかかってしまっては意味がないですし、会社の懐が痛まない程度に融資を行ってもらう、というのがべストです。
また、日本政策金融公庫は全国に支店を構えていますが、地方自治体の制度融資はすべての地方自治体で行っているわけではありません。あなたの住んでいる地方自治体で制度融資を取り扱っているかどうかは、あらかじめ調べておく必要があります。都道府県では47都道府県のすべてで制度融資を行っていますが、市区町村では制度融資を行っている自治体は限られてくるのです。
また、融資にあたっての面談も日本政策金融公庫の場合は原則一回ですが、制度融資の場合には複数回面談する必要があります。制度融資では融資までの期間が長くなる傾向がありますから、なるべく早い段階で融資を受けたいと考えている場合には、日本政策金融公庫の「新創業融資」または「経営力強化資金」を選んだほうが良いと言えます。
いずれにしても、融資を受けるにあたっては審査があります。この審査に通らなければ、お金を貸してもらうことはできません。日本政策金融公庫からお金を借りる場合には保証人を立てる必要はありませんが、地方自治体の制度融資の場合、会社の創業者を連帯保証人として立てる必要があり、若干融資におけるハードルは高くなっています。
まとめ
いかがでしたか? こちらの記事では日本政策金融公庫の行っている「新創業融資」「経営力強化資金」と、地方自治体の「制度融資」について比較してきました。参考になったでしょうか。
地方自治体の行っている「制度融資」は審査基準が厳しい場合もあり、日本政策金融公庫のほうがどちらかと言えばお金を借りやすいと言えます。ですが、制度融資の審査基準は地方自治体ごとによって異なるため、こちらも創業資金を賄うための一つの方法として考えておくと良いと思います。