Column
コラム
目次
飲食店の開業資金は、何にお金がかかるのか
業態別に見る、開業資金のざっくり目安
スケルトンと居抜きで、何がどれくらい変わるのか
資金を抑えるための現実的な工夫
資金計画で一番大切なこと
まとめ|安心してスタートするために
── 業態別の目安と、失敗しない準備ポイント
はじめに|「結局、いくらあれば開業できるのか?」
飲食店の開業相談で、ほぼ必ず出てくる質問があります。
それは──
「結局、いくらあれば開業できますか?」というもの。
正直に言うと、この質問に一発で答えられる正解はありません。
同じ「10坪の居酒屋」でも、条件次第で数百万円単位の差が出ることは珍しくないからです。
なぜなら、飲食店の開業資金は「業態」だけでなく、
- 物件の状態
- 立地条件
- 内装のこだわり度
- 設備の新旧
- 開業後の運営体制
といった要素が複雑に絡み合い、想定よりも簡単に上下するからです。
実際、
「内装までは予算内だったのに、開業後の資金が足りなくなった」
「想定外の工事や人件費で、スタート直後から苦しくなった」
という相談は後を絶ちません。
ただし、事前に“考え方”と“現実的な目安”を知っておくだけで、 こうした致命的な資金不足はほぼ防ぐことができます。
このコラムでは、
業態ごとの資金感覚と、見落としがちな準備ポイントを整理しながら、
「安心してスタートできる資金計画」の考え方を解説していきます。
1. 飲食店の開業資金は、何にお金がかかるのか
まず、飲食店の開業資金は、大きく分けて次の6つで構成されます。
物件関連費用
保証金・敷金・礼金・前家賃・仲介手数料など
※立地や契約条件によっては、ここだけで数百万円単位になることもあります。
内装・設備工事費
スケルトンか居抜きかで、金額差が最も出やすい部分。
同じ坪数でも、内装のグレードや設備内容次第で費用は大きく変わります。
厨房機器・家具・什器
調理機器、冷蔵冷凍庫、テーブル・椅子など。
新品で揃えるか、中古・リースを使うかで初期負担に大きな差が出ます。
備品・消耗品
食器、調理道具、レジ周り備品など。
一つひとつは小さくても、積み上げると意外に大きな金額になりがちです。
広告・販促費
開業告知、オープン時の集客施策、各種ツール制作費など。
「とりあえずオープンすれば来る」と考えるのは危険です。
運転資金・生活資金
売上が安定するまでの人件費・仕入れ・光熱費などの固定費に加え、
経営者自身や家族の生活費をカバーするための資金。
ここで特に重要なのは、
「内装が終わった=安心」ではないという点です。
実際、開業後に資金が足りなくなるケースの多くは、
工事費や設備費ばかりに目が向き、
ことが原因です。
オープン直後は、売上が想定通りに立たないことも珍しくありません。
その期間を「耐えられるかどうか」が、
開業後の精神的余裕と、冷静な経営判断を大きく左右します。
2. 業態別に見る、開業資金のざっくり目安
ここで示す金額は、
10坪前後/新品中心/都市部立地を想定した場合の一般的なレンジです。
立地条件や内装の作り込み、設備の新旧によって前後するため、
あくまで資金計画を考えるための目安として捉えてください。
居酒屋・ラーメン店(10坪前後)
開業資金目安:1,100万〜1,400万円前後
内訳の特徴
・内装工事費が全体の中で最も大きな割合を占めやすい
・厨房機器は業態ごとに必要設備が異なり、金額差が出る
・家具・食器・備品類は、後から追加が発生しやすい
このクラスの店舗でも、
居抜き物件+中古機器を選ぶことで、
初期費用を数百万円単位で抑えられるケースは少なくありません。
小規模カフェ・喫茶店(10坪前後)
開業資金目安:1,200万〜1,500万円前後
内訳の特徴
・内装デザインへのこだわりが強くなりやすい
・ドリンク設備・電気容量などで工事費が膨らみやすい
・家具・照明・食器など、世界観づくりのコストがかかる
カフェは「厨房設備が少ないから安く始められる」と思われがちですが、
実際には、
内装・家具・空間づくりにコストが集中しやすい業態です。
特に、
- 焙煎機や高性能エスプレッソマシン
- オーダーメイド家具や照明
などを導入すると、想定以上に初期投資が膨らむことがあります。
焼肉店・設備負荷の高い業態
開業資金目安:1,500万〜数千万円
高くなりやすい理由
・排煙・給排水・ガスなどの設備工事が重い
・専用設備が多く、転用が難しい
・席数の増加が、そのまま設備投資額に直結する
これらの業態では、
開業資金だけでなく運転資金の確保が特に重要です。
人件費・食材費・光熱費が高いため、
最低でも3〜6か月分の運転資金を見込んだ資金計画が、安全なスタートにつながります。
