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コラム

ダイニングイノベーション西山知義が語る成功する店づくり6つのポイント コロナ禍を生き抜く戦略とは【リディッシュ松隈が聞く!飲食の未来vol.1】

「飲食店経営を豊かに」をビジョンに掲げ、集客・会計システムなど多角的にサービスを展開するリディッシュ株式会社代表・松隈剛が、飲食業界のトップランナーに飲食の未来を聞く「松隈が聞く!」シリーズ。

第1回は株式会社ダイニングイノベーション創設者、西山知義氏が登場。

コロナ禍も続く西山氏の快進撃

2020年から飲食業界に大打撃を与えたコロナ禍は1年を過ぎた今、沈静化するどころか時短営業、酒類禁止とさらに状況を悪化し続けている。しかし、まるでこんな世の中になることを予測していたかのようにいち早くニーズに合った業態を誕生させ繁盛店を作り上げた人物がいる。「炭火焼肉酒家 牛角」をはじめ「しゃぶしゃぶ温野菜」「居酒屋 土間土間」など数々のチェーン店を成功させ、外食産業を牽引しているリーダー的存在である西山知義氏だ。

西山氏が起業した1人専用無煙ロースターで焼く“ひとり焼肉”の「焼肉ライク」は今年1月〜6月までに国内13店舗、海外6店舗をオープンさせ、2018年の第1号店からいまや78店舗まで拡大し、コロナ禍でも出店スピードが加速している。また2020年11月10日にオープンした非接触型持ち帰り専門の「ブルースターバーガー」はたった16坪で平均800万円から850万円の売上を出している。

多数の飲食店が減収、廃業に追い込まれる今、いったいどうしてこの快進撃が成されるのだろうか。今回は開業を目指す読者に向け、「成功する店の作り方とコロナ禍に対する戦略」についてインタビューした。

西山氏は飲食店経営者向けに自身の経験に基づく開業のノウハウなどを伝授する「西山塾」を開講しており、毎回立ち見が出るほどの人気ぶり。塾生には「串カツ田中」の株式会社田中ホールディングス代表取締役社長の貫 啓二氏や、「肉汁餃子のダンダダン」を展開する株式会社NATTY SWANKY 代表取締役社長の井石裕二氏の他、成功者が多数いると聞けばどれほどの価値か納得できるだろう。

“外食産業の神”とも呼ばれる西山氏の話は必ずやこの時代を乗り切るヒントとなるに違いない。

いざ開業!成功へ導く6つのポイント

松隈:次から次へと「こういう店が欲しかった」と思わせる事業を展開されますが、どうやって店作りをされるのでしょうか?

西山:そうですね。まず、どんな店にするかを決めなければなりません。

1)料理人 2)場所 3)メニュー 4)客単価 5)規模 6)PR、この6つのピースがうまくハマると良い店ができます。

例えばファストフードなのに人通りの少ない場所だったり、客単価が3,000円と言われる地域で20,000円を超える店にしたり、そういうのは大抵うまくいかない。また、料理人に魅力があれば1店舗のみにすべきだし、そうでなければ店舗数を増やして稼ぐ業態にすべきでしょう。まずは「誰が」「どんな場所で」「どんな料理を」を考えます。

店の大枠が決まったら次は、その店を「どのくらいの規模にしたいのか」を考える。1店なのか10店なのか100店なのか、ゴールする規模によって、立地条件や客単価が変わります。例えば「牛角」は最初から全国で300店出すと決めていました。その規模だと客単価は3,000円と予測しました。5,000円だと100店くらい。

「KINTAN」は高級焼肉というコンセプトだったので10店くらいがせいぜいです。だから表参道や恵比寿といったハイソサエティな場所に出店しました。事業を始めるにあたり規模感はとても大事ですね。規模感が決まれば自ずと客単価も決まるので、今度はメニューがイメージできます。そして最後に「どうやって認知してもらうか」、つまり宣伝方法を考えます。「牛角」の立ち上げ当時は折込チラシがいちばんでした。「焼肉ライク」のような唯一無二であるとか「ブルースターバーガー」のように新しい業態はTVや媒体が取材に来てくれたりするのですが、住宅街にある「Vansan」や「やきとり家すみれ」は変わらず折込チラシですよ。PRの方法も出店場所によって変えています。

松隈:よくコンセプトが大事と言われますが?

