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重飲食の物件を決めるのは大変?うまく交渉をしていくには? ~導入編~

今回のテーマは重飲食の開業について。
多くの火や油を扱う飲食業は重飲食と呼ばれています。
しかしこの重飲食に対応した物件を見つけるのはなかなか難しいのです。
今回は重飲食の物件探しの方法について前編・後編に分けてお話していきます。

どこまでが重飲食?


定義としては、重飲食は多くの火や油を使い煙やにおいが大量に出やすい飲食の業種、とされています。
反対の言葉としては、軽飲食は本格的な調理を行わず、調理をする際に臭いや煙が出にくい飲食業種であるとされます。
乾きものを提供するのみのバー・スナック、サンドイッチなど出来合いのものを温めたり家庭用コンロだけで提供できるカフェなど。
定義としては以上のようなものになります。

お店を開業するにあたり物件を探していると、
「重飲食不可」「飲食不可」とさまざまな条件があります。

焼肉店・鉄板焼き屋・焼き鳥店は重飲食であることは分かりやすいでしょう。
さて、寿司・そば店はどうなるでしょうか?
寿司は生魚を捌いて提供するのみで、火はあまり使わなそうです。
そばは茹でるときに主に火を使うのみで多くの油や火を扱うわけではなさそうです。
どちらに値するでしょうか?

少しすっきりしない答えになるのですが、最適な答えは、「重飲食か軽飲食かどうかはビルオーナーの判断による」ということになります。

各ビルオーナーが、近隣テナントや設備の都合から重飲食であるかどうかという判断を下し、受け入れの可否を決めます。

そのように、各ビルに問い合わせてみないと、自分の店舗が重飲食か軽飲食かどうかはわからないのです。

意外なポイントで言うと、自家焙煎珈琲のカフェは、火力を多く使うため重飲食とカウントされる場合もあります。

重飲食の物件利用は断られやすい!そのわけとは?

煙・匂いによるクレームが入る可能性があるから

火や油を多く使えば使うほど臭気の問題が目立ってきます。
煙・匂いによるクレームが多く入ることを考慮して、重飲食を受け入れないというパターンがあります。
店舗にクレームが行くだけでなく、「あの店舗を受け入れたのはあなただろう」と、ビルオーナーにすらクレームが入り、管理人としても動かなければならないということがあるのです。

煙やにおいは壁紙に移ったりもするので、物件としての価値も下がり魅力が下がってしまう点も気にされるオーナーは多いです。

ビルの電気容量やガス管の設備が不十分であることから

これは、管理人の私的判断というよりも、ビルの基本設備が入居希望店舗の電気ガスの使用に耐え切れず、ここでの開業が不可能なため断らざるを得ないというケースになります。
過剰電力によるブレーカーが落ちてしまうことなどを懸念して、お断りしているというオーナーが多いです。

仮に「ここで絶対に開業をしたい!」とオーナーに設備容量の増設工事の許可をもらうケースもあるのですが、その費用はもちろん開業費に足されるため、開業時に大きな負担となります。実際にその増設工事を自費で行うほどの意義がその物件にあるかどうかを考えてから行うようにしましょう。

大掛かりな設備で建物に穴をあけることへの忌避から

十分な給排気のダクトなどを通すにあたり、中にも外にも大きな穴をビルにあけなければなりません。
ビルはビルオーナーの資産でもあるため、綺麗な状態を保っておきたいというのが本心でしょう。
そのような理由により、大掛かりな設備による建物躯体への穴が開くことをオーナーが敬遠して重飲食の入居を断るというパターンがあります。
穴をあけてすぐテナントを出られたりしては、開けただけの意味もないとされてしまいます。あまり重飲食の入居に前向きでなくても、長く続けてもらえそうな経歴のある、躯体に穴をあけても良いだろうと言えるであれば認めてもらえることもあるでしょう。

単純なオーナーの好み

ここを覆すのは非常に難しいところで、飲食店やスーパーがあるだけで付近は虫が湧きやすくなった、などの経験かなにかがあるのでしょう。
それ以降、大小問わず忌避しているとなると、説得するのは大変です。

それを納得させられるほどのやり取りとなると、相当な経歴と相当な熱意、具体的な実証を話さなければいけないなど非常にカロリーをつかう交渉となってしまうでしょう。

何が何でもそこで行いたいという意志でない限り、他の物件に当たった方が圧倒的に早く飲食開業に理解のある良い物件を見つけられるかもしれません。

実際、どんな設備が必要なのか?

防火加工された壁

防火壁紙を貼るなどの加工を施工時点で行う必要があります。
なるべく安いものを…と、水ぶきしてへたってしまうような材質のものを貼り付けてしまうと結局短期間で張替えが必要となってしまったり無駄が多くなってしまいます。

きちんと適切な位置に排気ができるダクト

物件の階数の高さ×店舗の入る階によってはこのダクトの工事費が資金を食いつくしてしまう可能性があります。
たとえば7階建てのビルの2階に焼肉店を立てるとしましょう。左右のビルに向けて排気される作りだとクレームが来てやまないので、ダクトを最上階に向けないといけません。
2階から7階までの約5回分の長いダクトを上に向けて通すとなると、どれだけの長さを要するでしょうか?
ざっくりでも15メートル近くの長さのダクトを設置しなければ適切な排気ができません。
その長さが長ければ長いほど莫大な工事費となってしまいます。
なので、伸ばさなければならないダクトの長さにも気を配って物件を探していったり、居抜きで設備が整っている物件を探すことをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
物件に与える影響が多い重飲食は、物件を探すことが難しい分野とされていることが少しわかりましたでしょうか?
次回は重飲食OKの物件を探しやすい方法、物件探しにおいて気を付けるポイントについてお話します。