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【飲食店開業】自宅で飲食店の開業をするには?~導入編~

自宅開業って?

元から自分の住んでいる自宅で店舗を開業することです。
上の階では普通に暮らし、下でカフェなどを経営したり、今ひそかに人気となっている経営体系で、カフェだけでなくサロンや自宅兼事務所として作る人もいます。

 


「子供が巣立って部屋が空いたため、なにか開業をしたい」
「老後の夢だったカフェの開業をしたい」
「新しい家を立てるにあたってお店を始められるつくりにしたい」
など様々な動機で始められる方もいます。
店舗を別の場所に出す場合と比べて、暮らす住宅の家賃だけ支払えばいいので固定費が少なく済むという利点があり、人気があります。

 

自宅開業でしなければならないこと

取らなければいけない資格

食品衛生責任者資格飲食店開業には必ず必要な資格
です。
といっても、1万円近く支払い1日講義を聞いていれば誰でも取ることができる資格なので特別身構える必要はありません。

防火管理者資格
甲・乙の2種類があります。(カフェの広さが300㎡以上は甲種、300㎡未満は乙種)
7000円程度で受けることができます。

住居体系別・確認しなければいけないこと

マンションで開業の場合

そもそも、管理規約で商業利用不可である可能性があります。
管理人に確認を取って、営業ができる物件であるかを確認しましょう。
また、住居空間と店舗空間を仕切ることがマストとされているのですが、そうなると当然リフォームが必要とされます。許可なしにリフォームをすることが禁止されている場合があるので、きちんと許可を取りましょう。

最近はオートロックのマンションも多いため、その場合はどのように店舗まで導けばいいのかも考えなければなりません

一戸建てで開業の場合

都市計画法に基づいて指定される「用途地域」が、自分の地域は属するのかを知っておかないといけません。
低層住居専用地域や中高層住居専用地域であれば、規模によって開店可能ですが、
住居地域や工業地の場合、飲食店の開業がほぼ不可能です。

そして、店舗スペースと住居スペースをきっちりと分ける必要があるのですが、分け方にも二つあります。

「上下分離型」
これは1階と2階で店舗と住居をキッチリ分ける方法です。
営業中に上から生活音や足音が聞こえてしまう可能性があるため、防音対策を行うなどしましょう。

「縦割り型」
表側を店舗、奥側を住居として間取りを縦に分ける分割方法です。
住居用出入り口と店舗用の出入り口を分けなければならなかったり、構造によっては階段も住居/店舗で1つずつつけないといけないこともあり、工事費がかさむ可能性があります。
足音などの生活感がなくなるので店舗としての仕上がりは高くなります。

自宅開業のメリット・デメリット

 

メリット①将来、土地を借りて開業するための練習になる

将来的に店をきちんと出して経営をしたい人のための練習の場にもなります。
規模もやや小さくなるので、小規模の客回転でゆったりと営業することができます。
そこでメニュー開発をし、経営ノウハウを掴むことで独立した店舗の開業へ向けた実践的な練習にもなります。

メリット②リスクが少ない

物件を新たに借りて開業するわけではないので、万が一うまくいかなかったときにも、自宅であるゆえにすべて内装をまっさらにして返却する必要がありません。

しかし自宅で飲食店開業をする場合、住居と店舗でキッチンを分けたり作り直したりしなくてはならないので、店舗を一から借りて作る時ほどではありませんがはじめの工事に大きく費用が割かれる可能性があります。

デメリット❶何か起こればご近所トラブルにもつながる

新しい店舗を新しく建てる場合より、もとからご近所づきあいのある土地で始める開業なので、経営と同じくらい近所に気を配らなければいけないでしょう。

害虫・害獣が湧く
住宅街の中に立てる面、廃棄の食品などに湧く害虫・害獣の対策をしなければなりません。
ゴミ出しする際、生ごみなどは一般住宅だったころより多くなるわけですから、しかるべき対応を取っていかなければいけません。

行列が近隣の家に伸びていないか?
開業当初、物珍しさでお客様の来店が多くなることがあります。
しかもまだ業務に慣れず、給仕にいっぱいいっぱいなせいで、来店待ちのひとの応対ができない場合があります。うっかり人の家の前まで列が伸びてしまっていて、ご近所からクレームが入ってしまうのが良くないパターンです。

何事もはじめが肝心です。開店当初からご近所に嫌われてしまうようなことをしてしまうと、のちのち応援してもらえないだけでなく細かいクレームや嫌がらせをされてしまう恐れすらあります。

路上駐車してしまう
自宅開業の場合、お客様用の駐車場をつくることは基本的に難しく、
それもあってか店に来店したお客様が路上駐車してしまい、近隣住民が車をうまく出せずそのままクレームが店に行くことがあります。
近くにコインパーキングがあればいいのですが、そこに停めてまで行きたくない、と路上駐車を何気なくさせてしまうなどが自宅開業の難しいポイントです。

デメリット❷セキュリティをしっかりしないといけない

客席と住居エリアの区分をしていないと、ふとした時に客を装った空き巣に侵入されてしまう可能性があります。住居と客席の間を厨房で挟み、さらに外鍵をつけるようにしないと容易には入れてしまいます。店内から施錠できる鍵を取り付けないといけません。
スタッフを数人雇う場合でも、ここまでしか入ってはいけないという境界を作らないと家族のプライバシーも守られないでしょう。


いかがでしたでしょうか?
自宅開業は金銭的リスクが低いものの、ご近所に気を遣う必要があり心的ストレスの大きいものがあります。
一辺倒に得な営業方法はなく、甘いものではありませんね。
自分に最も見合った営業体系を考えて開業するようにしましょう。

次回は来週7/8(金)に後編をお送りします。
後編では、
「自宅開業にあたって具体的な自宅のリフォーム」
「自宅開業の集客方法」についてお話しします。お楽しみに!