Column

コラム

「この自己資金で足りる?」不安から始まった開業の話

こんにちは。REDISHで開業サポートを担当しているYです。
今回は、私たちが実際に伴走させていただいた
【創業融資700万円】たった1年で月商191万円達成!和風餃子バル開業のリアル成功事例をもとに
開業を検討されていたご依頼主様が、どのような不安を抱えながら準備を進めていたのかを、具体的な数字とともにお話ししたいと思います。
今回のケースは、日本政策金融公庫から700万円の創業融資を受け、開業から1年で月商191万円を達成した和風餃子バルの事例です。
一見すると、理想的なスタートを切った成功例に見えるかもしれません。
ですが――最初から自信に満ちていたわけではありません。むしろ準備段階では、多くの開業希望者と同じように、「本当にやっていけるのか」「この数字で大丈夫なのか」「融資は通るのか」といった、現実的で切実な不安を抱えていました。
今回は、その“見えにくい不安”と、それをどのように数字で整理し、乗り越えていったのかを一緒に見ていきたいと思います。

この記事のポイント

  • 191万円という数字を「願望」ではなく「逆算」で導き出す方法
  • 自己資金と運転資金6か月分の確保が融資審査に与えた影響
  • 15年の現場経験を「再現性のある実績」として数値化する整理術

不安①「191万円って、本当に現実的な数字ですか?」

月商目標:191万円
客単価:3,500円
単純計算すると、191万円 ÷ 3,500円 ≒ 546人/月
営業日26日換算 → 1日約21人
「毎日21人って、少なくないですか?」そう聞かれることがあります。ですが、ここがポイントです。

  • カウンター中心の小規模店舗
  • 17:00〜26:00営業
  • 2回転を想定しない設計
  • 1人客+2軒目需要を想定

つまり、満席回転型ではない設計です。例えば、カウンター8席・テーブル4席の計12席と仮定すると、1日21人というのは「常に満席」である必要はありません。1時間あたり2〜3組の来店。ピークは19〜22時。その前後に単価3,000〜4,000円の1人客や2軒目利用が入る。“爆発的な集客”ではなく、安定的な積み上げで成立する構造なのです。

さらに重要なのは、191万円という数字が「願望」ではなく、逆算で作られた数字だったこと。家賃22万円、原価率30%、人件費最小構成、オーナーが最低限必要な生活費。これらを踏まえた上で、「いくら売れば成立するのか?」から導き出されたのが191万円でした。不安だったのは「集客できるか」ではなく、“この数字で生活できるのか”でした。
つまり、生活費はいくら必要か、返済を含めて手元にいくら残るか、売上が8割でも耐えられるか。ここまで確認できて初めて、“現実的な数字”になります。そこで重要だったのが、月次利益の確認です。

不安②「本当に利益は残るのか?」

月商191万円時のシミュレーション:
売上:191万円 / 原価:57万円(約30%) / 人件費:9万円 / 家賃:22万円 / その他経費:36万円 / 利息:2万円
→ 月次利益:66万円
この66万円の中に、オーナーの生活費も含まれます。数字だけを見ると「しっかり利益が出ている」と感じるかもしれません。ですが、ご依頼主様が本当に気にしていたのは“理想通りにいった場合”ではありませんでした。

不安だったのは、「原価がブレたらどうなるのか?」「売上が191万円に届かなかったら?」「想定より人件費が増えたら赤字になるのでは?」という、現実的なリスクです。そこで私たちは、理想値ではなく赤字転落ライン(損益分岐点)を一緒に確認しました。

例えば、売上が191万円ではなく160万円だった場合。原価30%なら約48万円。固定費は約69万円。この場合でも、一定の利益は確保でき、すぐに赤字へ転落する構造ではありません。生活費の調整は必要になりますが、資金繰りが即破綻する状態ではない。ここを確認できたことが、大きな安心材料になりました。
なぜ崩れにくいのか。理由は構造です。家賃比率は約11.5%。原価率は約30%。人件費はオーナー主体の少人数設計。固定費が適正水準だからこそ、売上が多少上下しても一気に赤字へ傾きにくい。つまり、多少のブレでは崩れない構造になっていました。

多くの開業準備で不安が膨らむのは、「なんとなく怖い」状態のまま進んでしまうからです。しかし、このケースでは、売上が何%下がると危険か、原価が何%まで上がると赤字か、最低いくらあれば生活が成立するか、ここまで数字で可視化しました。不安を気合いで乗り越えたのではありません。不安を“構造”で管理できる状態にしたのです。

不安③「700万円、本当に借りられますか?」

自己資金が50%以上ある状態。実はこれ、融資審査では非常に大きな評価ポイントです。日本政策金融公庫が見ているのは金額の大小だけではありません。どれだけ自己資金を準備してきたか(本気度)、計画的に貯蓄してきたか(資金管理能力)、想定外に耐えられる設計か(安全性)。
特に評価されたのは、運転資金6か月分(528万円)を確保していたこと。