西山:コンセプト作りで重要なのは“強い業態”を作ることです。強い業態とは何かというとお客さまが並びたくなる店です。言い換えると“今までにない店”で、繁盛店にするにはこれが必要不可欠です。今までにないものの意味は、まったくないジャンルやオリジナル料理、または「牛角」のように、焼肉店はあったけどあの単価であのクオリティの肉をあの雰囲気のあの立地でというのが、今までになかった、ということもあります。何れにしても今までにない店や業態が並んでも行きたくなる価値であり、それが繁盛店となり、強い業態を作るのです。

松隈:そうやって最初の店である『焼肉市場 七輪(牛角の前身)』を作られたのですか?

西山:そうです。1996年当時、焼肉マーケットはおよそ5,700億円、17,200店舗ありました。チェーン店は「安楽亭」と「叙々苑」くらいで、あとは個人店。しかも高いか安いかの両極で、20〜30代向けが行きたくなるような雰囲気で、行きやすいとされる客単価3,000円くらいの店がなかった。だから絶対に当たるという自信はどこかにあって300店という目標を掲げました。ただし焼肉というマーケットだから300店できたのです。週末に家族で「夕飯、何食べる?」って言った時に挙げられるジャンルでなければいきなり300店の目標は無理だったと思います。あと、子供が行きたいって言うのも肝心ですね。

それから何店舗か立ち上げた頃、郊外で駐車場付きという要望が多く、最初の構想にはなかったけれど試しに作ったら、これが勢いを加速させ300店の予定が850店になりました。だから「牛角」と並行して郊外向け業態の「焼肉きんぐ」「しゃぶしゃぶ温野菜」も立ち上げました。「牛角」は商店街向けだったので構造が違います。

松隈:コンセプトができて初出店は三軒茶屋でしたが、これはなぜでしょうか?

西山:地元が桜新町だったので三軒茶屋という街のマーケティングができていたからです。さらに不動産業を経営していたので駅周辺のリサーチができていたのも強みだったと思います。ただしあくまでも数字の根拠でしかないので、場所が決まったら駅付近を歩いて空き物件を探したり、地元の不動産屋でこれから出る物件情報を聞いてみます。今でも出店する時は必ず駅周辺を歩いて、あらゆる角度から情報をキャッチします。その物件の周囲の店に行ってどんな人たちが何を食べていくらくらい使っているか、どんなシチュエーション(グループ、家族、カップル、接待など)なのか、何時間くらい滞在しているかなどを調査して、自分の店に合っているかを確認します。いちばん最悪なのは“立地間違い”です。なぜなら投資してしまうからで、この場所じゃなかったと思っても取り返しがつかない。

「牛角」成功の理由「お客さまの会話に改善できるヒントが飛び交っている」

松隈:出店場所が決まり、開店準備に入ったわけですね?

西山:はい。最初に投資したのは600万円です。資金力なんてまったくありませんでした。厨房設備が付いた居抜き物件で、内装業をやっている友達にダクトだけ付けてもらったけど全然吸わなくて、店中モクモクになっちゃった(笑)。人件費だってないからスタッフは(経営している)不動産会社の社員と家族だったし、味は焼肉店の本を買ってレシピ見て家で作って家族に意見を聞いていました。

飲食はまったくの素人でコネクションなんて一切ないので、タウンページから仕入れ業者さんに片っ端から電話して押しかけました。何処の馬の骨かもわからない若造が突然電話してきて仕入れさせてくださいって言っているわけだからもちろん待遇は悪く、サンプルにだって料金を支払っていました。話を聞いてくれた何軒かから肉を取り寄せていちばん安くておいしかった業者さんにしましたが、途中から肉質が違ってきたので呼び出して怒っても個体差があるって言い訳するんですよ。だから肉の写真を撮ってサシの入り方を確認していました。

知識がないから疑問に思ったことは何でも聞く。いわゆる“業界の常識”がわからないから怖いもの知らずだったんです。本当に毎日が勉強でした。とにかく問題は日々起きる。起きたことは仕方ないとしても、でもそこで何で起きたのか? どうすれば良いのかを考えてひとつひとつ完全に解決するようにしました。

「牛角」が成功したのは「どうしてこうなのだろうか? こうしたらいいのに」と、常に疑問を持つ、分析してわからないことは曖昧にせず勉強して解決し、その問題は二度と起きないようにする、これを繰り返したからだと思います。

松隈:最初から順風満帆だったのですか?

