Column
コラム
「本当にやっていけるのか?」という一番大きな不安
こんにちは。
REDISHで開業サポートを担当しているYです。
今日は、実際に私たちが伴走した事例をもとに、開業を検討されていたご依頼主様が、どんな不安を抱えながら準備を進めていたのかを、数字を見ながら少しだけお話ししたいと思います。
今回ご紹介するのは、創業融資1,500万円を調達し、開業8ヶ月目で月商337万円を達成した鉄板焼き店の事例です。
この記事のポイント
- 自己資金・固定費・借入への不安を数字で解消する方法
- 融資審査で評価される「ストーリー×数字」の構築術
- 開業成功に必要なのは「覚悟」ではなく「設計」である理由
・自己資金が十分とは言えない(432万円)
・家賃42万円という固定費の重さ
・初期投資総額1,932万円という大きな借入
「経験はある。でも、本当に返済し続けられるのか?」
この不安を“感覚”ではなく“数字”で解消していったのが、今回の支援の本質でした。
実際、開業前の段階ではこうした声がありました。
- 「月商300万円と言われても、正直ピンとこない」
- 「もし想定より売上が落ちたら、資金は何ヶ月もつのか?」
- 「家賃42万円を毎月払い続ける覚悟が、本当に自分にあるのか?」
飲食業の経験は22年。店長として月商450万円を達成した実績もある。それでも、自分のお店となると話は別です。
売上が読めない / 固定費は待ってくれない / 借入の返済は止まらない
“他人の店で結果を出すこと”と、“自分の責任で経営すること”の間には、大きな心理的ギャップがあります。
だからこそ私たちは、まず感情論をいったん横に置きました。代わりに整理したのは、
- 損益分岐点はいくらか
- 月商が200万円の場合の利益はどうなるか
- 150万円まで落ちたら何ヶ月持つか
- FLコスト44.7%は業界水準と比べてどうか
- 返済額14.2万円はキャッシュフロー上どの位置にあるか
つまり、「最悪の場合でも折れない設計」になっているかを確認したのです。
不安は、曖昧な未来から生まれます。でも数字で分解すると、不安は“管理できるリスク”に変わります。
このプロセスを経て、ご依頼主様の言葉はこう変わりました。
「怖さはある。でも、どこまでなら大丈夫か分かっている」
開業に必要なのは、“絶対うまくいく自信”ではありません。“うまくいかなかった場合も想定できている状態”です。
不安①:自己資金432万円で、1,500万円の融資は通るのか?
融資申請先は、日本政策金融公庫。申請額は1,500万円。自己資金は432万円。
一般的に見ると、自己資金比率は決して高いとは言えません。
ここで重要だったのは、「金額」ではなく「返済可能性の根拠」でした。
そこで私たちは、
- 22年間の実務経験の整理
- 店長時代に月商450万円を達成した実績の言語化
- FLコスト比率44.7%という収益構造の明確化
- オープン係数を用いた現実的な売上予測
を事業計画書に落とし込みました。
“自己資金の少なさ”という弱みを、“再現性の高い経験値”で補完する構造をつくったのです。
不安②:月商いくらあれば黒字になるのか?
開業前に最も多い質問がこれです。「で、結局いくら売れれば大丈夫なんですか?」
この店舗の場合、損益分岐点は月商1,811,916円。
つまり、月商180万円を超えれば黒字化できる構造でした。
そして実際には、開業4ヶ月目で黒字転換、開業8ヶ月目で月商約311万円、当期純利益 約49万円という推移。
「なんとなくいけそう」ではなく、“どこを超えれば安全か”を事前に把握できていたことが、精神的な安定につながっていました。
不安③:家賃42万円は高すぎないか?
