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飲食店向け|外国人客への領収書発行で気を付けるべきポイントまとめ

飲食店におけるインバウンド対応の重要性と「領収書の発行対応」について

訪日外国人客の増加に伴い、飲食店におけるインバウンド対応の重要性は年々高まっています。
多言語メニューやキャッシュレス決済への対応は広く注目されていますが、実は見落とされがちなのが「領収書の発行対応」です。
海外では、レシートがそのまま領収書として扱われるケースが多く、日本のように別途手書きで領収書を発行する文化は一般的ではありません。ただし、近年はビジネス利用や経費精算の必要性から、正式な領収書を求められる場面も増えつつあります。

領収書は、単なる支払いの証明ではありません。
外国人客にとっては、経費精算や会社・カード会社への提出、各種手続きに必要な重要書類であり、店舗への信頼や満足度を左右する接点でもあります。

近年は、観光目的の来店に加え、ビジネス利用や長期滞在の外国人客も増えており、現場では次のような疑問を抱く飲食店も少なくありません。

  • この書き方で問題ないのか
  • 英語表記は必要なのか
  • 税金や支払方法の記載はどうすべきか

実際に、こうした領収書対応に関する相談が、税理士へ寄せられるケースも増えています。本記事では、外国人客への領収書発行時に気を付けるべき基本的なポイントと、今後を見据えて押さえておきたい実務上の注意点について解説します。

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なぜ外国人客への領収書対応が重要なのか

日本のお客様への領収書発行であっても、慣れていないと対応に戸惑い、会計時にバタついてしまうことは少なくありません。
そこに外国人のお客様が加わると、言語や表記の違い、制度への不安から、さらに対応の難易度が上がったと感じる方も多いのではないでしょうか。
外国人客にとって領収書は、単なる支払いの証明ではありません。

・経費精算を行うための証明書類
・会社やクレジットカード会社へ提出する正式な書類
・金額や支払内容を確認するための記録
・万が一トラブルが発生した際の証拠

といったように、実務上きわめて重要な役割を持っています。
日本では特に問題にならない表記の省略や、税込・税抜が分かりにくい記載であっても、海外では
「この領収書は使えない」「内容が不十分で信用できない」
と受け取られてしまうことも珍しくありません。
その結果、後日問い合わせや再発行の依頼が発生したり、場合によっては不満として評価に反映されてしまうケースも考えられます。
料理や接客に満足してもらえていたとしても、会計や領収書対応でつまずいてしまえば、店舗全体の印象を下げてしまう可能性があるのです。
だからこそ、外国人客への領収書対応は「難しいもの」「特別な対応」と捉えるのではなく、
英語が話せなくても、書面を通じて信頼を築ける大切な接点だと考えることが重要です。
基本的なポイントを押さえた領収書を用意しておくだけでも、外国人客に安心感を与え、スムーズな会計につなげることができます。

外国人客への領収書発行で押さえるべき基本ポイント

外国人領収書

外国人客への領収書対応では、「完璧な英語」や「特別な書式」を用意する必要はありません。
重要なのは、相手が内容を正しく理解できるかどうかという点です。
ここでは、飲食店の現場で無理なく取り入れられる、基本的なポイントを紹介します。

1. 英語表記を含める

領収書に英語表記を加えることは、外国人客にとって非常に大きな助けになります。
すべての項目を英語に翻訳する必要はありませんが、最低限の情報が英語で補足されているだけでも、内容の理解度は大きく変わります。
特に、以下の項目は英語併記がおすすめです。

・タイトル(Receipt)
・宛名(Received from) または 名前(Customer)
・店舗名(Store Name)
・日付(Date)
・合計金額(Total Amount)
・消費税(Tax 10% Included)を明確に記載する
・JPY (円) または ¥ 記号を必ず入れる

これらが明確に記載されていれば、「いつ・どこで・いくら支払ったのか」が一目で伝わります。
日本語と英語を併記するだけでも、会計時の質問や確認を減らすことができ、スタッフと外国人客の双方にとってスムーズな対応につながります。

2. 金額・税金の内訳を明確にする

日本の領収書は、税込・税抜の区別が分かりにくい形式になっていることが少なくありません。
しかし、海外では金額の内訳が明確であることが重視されるため、外国人客にとっては混乱の原因になりやすいポイントです。
以下の点は、できるだけはっきりと記載するようにしましょう。

・合計金額
・消費税の有無と金額
・税込み(Tax Included)か税抜き(Tax Excluded)か

「Consumption Tax」や「Tax Included」といった補足表記を加えることで、
「この金額に税金は含まれているのか」といった質問や誤解を減らすことができます。
金額に関する不明点は、後日の問い合わせや再発行につながりやすいため、最初の段階で分かりやすく示しておくことが重要です。

3. 支払方法を必ず記載する

海外では、領収書に支払方法が記載されていない場合、正式な証明書類として認められないケースがあります。
特に、経費精算やクレジットカード利用明細との照合を行う際には、支払方法の記載が重視されます。
例えば、