西山:まさか、そんなうまくはいきませんよ。本当に閑古鳥が鳴いていました。でも絶対当たると自信を持って始めているので、なぜお客さまが来ないのか自分では理由がわからないわけです。だからお客さまに何がいけないのか、どう感じたかを聞くことにしました。大抵の人は「おいしかったです」と言って二度と来なくなるだけなので、悪口言ってくれたら300円払いますってお願いしていました。

松隈:お客さまの意見によって流れが変わったということですか?

西山:「店作り」とは、こういう店なら絶対流行るはずという“自身の仮説”なのです。大事なのはその仮説に疑いを持つこと。だから常に自分と違う意見を聞くようにしています。ただし取り入れるのは多数の意見であることと、ポリシーに合っていることが条件です。だって10人中9人は良いって言っているのに1人に否定されたからといって変える必要はないし、5000円のフレンチなのに5万円クラスの店と比べられてもそもそもの土俵が違うので当てはまらない。

あと、「他人の意見は聞いているよ!」という人ほど実はできていないものです。立地が良いのにうまくいかない要因は自分を客観的に見られないか、舌が悪いか、やる気がないか、なのです。飲食店をやろうとするくらいだから舌は良いはずで、まぁ、普通にやる気もあるでしょう。そうすると客観性がないということになりますよね。それを解決してくれるのが、“お客さまの声”なのです。

コンセプトに信念を持つのは良いことだけど、頑固になってはいけない。店の中では「ちょっと量を少なくしてもう少し安かったらいいのに」「塩味が強いよね」など、お客さまの会話に改善できるヒントが飛び交っているものです。そういう大事な意見を聞きもせずに自分のスタイルを崩したくないって言うなら商売としては成功しない。商売とは自分のやりたいことを貫くことではなく、お客さまに自分のやりたいことを気に入ってもらって利益を出すことなのです。もちろんやりたいことと利益が結びつくのがいちばんだけど、利益が出ないということは商売ではなく趣味です。うまくいかないのはお客さまからNOと言われているサインだということを理解すべきなのです。その現状をしっかり受け止めて改善すれば絶対に成功するはず。成功している店はお客さまに「どうでした?」って必ず聞いていますよ。

松隈:ではズバリ、成功する秘訣って何でしょうか?

西山:退路がないこと! 崖っぷちに立っているからやるしかない。そりゃ、死ぬ気で頑張りますよ。何とかなるんじゃないかって思っている人は成功しないと思います。

オープン後の問題点にどう立ち向かうか

松隈:1店舗目が軌道に乗って2店舗目はいつ頃オープンしようと考えましたか?

西山: 4ヶ月目から売上が急激にアップしたので物件を探し始め、2店舗目を出すまでの期間は8ヶ月でした。売上が良いとは言え、1店舗目で資金は使ってしまったので全部リースにしました。でも儲かることがわかったから同じことをやるだけなので不安はありませんでした。2店舗目の店長は地元の同級生でした。電話して「うちにこいよ、絶対すごいことになるから!」って散々夢を語りました。今の社員も全員そうですよ。一緒に居酒屋で酒を飲みながら「将来、どんな家に住みたい?」とか、「ベンツ乗りたいだろ? うちにいたら時間の問題だから」って悪徳勧誘(笑)みたいなこと言って来てもらいました。そう言って自分にわざとプレッシャーかけたっていうのもあります。ベンツ乗れなかったらどうしようって(笑)。

松隈:店舗数を増やしていった時に成功する要素がすべてクリアだったとしても黒字にならない店があるとしたら?

西山:うちの場合は基本的に8ヶ月で黒字にならなければ閉店というルールで出店します。根拠は8ヶ月経てばある程度周囲に認知できているのにリピートされていないという“結果”が出るからです。つまり初来店しているかどうかとリピートしているかどうかの2パターンからみて、8ヶ月という期間があれば成功か失敗かのジャッジができるというわけです。

もちろんその間にメニューの見直しをします。1店舗目から取り組んできたことで、非常に役に立っていることがあります。それはお客さまを“組”で考えることです。“組”というのは女子会なのか家族なのか、会社の飲み会なのか、カップルなのかという意味ですが、その組ごとに前菜、副菜、メイン、締めご飯、サラダ、デザートのメニューを考えていくのです。

例えば、夫婦と子供のいる主婦が女友達と来店した場合、パクチーサラダを頼むのに家族と来店したら子供のためにポテトサラダを頼む。このようにすべてのペルソナ(ターゲットとなる顧客像)に対して欲しいメニューがあるかどうか、余計なものはないか、どうして必要なのかを吟味する。それを定期的に見直して改善していきます。

しかし、最初に話した1)料理人 2)場所 3)メニュー 4)客単価 5)規模 6)PRができていて、さらにこれだけ改善も努力もして黒字にならなければ8ヶ月で閉店ですね。うちのように出店数があれば、毎月モニタリングしてデータを取っていますし、QSC(=Quality、Service、Cleanliness)が同じという前提であれば、1店舗目が良くて2店舗目が悪いのは立地が原因です。それであれば早く閉店して切り替えたほうが良いですよね。

松隈:他に注意しなければいけないことは?

