Column
コラム
こんにちは。
REDISHで開業サポートを担当している弓逹です。
日々、これから飲食店を始める方の事業計画を一緒に作っています。
物件が決まり、融資の目処も立ち、いよいよ具体化してきたタイミングでご相談に来られる方も多いです。
開業相談の場で、私は必ず聞くことがあります。
「この計画、どこが一番ズレそうですか?」
この質問をすると、場が少し静かになります。
売上予測や原価率、回転率の説明は皆さんスラスラ出てきます。
でも、「ズレる可能性」については、急に言葉が止まる。
実はこの質問は、
計画の完成度を測るためのものではありません。
“楽観”がどこに潜んでいるかを確認するための質問です。
どんなに緻密に作った計画でも、
現場では必ず誤差が生まれます。
問題は「ズレること」ではなく、
ズレる前提で準備しているかどうかです。
今日は、私が現場で何度も見てきた
「開業時にこれをやらずに失敗したケース」についてお話しします。
決して特別な失敗ではありません。
むしろ、真面目で一生懸命な方ほど陥りやすいパターンです。
だからこそ、開業前に知っておいてほしいのです。
① 売れる理由より、売れなかった時の対策を決めていない
多くの計画は、とても前向きです。
- 立地は悪くない
- 競合もそこまで強くない
- 価格も妥当
- コンセプトも明確
ここまでは、皆さんしっかり考えています。
むしろ、よく調べている方も多いです。
でも、足りないのは
「もし想定より売れなかったらどうするか」
という設計です。
売上が想定より20%落ちたとき、
- 広告を打つのか
- メニューを変えるのか
- 営業時間を見直すのか
- 人件費を調整するのか
- そもそも固定費をどこまで削れるのか
ここまで具体的に決めている方は、ほとんどいません。
なぜなら、
開業前はどうしても「成功イメージ」に意識が向くからです。
でも実際の現場では、
売上はオープン直後から安定するとは限りません。
想定より客単価が伸びない。
リピートが想像より遅い。
天候や曜日で大きくブレる。
そのたびに、その場で考える。
結果、売上が落ちたときに“考え始める”。
そして、その間にも資金は減っていきます。
経営はスピードです。
対策を考えている間も、家賃も人件費も待ってくれません。
だからこそ必要なのは、
「売れなかった場合の行動を、開業前に決めておくこと」
想定外は必ず起こります。
問題は、それに備えているかどうかです。
② 「忙しい」と「儲かっている」を混同する
これは非常に多い失敗パターンです。
オープン後、忙しい。
お客様も入っている。
スタッフもフル稼働。
レジも鳴っているし、
SNSにも「美味しかったです」と投稿が上がる。
経営者としては、正直ほっとする瞬間です。
でも、月次で見ると利益が残っていない。
むしろ、思ったより資金が減っている。
原因は、派手なミスではありません。
- 原価の微増に気づいていない
- 値引きやサービスが積み重なっている
- 人件費が想定より重い
- 廃棄ロスが静かに増えている
どれも一つひとつは小さい。
でも、それが毎日積み重なると、粗利は確実に削られていきます。
特に危険なのは、
「これだけ忙しいんだから大丈夫だろう」という安心感です。
忙しさは感覚です。
利益は事実です。
現場は熱量で回りますが、経営は数字で決まります。
忙しさは安心材料にはなりません。
本当に見るべきなのは、
- 粗利率
- 人件費率
- 固定費比率
- 現金残高の推移
です。
忙しいのに利益が出ていない状態は、
実は一番気づきにくく、そして一番修正が遅れやすい状態でもあります。
だからこそ、「感覚」ではなく「月次の数字」で判断する習慣を、開業時から持つ必要があります。
③ 判断を「気合」で乗り切ろうとする
数字が悪化し始めると、経営者は追い込まれます。
売上が落ちる。
利益が薄くなる。
通帳残高が減っていく。
そのときによくあるのが、
- もっと頑張ろう
- もっと働こう
- もっとサービスしよう
- もっとSNSを更新しよう
という方向に振れることです。
この気持ちは、痛いほど分かります。
開業した店は、自分の夢です。
簡単に「構造が悪い」とは認めたくない。
だから、まず自分の努力量を増やそうとする。
でも、