駅徒歩3分の好立地。月額家賃42万円。数字だけ見ると重く感じます。
しかし売上に対する家賃比率は約13.5%。飲食店としては許容範囲内。
さらに、以下のシミュレーションを行いました。
- ランチ単価1,500円 / ディナー単価7,000円
- 席数23席 / 満席率70%想定
- 週末1.3倍係数
こうした積み上げを行うことで、「払える家賃」なのか「危険な家賃」なのかを明確にしました。
不安の正体は、“数字が見えていないこと”です。
不安を解消したのは「ストーリー×数字」
融資面談で評価されたポイントは、次の4つでした。
・市場分析の具体性 / 競合との差別化戦略 / 原価率35%の根拠 / オープン係数を加味した売上予測
単なる希望的観測ではなく、「なぜこの売上になるのか」を説明できたことが信頼につながりました。
✔ 市場分析は“雰囲気”ではなく“構造”で語る
「駅から近いから人が多い」では弱い。
・平日18日・週末8日という営業日数設定
・週末は平日の1.3倍という来店係数
・満席率70%想定の根拠 / ランチとディナーの回転数の違い
ここまで落とし込むことで、売上は“予想”ではなく“計算結果”になります。
✔ 差別化は“言葉”ではなく“ポジション”で示す
「ちょっと贅沢」というコンセプトも、抽象的なままでは伝わりません。
・周辺は高単価の高級店が中心
・7,000円のディナーで“日常使いできる価格帯”を狙う
・カウンター鉄板によるライブ感で体験価値を強化
価格帯・体験・ターゲットの三点が噛み合っていることを示すことで、「勝ち筋」が明確になります。
✔ 原価率35%は“目標”ではなく“設計”
融資担当者が見るのは、「気合い」ではなく「再現性」です。
・メニュー構成から逆算した食材原価 / 既存店での仕入れ経験
・FL比率44.7%という業界水準と比較した低コスト構造
数字に裏打ちされた原価設計があったからこそ、収益性に説得力が生まれました。
✔ オープン係数で“楽観性”を排除
多くの計画が甘くなるのは、開業初期を楽観視するからです。
・開業初期の集客低下を織り込んだ売上設定
・季節変動を反映した係数 / 12ヶ月の資金繰り表による現金残高管理
「最初は想定より売れない」前提で組んだ計画は、逆に信頼を生みます。
融資審査で見られているのは、「この人はなぜやるのか(ストーリー)」と「本当に返せるのか(数字)」の両方です。22年の経験という“物語”があり、その経験を裏付ける“数値設計”があった。だからこそ、「この事業は回る」と判断してもらえました。
不安を消したのは、ポジティブ思考ではありません。根拠のあるストーリーと、嘘のない数字。この掛け算こそが、融資を通し、開業後の黒字化につながった最大の要因でした。
開業前にやるべきことは「覚悟」ではなく「設計」
多くの方が、気合い・情熱・覚悟で開業しようとします。しかし実際に融資を通し、黒字化まで到達するために本当に必要なのは、感情ではなく“数字で語れる設計図”です。
✔ 設計があれば不安は管理できる
「家賃42万円を毎月払えるか?」「月商300万円は現実的か?」「売上が落ちたら資金は何ヶ月もつのか?」
こうした疑問も、可視化すれば管理可能なリスクに変わります。設計図があることで、感覚的な不安ではなく、数字で判断できる安心感が生まれるのです。
✔ ストーリーと数字を掛け合わせる
22年の飲食経験という“物語”、FL比率44.7%という低コスト構造、現実的な売上予測。これらを組み合わせることで、数字に裏付けられた説得力のある事業計画を作成できました。
詳細な売上構造や融資審査のポイントについては、こちらのコラムでさらに深く解説しています。
【創業融資1,500万円】20年の経験と好立地を武器に!ちょっと贅沢な鉄板焼き店
設計の有無が、開業成功と不安の差を分けます。あなたの開業ストーリーも、数字で語れる設計図を持つことで、着実に形にしていくことが可能です。
まとめ
「自分にもできるのだろうか?」これは、ほぼすべてのご相談者様が開業前に抱く自然な疑問です。
でも実は、不安がある人ほど、慎重に準備する人ほど、数字と向き合える人ほど、成功確率はむしろ高くなります。
- 不安をチャンスに変える:融資の不安は返済計画で可視化する
- 家賃の重さは損益分岐点で安全圏を把握する
- 売上の根拠を整理して説得力を確保する
不安と向き合い、数字で整理するプロセスこそが、開業成功の土台になります。
あなたの開業ストーリーを、“感覚”ではなく“再現性のある計画”に変えるお手伝いを、私たちが全力でサポートします。
☎️ お急ぎの方は、お電話でもご相談いただけます!
受付時間:平日 9:00〜20:00
※時間外は留守番電話にメッセージをお入れください。折り返しご連絡いたします。
※田邊が出られない場合は、沢田または金山がご対応いたします。