・Cash
・Credit Card
・QR Payment

など、実際に利用された支払方法を明確に記載しておくことが大切です。
支払方法が明記されていれば、
「本当にカードで支払ったのか」「現金扱いになるのか」
といったトラブルを防ぐことができ、後日の問い合わせ対応の負担軽減にもつながります。

英会話ができなくても問題ない理由

外国人客への領収書対応と聞くと、
「英語で説明しなければならないのではないか」
「英会話ができないと対応できないのでは」
と不安に感じる方も多いかもしれません。
しかし、実際には流暢な英会話が求められる場面はそれほど多くありません。
領収書対応で重要なのは、会話よりも“書面で正しく伝えること”です。
あらかじめ英語併記された領収書や、必要な項目が整理されたフォーマットがあれば、
細かい説明を口頭で行わなくても、内容は十分に伝わります。
むしろ、曖昧な英語で説明するよりも、統一された表記の領収書を渡すほうが、外国人客にとって安心感につながるケースも少なくありません。
また、会計時に必要となる英語表現も、実はごく限られています。
外国人客への領収書対応は、英会話力で差がつくものではありません。
事前の準備とフォーマット整備ができていれば、英語が得意でなくても十分に対応できるという点を、ぜひ知っておいてください。

最低限覚えておきたい英語フレーズ集

領収書対応において、長い英語説明は必要ありません。
以下のような短く定型的なフレーズを押さえておくだけで、ほとんどの場面に対応できます。

領収書が必要か尋ねるとき
“Do you need a receipt?”
(ドゥー・ユー・ニード・ア・レシート?)
※ レシート/領収書は必要ですか?
“Would you like a receipt?”
(ウッド・ユー・ライク・ア・レシート?)
※ 領収書はご利用になりますか?

宛名を確認するとき
“What name should I put on the receipt?”
(ワット ネーム シュッド アイ プット オン ザ レシート)
宛名はどうしますか?
“Can I have the name for the receipt?”
(キャン アイ ハブ ザ ネーム フォー ザ レシート)
領収書のお名前を教えてください
“Is this spelling correct?”
(イズ ディス スペリング コレクト)
この綴りで合っていますか?

領収書を渡すとき
“This is your receipt.”
(ディス イズ ユア レシート)
こちらが領収書です
“Here is your receipt.”
(ヒア イズ ユア レシート)
領収書をお渡しします

税金について聞かれたとき
“Tax is included.”
(タックス イズ インクルーディッド)
税金は含まれています
“This includes consumption tax.”
(ディス インクルーズ コンシュンプション タックス)
消費税が含まれています

支払方法を伝えるとき
“Paid by credit card.”
(ペイド バイ クレジット カード)
クレジットカードでのお支払いです
“Paid in cash.”
(ペイド イン キャッシュ)
現金でのお支払いです

よく分からないとき・確認が必要なとき
“One moment, please.”
(ワン モーメント プリーズ)
少々お待ちください
“I will check.”
(アイ ウィル チェック)
確認します

よくある補足フレーズ(トラブル防止)
“We cannot reissue the receipt.”
(ウィー キャナット リイシュー ザ レシート)
領収書の再発行はできません

すべて正確に発音できなくても問題ありません。
「伝えようとしていることがシンプルに分かる」ことが何より大切です。

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免税・パスポート表記に関する注意点

外国人客への領収書対応において、特に誤解されやすいのが「免税」や「パスポート番号」の扱いです。
「外国人のお客様だから必要なのでは」「書いておいたほうが親切なのでは」と考えてしまいがちですが、実際には注意が必要なポイントでもあります。
飲食店での通常の飲食サービスは、原則として免税の対象外となるケースがほとんどです。
そのため、領収書発行の際に、

・すべての外国人客にパスポート番号を記載する必要はない
・むしろ、不要な個人情報を記載することは管理面・トラブル面でリスクになる

という点を、あらかじめ理解しておくことが重要です。
特に、パスポート番号は個人情報にあたるため、本人から明確に求められた場合や、制度上必要なケースを除き、安易に記載すべきではありません。
善意で対応したつもりが、かえって問題につながってしまう可能性もあります。
また、外国人客から「免税にできるか」「パスポート番号を書いてほしい」と求められた場合でも、すぐに対応するのではなく、
自店舗の対応可否や制度の条件を確認したうえで判断することが大切です。
免税対応やパスポート情報の記載が必要かどうか判断に迷う場合は、
事前に税理士や専門家へ相談し、店舗としての対応ルールを決めておくと、現場での混乱を防ぐことができます。
「外国人客だから特別対応が必要」と構えるのではなく、
必要なケースだけ、正しく対応するという姿勢を持つことが、安心でトラブルの少ない運用につながります。

特に意識したい新しい注意点

インバウンド対応を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。
これまで問題なく対応できていた領収書発行でも、利用目的や提出先の違いによって求められる要件が変わるケースが増えてきました。
以下では、今後を見据えて特に意識しておきたいポイントを整理します。