構造が崩れている状態で努力を増やしても、改善しません。
例えば、
- 原価率が高すぎる
- 客単価設計が甘い
- 固定費が重い
- 回転設計が成立していない
こうした問題がある状態で営業時間だけを延ばしても、
値引きを増やしても、サービスを厚くしても、むしろ利益は削られます。
努力の方向を間違えると、経営は“消耗戦”になります。
必要なのは、
- 固定費の見直し
- 単価設計の再調整
- メニュー構成の再設計
- オペレーションの簡素化
つまり「仕組みの修正」です。
気合は短期的には効きます。
でも、長く続く店をつくるのは、気合ではなく設計です。
経営が苦しくなったときほど、感情ではなく、数字と構造を見る。
ここが分岐点になります。
④ 撤退ラインを決めていない
これは非常に重いテーマですが、避けて通れません。
「どの状態になったら立て直しをやめるのか」
この基準を、開業前に決めている方はほぼいません。
開業前は当然、成功を前提に考えます。
撤退の話をすること自体、縁起でもないと感じる方もいます。
でも実際は、
- 自己資金がどこまで減ったら
- 借入返済比率がどこまで上がったら
- 何ヶ月赤字が続いたら
- 改善施策を何回試しても反応がなければ
というラインを決めておくことは、
ネガティブな話ではなく、経営を守る行為です。
撤退基準がないと、判断が“感情”になります。
「もう少し頑張れば戻るかもしれない」
「次の繁忙期まで続ければ変わるかもしれない」
「ここまで投資したのだからやめられない」
こうした感情は、とても自然です。
ですが、経営において感情は往々にして遅れます。
そしてその遅れは、借入の増加や自己資金の枯渇という形で跳ね返ってきます。
撤退ラインを決めておくということは、失敗を前提にすることではありません。
むしろ、
「どこまでなら安全に挑戦できるか」を明確にすることです。
守るラインが決まっているからこそ、攻める判断も冷静にできます。
開業は勇気が必要です。
でも、続けるためには勇気だけでは足りません。
“やめる基準”まで設計してこそ、本当の意味で準備ができていると言えます。
では、何をやるべきなのか
開業前にやるべきことは、実はシンプルです。
✔ 売上が下振れしたケースで計画を再計算する
→ 最悪の数字で計算することで、資金が枯渇する前に手を打てます
✔ 月次で見る数字を決めておく(見る習慣まで設計する)
→ 売上、原価、人件費、固定費。数字を習慣的に確認することで、感覚だけで判断するリスクを減らせます
✔ 改善アクションを事前に決めておく
→ 売上が落ちたら何をするか、具体策を開業前にシナリオ化しておくと、迷わず動けます
✔ 撤退ラインを数値で決めておく
→ どこまでなら挑戦できるかを明確にすることは、夢を守るための防波堤です
特別なノウハウではありません。
むしろ、地味で当たり前のことです。
でも、ここまでやって開業する人と、
やらずに開業する人では、
5年後、10年後の結果が大きく変わります。
現場で見ていると、
準備を徹底した人の店は、トラブルが起きても冷静に対応できます。
逆に準備を怠った人の店は、数字や人材の問題が積み重なり、
結果的に短期間で経営が厳しくなってしまいます。
開業は夢ですが、夢だけでは守れません。
準備の質こそ、未来の安定に直結します。
まとめ|飲食店は「準備の質」で決まる
飲食店が潰れる理由は、
料理の味ではないことがほとんどです。
崩れるのは、
- 想定の甘さ
- 判断の遅れ
- 数字から目を背けること
開業は夢です。
夢を守るのは設計です。
REDISHでは、
「うまくいく前提」ではなく、
「うまくいかなかった場合まで含めた設計」を、開業前から一緒に作っています。
開業はスタートです。
5年後、10年後も続く店にするために、
楽観を潰す準備から始めましょう。
もし、
「この計画、どこが危険か分からない」
「売上が下振れした場合の対策を考えたい」
「数字の見方や改善アクションを相談したい」
という方は、ぜひ一度REDISHにご相談ください。
私たちが、現場で見てきたリアルな失敗と成功事例をもとに、
あなたの開業計画を安全に、確実に進めるお手伝いをします。
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