西山:そうですね、2店舗目で違うことをやりたがる人がいますが、これは間違いです。成功している(=今までにない良いものを見つけた)というのに違うことをやる必要はない。何店舗か成功させてから別事業として立ち上げた方がうまくいきます。

またうちは毎週、各業態ごとのミーティングを行い、目標に対しての達成率、課題や問題点をどう解決し現在はどうなっているかの進捗まで報告しています。あっという間に1週間経つので大変ですが、対面で話すことで数字だけでは見えないことが見えますし、問題点を必ず解決しているので業績は確実に良くなります。

経営者の立場からという視点であれば、“YES MAN”を周りに置かないことですね。私の周りにいる人たちは私と意見が一致すればYESと言ってくれますが、違った場合は手厳しく否定します。もうちょっと言い方あるんじゃないかなって思うくらい(笑)。これは過去の経験から学んだことですが、対等に議論できる人と仕事するようにしています。お客さまの声を聞くのと同じですね。

松隈:そういう人材が周りにいるのですね。経営者のみなさんは良い人材を確保するのが難しいと言っていますが?

西山:私は他人の心理を理解することを大事にしています。自分の評価と他人の評価にギャップがあったり、人間はサボりたいと思うものだとか、失敗したときに嘘をついたり隠したりするとか、経営していると本当にいろいろあります。だから成功している経営者は他人の心理を理解して、その人が納得できる対策をしていますよ。

それには会社としての指針を示すこと。誰かに何か言われたらからといってアタフタせずにブレないことですね。言ったように頑なになってはいけませんが他人の意見は問題点を改善するために聞くのであって軸がブレるのは本末転倒です。そうしていれば右腕となる人材が育ってくれます。

そういう意味で言うと、今回のコロナ対策(※インタビューは2021年4月27日に実施)は人の心理を理解できていませんね。東京で酒類提供禁止にしたら飲めるところに行きますよね。事実、みんな外で飲んでいます。それに大義がないのが問題です。緊急事態宣言を出してからの1年数ヶ月の分析結果を出して重症化したケースの特徴を国民に報告して、「分析の結果、これとこれはしてはいけないことがわかりました。日常を戻すためにあと何ヶ月必要なのでそれまで耐えてください」って言われれば頑張れる。今、政府は目の前のものに場当たりで対処しているとしか思えないし、しかもそれが正しいと言えない提案ばかりです。もし本当にコロナで3割死者が出たらみんな家にいますよ。でも現実は違うでしょう? だから「そうは言ったって……、」と思ってしまうので誰も守らない。この2年間ずっと言うこと聞いてきたけど根拠のない方針と無責任さにもう飲食店はみんな怒っています。

国の指針がないから出てくる問題にアタフタしてとりあえずの対策しか取れない。毎日感染者数を言うことで不安を煽るばかりで、マネジメントができていない象徴ですよね。

だから今回の対策では間違いなく感染者数は減らないし、逆に東京から出てしまうから地方まで蔓延する。一旦緩和されても(過去に出した緊急事態宣言と)同じレベルになればまた宣言を出すしかない。すると今度はメディアが騒ぎ出すから焦る。政治家以外はみんないい加減にしてくれって話ですよ。

本来、政府がやるべきことは病床とワクチンを増やすことです。すべての飲食店に補償なんてできるわけがないのだから、病床とワクチンにお金かけるべきなのです。おそらく(コロナが)終わってみて使った金と成果が全く反映されていないことに気がつき、焦って税金をあげるでしょう。本当に話になりませんね。日本人は犠牲の上に成り立つことを良しとしてしまう国民性があって、そういう(国民の)気持ちに甘えていると思う。もはやコロナ感染による死亡者数より、宣言によって経営不振に陥った自殺者の方が多いと言われている。そういう現状をわかっていない、もしくは見て見ぬ振りをしているのです。

これからの時代を生き抜くには

松隈:コロナのお話の流れで、これからどうなると予測しますか?