「もし売上が想定通りいかなかったら、どうしますか?」ここで曖昧な回答をすると不安材料になります。ですが今回のケースでは、「6か月分の固定費は確保済みです」「売上が〇%下振れしても耐えられる設計です」と、数字で即答できる状態でした。これは精神論ではなく、資金計画の裏付けがあるからこそできる回答です。
さらに、自己資金730万円という水準は、「必要な分だけを適正に借りる」という堅実さを示しています。借入依存度が低いことは、金融機関にとって大きな安心材料になります。

もちろん、不安がゼロだったわけではありません。ですが、不安を小さくしていったのは願望ではなく、準備です。自己資金を時間をかけて積み上げたこと。6か月分の運転資金を確保したこと。売上シミュレーションの数字に矛盾がない状態まで整えたこと。ひとつ準備が整うたびに、「大丈夫だろうか」という感覚は、「ここまで説明できる」という自信に変わっていきました。不安を“なんとなくの心配”のまま放置せず、数字と計画で説明できる状態に変えていった。その積み重ねが、結果として融資実行につながったのです。

不安④「激戦区で勝てるのか?」

出店エリアは阿佐ヶ谷。駅徒歩1分という好立地です。一方で、飲み屋が密集するエリアでもあります。だからこそ出てきた不安は、「餃子なんて、他にもたくさんあるのでは?」という点でした。
“激戦区”と聞くと、多くの方はネガティブに捉えます。しかし実際にエリアを分析してみると、見えてきたのは少し違う景色でした。
・大衆系で価格勝負の餃子店が中心 / 男性グループ向けの雰囲気が多い / 日本酒に特化した餃子業態は少ない / 女性一人でも入りやすい内装設計の店が少ない
つまり、“餃子はある。でも、この餃子はない。”という状態だったのです。

今回のコンセプトは、「手作り餃子を、日本酒とゆっくり楽しむ和風バル」。価格訴求でも、ボリューム勝負でもありません。空間設計・客層・滞在価値まで含めてポジションを取る戦略でした。競合が多いこと自体は、必ずしもリスクではありません。本当に危険なのは、自分の立ち位置が説明できないことです。誰に来てほしいのか、どの時間帯を狙うのか、何で選ばれるのか。ここが曖昧なまま出店することが最大のリスクです。
今回のケースでは、「餃子×日本酒」「女性も入りやすい清潔感」「2軒目需要まで拾う深夜営業」という勝ち筋が、言語化された状態で整理されていました。差別化が言語化できない=危険。この視点に立てたことが、不安を戦略に変える転換点でした。

不安⑤「経験はある。でも、融資は通るのか?」

ご依頼主様には、15年の現場経験(店長・料理長経験)がありました。それでも不安だったのは、「この経験で、本当に融資は通るのか?」「どう書けば、評価されるのか分からない」という点でした。
融資審査では、「経験があります」という表現だけでは弱い。審査担当者が知りたいのは、何坪の店舗で、いくら売り上げ、どんな課題があり、何を改善し、その結果数字がどう変わったのかという、具体的な再現プロセスです。

たとえば、「売上前年比125%を達成」「原価率を35%から30%に改善」「客単価を3,200円から3,800円に引き上げた」。ここまで落とし込めると、“経験がある人”から“再現できる人”に評価が変わります。融資審査で見られているのは、過去の肩書きではなく、その経験を次の事業でも活かせるかどうかです。だから私たちは、経験をストーリーのまま語るのではなく、数字で説明できる実績に整理しました。感覚でやってきたことを、言語化し、数値化し、構造化する。「やってきました」ではなく、「こうやったから、こうなりました」と説明できる状態にする。その整理ができたとき、経験は“自信”ではなく、“根拠”に変わります。そしてその根拠こそが、融資通過の決定打になったのです。

この事例から見えること

今回の成功の理由は、特別な裏技や偶然ではありません。やったことは、極めてシンプルです。
・売上を「なんとなく」ではなく客数×客単価まで分解したこと
・払える家賃ではなく、利益が残る家賃を逆算したこと
・最悪のケースを想定し、6か月分の運転資金を確保したこと
・15年の経験を、感覚ではなく数字で語れる状態にしたこと
どれも派手ではありません。ですが、すべてが“地に足のついた準備”です。

不安がなくなったわけではありません。ただ、この事例で違ったのは、不安を放置しなかったこと。どこが不安なのか、数字にするとどうなるのか、どこまで下がると危険なのか、ここまで“見える化”しました。不安を消したのではありません。不安を、管理できる状態に変えただけです。

もっと具体的な数字を知りたい方へ、詳細は元記事で解説しています。
▶ 【創業融資700万円】たった1年で月商191万円達成!和風餃子バル開業のリアル成功事例
https://redish.jp/columns/example_027/

開業前、ほとんどの方が同じ疑問を抱きます。整理すれば不安は“戦略”に変わります。あなたのこれまでの経験や強みを、融資が通る計画書という形に落とし込むところまで、私たちが一緒に伴走します。

📩 無料相談はこちらから