電子領収書・デジタル対応の重要性

近年、海外では紙の領収書ではなく、

・電子領収書
・メールでの領収書送付
・QRコードによるデータ提供

といったデジタル形式の領収書を求められるケースが増えています。
特にビジネス利用の外国人客の場合、
紙の領収書が経費精算で使用できない、もしくはデータ提出が必須というケースも珍しくありません。
そのため、

・電子領収書の発行が可能か
・メール送付やPDF出力に対応しているか
・レジやPOSシステムの仕様上、どこまで対応できるか

を一度整理しておくことが重要です。
すべてに即対応できなくても、
「対応できること・できないこと」を把握しておくだけで、現場での説明や判断がスムーズになります。

表記の正確性・一貫性がより求められる

外国人客や海外企業に提出される領収書では、
日本人向け以上に表記の正確さが重視されます。
特に注意したいのが、次のようなポイントです。

・店舗名の表記ゆれ(日本語・ローマ字・略称の混在)
・日付形式(YYYY/MM/DD のように国際的に分かりやすい形式)
・通貨表記(JPY、¥ の明記)

これらが曖昧だと、
「どの店舗で使ったのか分からない」
「日付や金額が確認できない」
といった理由で、領収書が無効と判断されてしまう可能性もあります。
観光目的だけでなく、長期滞在者や法人利用が増える中で、
誰が見ても内容を正確に理解できる表記を意識することが重要です。

インボイス制度を意識した領収書発行

外国人客の中には、日本国内の法人や海外企業の経費として領収書を利用するケースもあります。
その場合、通常の領収書とは別に、

・適格請求書発行事業者の登録番号
・税区分や税率の明記

といった情報を求められる可能性があります。
すべての外国人客に対応する必要はありませんが、
「外国人客=観光客」と決めつけてしまうと、対応に迷う場面が出てきます。
あらかじめ、

・インボイス対応が必要になるケース
・自店舗として対応可能な範囲

を整理しておくことで、現場での混乱や後日の問い合わせを防ぐことができます。
ビジネス利用の可能性もあるという前提で準備しておくことが、今後ますます重要になっていくでしょう。

現場で迷わないための運用ポイント

外国人客への領収書対応は、個々のスタッフの判断に任せてしまうと、対応のばらつきや現場の混乱につながりやすくなります。
そのため、事前に店舗としての運用ルールを整えておくことが重要です。
まず、英語併記の領収書フォーマットを用意することは、最も効果的な対策の一つです。
あらかじめ必要な項目が整理されたフォーマットがあれば、スタッフは迷わず発行でき、説明の手間も減らすことができます。
次に、よくある質問に対応する簡単な英語フレーズを共有することも大切です。
税金や支払方法、宛名の確認など、質問されやすいポイントは限られています。
定型フレーズをスタッフ間で共有しておくことで、英会話に不安がある場合でも落ち着いて対応できます。
また、免税・パスポート対応の判断ルールを明確にすることも欠かせません。
「どのケースで対応が必要なのか」「誰に確認すべきか」を決めておくことで、不要な個人情報の記載や誤った対応を防ぐことができます。
さらに、領収書の再発行に関する対応手順を決めておくことも重要です。
再発行の可否や条件をあらかじめ共有しておけば、後日の問い合わせやクレームへの対応もスムーズになります。
こうしたポイントを事前に整えておくだけで、
スタッフ一人ひとりの負担が軽減され、会計時の混乱やトラブルを大きく減らすことができます。
結果として、外国人客にとっても安心して利用できる店舗づくりにつながるでしょう。

まとめ|領収書対応は小さなインバウンド施策

観点 対策のポイント
基本表記 Receipt、Date、Total Amount、JPY(¥)の英語を併記する。
税金内訳 Tax Included(税込)かExcluded(税抜)かを明記し、金額を明確にする。
支払方法 Cash、Credit Cardなど、実際に利用された手段を必ず記載する。
個人情報 パスポート番号は原則不要。求められた際も慎重に判断する。
デジタル化 ビジネス利用客向けに電子領収書やメール送付の可否を確認しておく。

外国人客への領収書発行は、特別な語学力がなくても取り組めるインバウンド対応の一つです。

・正確で分かりやすい表記
・デジタル対応を意識した準備
・ビジネス利用も想定した運用ルール

こうした一つひとつの積み重ねが、会計時のトラブルやクレームを防ぐだけでなく、店舗への信頼や再来店にもつながっていきます。
領収書も、料理や接客と同じく「お店の印象を左右する接客の一部」と捉え、無理のないところから少しずつ見直していきましょう。
また、免税対応やインボイス制度など、税務に関して判断に迷う点がある場合は、自己判断で進めず、早めに税理士へ相談することが大切です。
不安や疑問を抱えたままにせず、専門家の意見を取り入れることで、安心して運用を進めることができます。
個人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
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