3. スケルトンと居抜きで、何がどれくらい変わるのか
スケルトン物件は、内装や設備を一から自由に設計できる反面、
初期投資が最も大きくなりやすいのが特徴です。
理想のレイアウトや世界観を実現しやすい一方で、
工事費・設備費が想定以上に膨らむケースも少なくありません。
一方、居抜き物件では、
- 内装工事費
- 厨房設備費
といった初期コストを、
スケルトンの1/4程度まで抑えられた事例も実際にあります。
そのため、
「できるだけ初期投資を抑えて開業したい」場合、
居抜き物件は非常に魅力的な選択肢になります。
ただし、居抜き物件には必ず確認すべき注意点があります。
- 設備が古く、開業後すぐに修理・交換が必要になるケース
- 業態が合わず、残置設備の多くが使えないケース
- 表からは見えない、配管・電気容量・ガス設備の問題
特に、
「前の店が問題なく営業していた=そのまま使える」
とは限らない点には注意が必要です。
そのため、
👉 「安いから」「すぐ始められそうだから」と即決するのは危険
👉 契約前に、設計・設備・厨房の専門家を交えてチェックすること
が、後悔しない物件選びにつながります。
初期費用を抑えることは重要ですが、
開業後に想定外の出費が発生すれば、本末転倒です。
「いくら安いか」だけでなく、
「どこまで安心して使えるか」という視点で判断しましょう。
4. 資金を抑えるための現実的な工夫
開業資金を抑える方法は、
単に「削る」「我慢する」ことではありません。
必要なところにお金を使い、抑えられるところを見極めることが重要です。
中古機器・リースの活用
厨房機器や家具をすべて新品で揃えると、初期投資は一気に膨らみます。
中古機器やリースを取り入れるだけで、初期負担を大幅に軽減できるケースも少なくありません。
ただし、耐用年数やメンテナンス費用は事前に確認しておく必要があります。
最初から大きくやらない
席数・営業時間・メニュー数を絞り、
無理のない規模でスタートし、軌道に乗ってから段階的に拡張する考え方です。
「最初からフルスペック」で始めるより、結果的に安全なケースも多くあります。
融資・制度の活用
日本政策金融公庫の創業融資や、自治体の創業支援制度など、
活用できる制度は事前に調べておきましょう。
自己資金を温存できるかどうかは、開業後の資金繰りに直結します。
自己資金を“使い切らない”設計
開業時に自己資金をすべて投入してしまうと、
想定外の支出が発生した際に身動きが取れなくなります。
開業後にどれだけ手元資金を残せるかが、
精神的な余裕と冷静な経営判断を大きく左右します。
資金を抑える工夫は、
「とにかく安くする」ことではなく、
長く続けるための余白をつくることでもあります。
5. 資金計画で一番大切なこと
飲食店開業で本当に重要なのは、
「いくらで始めるか」ではなく、「どこまで耐えられるか」です。
開業前はどうしても、
内装や設備、オープンまでの準備に意識が向きがちですが、
本当の勝負はオープンしてから始まります。
- 売上が想定より立たなかったら?
- 人が採れなかったら?
- 想定外の修繕や追加投資が必要になったら?
こうした「起こり得るズレ」をあらかじめ織り込んだ
複数パターンの資金計画を用意しておくことで、
開業後の判断ミスは大きく減らせます。
特に重要なのは、
「最悪のケースでも、何か月は冷静に続けられるか」を
数字で把握しておくことです。
余裕のない資金計画は、
メニュー変更や価格設定、人員配置など、
本来じっくり考えるべき経営判断を、
焦りの中で下してしまう原因になります。
逆に、
資金面に一定の余白があるだけで、 経営の選択肢は驚くほど広がります。
資金計画は、
開業するための手続きではなく、
「続けるための戦略」として考えることが、
長く愛される店づくりへの第一歩です。
まとめ|安心してスタートするために
飲食店開業は、夢や想いと同時に、
避けて通れない「数字の世界」でもあります。
リアルな資金計画を立てることは、
お店を長く続けるための最初の経営判断です。
「いくらあれば開業できるか」だけでなく、
「想定がズレたときに、どこまで耐えられるか」を考えておくことで、
開業後の不安や判断ミスは大きく減らせます。
REDISHでは、
- 開業資金の整理
- 収支シミュレーションの作成
- 融資相談・制度活用の整理
などを通じて、
数字が苦手な方でも理解できる形で、資金計画づくりをサポートしています。
「自分の場合はいくら必要なのか」
「この資金計画で本当に大丈夫なのか」
そんな段階からでも構いません。
まずはお気軽にご相談ください。
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