Column

コラム

【飲食店開業講座】店舗自体の投資に関する費用について解説!

飲食店開業をする上で最も苦労するのが初期投資です。

いくら用意できて、何にどのくらい使えるのかというところをしっかりと見極めていかないと、結局は自分の首を絞めてしまうことになりますよね。

そこで今回は、初期投資の中でも、店舗自体にどのくらいの費用の投資が必要なのか、細かく紹介していきます。

1 店舗自体の投資費用は何にかかるのか

飲食店を開業するにあたって、必要な初期費用の中で最も大きな割合を占めるのは、物件と設備の費用です。

そこに、人件費や材料費などの運転費用や経費が上乗せされます。

それでは、これらの店舗自体の投資費用がどのようにかかるのかを見ていきましょう。

この費用は居抜き物件を使うのか、スケルトン物件を使うのかで変わります。

1-1 居抜き物件の場合

まず、居抜き物件のケースを見ていきましょう。

居抜き物件とは、前のテナントが使っていた設備や備品をそのまま使うことができる物件です。

選ぶ物件によって、引き継ぐことができる設備が変わってしまいます。

なので一概には言えませんが主に、

・内装の改装
・外装の改装
・厨房機器の改装、メンテナンス
・食器
・備品

などが必要です。

しかし、ベースがあるものなので、予算が足りなければ改装をせずに、すでにあるものを使うこともできます

したがって、店舗デザインの改装と、食器を含めた備品などがかかる費用の中心だと言えます。

1-2 スケルトン物件の場合

次に、スケルトン物件のケースを見てみましょう。

スケルトン物件は、コンクリートがむき出しの状態で、内装がほとんど施されていない物件です。

このスケルトンの状態で貸し借りや返却が行われるため、物件の大半がスケルトン物件となります。

そのため、自分が理想とするように店内をデザインできますが、その分、下記の費用がかかります。

・内装
・外装
・キッチンなどの厨房機器
・食器
・備品

内装にはトイレや水道などの設備も含まれ、店舗を完全に一から作っていくことになります。

2 店舗自体の投資費用の内訳

それでは、必要な投資費用は何にどのくらいかかるのでしょうか。

ここでは、物件費用を除いた投資費用について解説していきます。

その内訳をみていきましょう。

2-1 内・外装費

お店の内外の装飾にはかなりの費用がかかります。

2-1-1. 内装費

内装費には、店内のデザインやテーブル、椅子などさまざまなものが含まれます。

その金額は、お店の形態や大きさ、コンセプトに左右されます。

以下はお店の形態ごとの目安となる金額です。

・中華:約30万円/坪
・居酒屋:約35万円/坪
・バー:約35万円/坪
・洋食:約35万円/坪
・和食:約50万円/坪
・焼肉:約120万円/坪
・鉄板焼き:約120万円/坪

通常のテーブルに客が来るスタイルのお店では、1坪当たり30万~40万円がかかります。
和室を設けたりする和食や、テーブルごとに鉄板や無煙ロースター、吸煙設備を設置しなければならない焼き肉、鉄板焼きでは、さらに大きな費用が必要になります。

2-1-2 外装費

外装にかかる費用は装飾をする素材によって左右されます。

素材ごとの費用相場は、

・モルタル塗り壁:約2,000~8,000円/㎡
・窯業系サイディング:約約3,000円~15,000円/㎡
・アルミニウムサイディング:約5,000~8,500円/㎡
・ガルバニウム鋼板サイディング:約3,500~6,000円/㎡
・ALCパネル:約5,500円~10,000円/㎡
・タイル:約1万3,000~3万5,000円/㎡
・漆喰などの左官材:1万~1万5千円/㎡

など値段の幅はさまざまです。

塗装が必要な部分を限定したり、さまざまな塗装を組み合わせることで費用を抑えましょう。

2-2 設備費

飲食店の開業に必要な費用として、意外と甘く見てしまいがちなのが設備費です。

設備費は主に、厨房機器、水道、電気、ガス、空調などの費用で構成されています。

2-2-1 厨房機器

厨房機器は、お店の形態によって大きく費用が異なります。

例えば、カフェのように調理行程が少ないお店と、規模の大きな高級レストランでは必要となるキッチンに大きな差があります。

具体的な費用例として、

・冷蔵庫・冷凍庫 30万円~70万円
・製氷機器 30万円~70万円
・オーブン・レンジ 25万円~45万円
・シンク 20万円~45万円
・食器洗浄機 40万~55万円
・フライヤー 10万円~20万円
・焼き台 10万円~20万円