西山:2023年にはコロナは収束していると思いますよ。2022年で全世界的にワクチンが行き渡り、海外渡航も自由になるのではないでしょうか。繁華街はコロナ以前の状態に戻ると思いますが、リモートワークで業務が遂行できるようになってしまったオフィス街はどうかな、毎日出社するという働き方じゃなくなるかもしれない。一方、繁華街は人と会うことが目的なので、その欲求は集まることでしか解消されない。だから繁華街の活気は戻ると思います。これから出店するとしたらオフィス街だけは業態をコロナ以前と変えた方が良いと思います。

松隈:これから債務超過になっている店が増えるのではないかと思いますが。

西山:そうですね。残念ながらすでに債務超過になっている店が増えています。特に都心の、規模が大きい居酒屋系は辛いと思います。これから借入の返済が始まったら打つ手がないですよね。だから今、お金があるうちに収益があるものだけに投資する、なければ閉店して少しでも資金を残し、コロナが収束した時に再出発するのが懸命かもしれませんね。それぞれ状況が違うので一概にこうしたらとは言えないけれど、コロナ禍では早めの決断が大切だと思います。

松隈:では西山さんがコロナ禍で店を作るとしたら?

西山:コロナ前もコロナ中も業績が良かったファストフードです。イートインもデリバリーもテイクアウトもすべてに強い。これからは“孤食”の時代、つまりひとりで食べに行きやすいものが主流になると思います。

世界の外食NO.1はファストフードです。店舗数を広げられるからマーケットが大きい。特に私は規模感を追い求めているのでこの時代にやるとしたらファストフードですが、もし1店舗だけで完結するならば“今までにない店”であること。それが前提であればジャンルは何でも可能だと思います。残念ながらコロナで廃業してしまった店が多く、今まであったものがないものに変わったいまがチャンスと言えます。なかなか空かなかった良い物件も出てきているので、状況が落ち着いたらすぐオープンできるように、早く準備した方が良いですね。

松隈後記

西山さんのインタビューの中で、一番印象に残ったのは、飲食店を経営するにあたり、非常にロジカルな取り組みをされていることです。

これだけの成功を収められた実績をお持ちなので、当然感性も素晴らしいに違いないのですが、数字がしっかり頭に入ったうえでビジネスを組み立てているのが印象的でした。それに加えて、どこがよくてどこがうまくいかないのかという点について、徹底的に仮説検証・試行錯誤を繰り返し、一定期間トライしてダメだったら潔く撤退するという方針については、どこまでやり切れるかがポイントだと思いました。

西山さんは、規模の大きな飲食ビジネスを志向されているので、小規模の飲食店にとっては当てはまりにくい部分もあるとは思いますが、他にはないものを作る、仮説検証・試行錯誤を繰り返すなどは、飲食店を経営するにあたり、頭に入れておくべき示唆に富んだアドバイスです。

われわれは、飲食店そのものは手掛けておらず、パートナーとして支援する立場ですが、西山さんから頂戴したアドバイスは、直接間接問わず、飲食店経営に携わる方だったら、必ず知っておきたい内容だと思います。

今後もわれわれの視点から、かかわっている飲食店の方々、ひいてはできるだけ業界広く知見を共有していきたいと思っております。

【プロフィール】
西山知義
株式会社Dining Innovation Investmentファウンダー
1996年、外食産業に参入し、レインズインターナショナル創業。当時、高級料理という焼肉のイメージをリーズナブルでハイカジュアルに一新、炭火焼肉チェーン「牛角」を創業からわずか7年でグループ1000店舗まで拡大し、2012年に同社を売却。2013年に株式会社ダイニングイノベーションを設立、「やきとり家すみれ」から始まり、「焼肉ライク」「寿司あおい」「しゃぶしゃぶれたす」「VANSAN」など、時代のニーズにあった業態をプロデュース&アドバイザーとして次々と成功させている。

松隈 剛
公認会計士資格取得後、監査法人、ファンドマネジャーを経て、2015年に飲食店の経営課題を解決すべく、リディッシュ株式会社を創業。飲食店における「売上の最大化」と「コストの最小化」をテーマに、クラウドファンディング支援サービス「Make Story」と会計税務サービス「Cross Point」を展開。

文=高橋 綾子
取材日:2021年4月27日

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