Column
コラム
こんにちは!REDISHでサービスコーディネーターをしている田邊です。
開業を考え始めたとき、ほぼ必ず出てくるのがこの質問です。
「公庫と銀行、どちらで借りるべきですか?」
そして、もう一つよく聞くのがこちら。
「できれば、あまり借金はしたくなくて…」
その気持ち、とてもよく分かります。
サービスコーディネーターとして、数多くの創業相談に関わる中で、同じ言葉を何度も聞いてきました。実際、借入の方法やタイミングで迷っている方はとても多いです。
ただ、実務の現場で見てきた結論からお伝えすると――
創業時は「公庫を中心」にしつつ、最初から「次の融資(銀行取引)」を見据えた設計をしておくことが、数年後の選択肢を大きく広げます。
その理由はシンプルです。創業直後は実績が少ないため、銀行からの借入はどうしても条件が厳しくなります。一方で公庫は創業者向けの制度が整っており、低金利かつ柔軟な返済プランでスタートできます。
さらに、公庫での借入実績をしっかり作っておくことで、数年後に銀行から追加融資を受ける際の信用力が格段に高まります。つまり、最初にどこで借りるかだけでなく、「次の一手」を意識した資金計画が、将来的な自由度を左右するのです。
創業時は、なぜ「公庫」が中心になるのか
日本政策金融公庫(以下、公庫)は、創業期の事業者にとって非常に心強い存在です。
- 創業実績がなくても相談できる
- 事業計画の中身を重視してくれる
- 民間銀行よりもハードルが低い
このように、創業間もない事業者にとっては、「まず相談できる・借りやすい」という安心感が大きなメリットになります。そのため、創業融資のファーストステップは公庫が基本です。
ただし、ここで重要なのは「公庫で借りられればそれでOK」と終わらせないことです。
なぜなら、創業後の資金ニーズは状況によって変化します。事業が順調に成長すれば、より大きな資金や設備投資が必要になることもあります。そのときに銀行取引の実績があるかどうかで、融資条件や選択肢の幅が大きく変わってくるのです。
つまり、公庫はあくまで創業時のスタートポイント。最初から「次の銀行融資につながる道筋」を意識した設計が、長期的に事業を安定させる鍵になります。
将来の銀行取引は「最初の設計」でほぼ決まる
多くの方が見落としがちなのが、
という点です。
銀行は、融資の審査や条件を決めるときに、過去の事例や実績を非常に重視します。具体的には、
- 過去にどんな融資を受けているか
- その返済実績はどうか
- 自己資金をどれくらい残しているか
といった点を詳細にチェックします。
つまり、創業時にどのように借りたか=信用の履歴書になり、数年後の銀行融資の選択肢や条件を左右するのです。
たとえば、公庫で計画的に借入を行い、返済実績を積み重ねていれば、銀行からの追加融資はスムーズになり、低金利で借りられる可能性も高まります。一方で、無計画な借入や自己資金の不足は、銀行からの信用を得にくく、選択肢が狭まる原因になります。
だからこそ、創業時から「将来の銀行取引を意識した借入設計」が非常に重要なのです。
借金は怖い?創業時に知っておきたい現実的な考え方
「借金は怖い」「できれば自己資金だけで始めたい」
この考え自体は、決して間違いではありません。
むしろ、慎重に計画を立てようとする姿勢は非常に大切です。
ただ、実務の現場では “借りなかったことで後から資金繰りが苦しくなる”ケース を数多く見てきました。
開業直後は予想外の出費が重なることも多く、自己資金だけで対応しようとすると、思わぬタイミングで経営判断を誤るリスクがあります。
その理由は大きく3つあります。
① 物件選定で有利になる
融資を受けることで自己資金を温存できると、
- 初期費用が想定より膨らんだ
- 工事費が追加で発生した
- 開業直後に想定外の支出が出た
といった場面でも、余裕をもって対応できるようになります。自己資金だけでぎりぎりの計画を立ててしまうと、少しの想定外でも大きな負担になり、計画変更や妥協を余儀なくされることがあります。
さらに、自己資金がしっかり残っている、融資が決まっているという状態は、家主や管理会社からの信用にも直結します。「この人は資金面が安定している」という評価は、物件交渉や契約条件の場で想像以上に効きます。場合によっては、希望する立地での契約がスムーズになったり、保証金や敷金の交渉にもプラスに働くことがあります。
つまり、自己資金を温存しつつ融資を活用することは、物件選定における交渉力と安全性を同時に高める戦略になるのです。
② 銀行との付き合いに有利になる
創業期に一度きちんと融資を受け、
- 遅れずに返済している
- 数字を把握して経営している
という実績があると、銀行との信頼関係が自然に築かれます。これは、銀行から見れば「この人は計画的に経営できる人」という評価になり、将来的な融資判断の大きなプラス材料となります。
その結果、例えば追加融資の審査がスムーズになる、返済条件の見直し(返済期間の延長や金利交渉など)が可能になる、次店舗や次事業への展開が現実的になるなど、将来的な選択肢が格段に広がります。
実際、創業直後に公庫での融資をうまく活用した事業者は、数年後に銀行からの追加融資をスムーズに受けられ、低金利かつ柔軟な条件で事業を拡大しているケースが少なくありません。
つまり、最初の1本目の融資が、その後の事業運営を驚くほど楽にする“信用の土台”になるのです。
③ 結果的に「借りておいた方が安全」ことが多い
資金に余裕がない状態で創業すると、
- 判断がどうしても短期目線になりやすい
- 本来やるべき投資や準備を我慢してしまう
- 少しの売上ブレや予想外の出費で精神的に追い込まれる
といったリスクがあります。こうした状況では、事業の成長チャンスを逃したり、計画通りに運営できなくなることも少なくありません。
一方で、手元資金に余裕がある、融資という“保険”を持っている、この状態だと、落ち着いて経営判断ができ、機会損失を最小限に抑えられるようになります。たとえば、設備投資や広告・集客施策に柔軟に対応できたり、急なトラブルにも冷静に対処できるのです。
だからこそ、「借りておいた方が安全」になるケースは意外と多いのです。実務の現場では、この“安心して動ける余裕”こそが、創業期における最も大きな武器のひとつになっています。
まとめ|創業融資は「今」より「数年後」を見る
- 創業時は公庫が中心でOK
- ただし、最初から銀行取引を見据えた設計をする
- 借金=悪ではなく、選択肢を増やす手段
融資はゴールではなく、経営を前に進めるための道具です。
「今、借りるべきか」だけで考えると視野が狭くなりがちですが、
「数年後、自分はどんな選択肢を持っていたいか」
という視点で設計すると、後悔の少ない創業が可能になります。具体的には、
- 必要な資金と自己資金のバランスを整理する
- 公庫・銀行それぞれの融資特性を理解する
- 将来的な追加融資や事業拡大のシナリオを描く
といった準備を一緒に行うことで、最適な資金計画が見えてきます。もし、自分の場合はいくら借りるのが適切か、公庫と銀行をどう組み合わせるべきかで迷っている方は、一度立ち止まって整理してみてください。数字と将来像を両方意識して考えることが、安心して前に進める創業の第一歩になります。
「自分の場合、どのくらい借りるのが最適か」「公庫と銀行をどう組み合わせるか」迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。
☎️ お急ぎの方は、お電話でもご相談いただけます!
受付時間:平日 9:00〜20:00
※時間外は留守番電話にメッセージをお入れください。折り返しご連絡いたします。
※田邊が出られない場合は、沢田または金山がご対応いたします。