があります。

しっかりとした料理を提供する場合では、250万~300万円は必要になると思った方が良いでしょう。

2-2-2. 水道

水道工事費は、一からの設置が必要なスケルトン物件では、60万~120万円ほどが必要になります。

この費用には厨房機器やトイレに必要な金額は含まれていないため、それらも別途でかかることに留意してください。

油脂が下水に流れ込むのを防ぐグリストラップの設置は、地域によってはなくても保健所の審査を通ることがあります。

なので、費用を削減したい人は設置をしないで済ませたいと思うかもしれません。

しかし、このグリストラップがないと、排水管や下水道管を詰まらせて故障させてしまうリスクがあります

この場合、何百万円と賠償金が発生してしまうので、グリストラップの費用は削るべきではないと言えます。

2-2-3 電気

電気の工事費用に関して、電気容量が金額に大きく関わってきます。

飲食店では、電気の使用量がとても多いので50アンペア、大きいお店では60アンペア以上が必要になります。

そのため、物件の電気容量が足りなかった場合は、容量を大きくする工事が必要になります。

この工事にはおおよそ1~2万円がかかります。

これらの工事以外では、照明や空調などの配線工事が必要です。

70~120万円ほど必要になる大掛かりな作業なので、しっかりと業者を選定することが大切です。

2-2-4 ガス

ガス工事では、配管の工事の費用として40万円ほどが必要です。

しかし、建物がテナントなのか、独立しているのかによって、ガス環境は大きく変わってきます。

物件を見つけたらきちんと査定して、正確な見積もりを立てたいところです。

2-2-5 空調

空調に関しては、業務用のエアコンの設置に費用がかかります。

1フロアにつき80~120万円が目安となります。

室外機の距離や部屋の広さによって、エアコンの馬力が強いものを選択する必要がでるため、その分金額は上がります。

また、設置作業も、部屋の位置や階数によって、金額に幅が出る要素です。

もし居抜き物件で、もとからエアコンが設置されているのなら、かなりの場合で交換の必要がなくなります。

しかし、もし壊れていたり、うまく動かないならば、原因をプロに見てもらいましょう。

室外機が壊れていて動かないならば、結果的な金額があまり変わらないので、修理するより交換がおすすめです。

2-3 開業時の諸経費

開業の際にかかる店舗自体の費用は他にも、レジ設置費用や看板施工費用など多く存在します。

これらは、50~300万円ほどと見た方が良いでしょう。

例えばレジの場合、POSレジの導入には1台当たり15~30万円ほどかかります。

飲食店でレジの数が複数個必要な場面はあまりありませんが、ここからさらに月額で1万円前後必要になるため、かなりの資金の準備をしなければいけません。

2-4 投資費用の内訳まとめ

ここまで見ていただいて、かなりの金額が必要になると思ったのではないでしょうか。

物件の賃料ばかりに目が行きがちですが、物件費用を除いても何百万円もの費用が必要です。

この費用までしっかりと計算に入れて準備していくことが大切ですね。

3 店舗の投資費用で節約するべきポイント

それでは、この投資費用を節約していくために重要なポイントとはどのようなものなのでしょうか。

それは「よい物件を選ぶ」です。

これは一見当たり前のことですが、とても重要です。

物件を見る中で大切にしてもらいたいポイントが

「水道・電気・ガス・空調などの設備がしっかりとしている」

ということです。

工事が必要な箇所が少なければ、その分デザインや厨房機器にお金を使うことができます

このように物件に徹底的にこだわることで、集客や売り上げにつながるだけでなく、初期費用の削減にもつながるのです。

4 店舗自体の投資費用のまとめ

店舗自体の投資費用は、600万円~1000万円ほどかかります。

これだけの資金を捻出することは当然簡単ではないですし、なるべく費用を抑えていかなければいけません。

しかし、設備や装飾がお客の満足度、ひいては売り上げにつながってしまうのが飲食店です。

なので、費用を抑えるのではなく、できる限り資金を集め、同じ金額でもより良いものを探すということが重要だと言えます。

資金獲得の中でも特にオススメなのが、クラウドファンディングです。

クラウドファンディングには、出資者がお店のサポーターとして、開店後も支え続けてくれやすいというメリットがあります。

クラウドファンディングについても別の記事で詳しく説明しているので、下記リンクをご参照ください。

【クラウドファンディング】飲食店のための資金獲得方法を解説!クラウドファンディングの資金獲得方法の解説! 飲食店を開業しようとしている人の多くが直面する問題が初期資金の確保です。 近年…

より良い物件や、開店するエリアの探し方など、効果的なお金の使い方をすることが成功への近道です。


お金の使い方や、管理などの経営業務はプロに相談しながら進めるのがベストです。