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コラム

【創業融資800万円】飲食店歴20年の経験が光る!「ライ麦うどん」で差別化を実現した堅実な開業事例

たったの1年で月商287万円。さらに、創業融資944万円の調達にも成功。


【10席のラーメン専門店】は、開業早々に軌道に乗せ、多くの飲食店オーナーが夢見るスタートダッシュを実現しました。 しかし、これは偶然ではありません。 鍵となったのは、20年以上の実務経験に裏打ちされた「超現実的な収支計画」と、自己資金500万円という「圧倒的な準備力」です。

本記事では、

  • リアルな資金計画の中身(自己資金500万円!)
  • 融資審査で“評価されたポイント”(あえて売上が下がる計画とは?)
  • 開業初月から黒字を出すシミュレーションの立て方

など、実際に使用された事業計画書をもとに、成功の裏側を余すことなくお届けします。 「自分にもこんな開業ができるのか?」 そんな不安を抱える方にこそ読んでほしい、実践に使える開業のリアルが詰まった一例です。

事業概要

開業の成功には、「お店の基本情報」が土台として欠かせません。
業態、営業時間、席数、スタッフ構成、そして目標とする売上…。
まずは、この事業がどんなビジョンでスタートしたのか、事業の全体像を見ていきましょう。

✅ 基本情報

業態 うどん店(オリジナル出汁とライ麦麺)
営業形態 11:00〜14:00、17:00〜23:00
席数 13席(カウンターメイン)
従業員構成 オーナー1名、正社員1名、アルバイト1名
客単価目標 ランチ 1,250円、ディナー 2,500円
月商目標 224万円(軌道に乗った後)

次に、どんな場所で出店したかを見ていきましょう。

立地条件と選定理由

「なぜこの場所を選んだのか?」
それは、開業成功のカギを握る最初の選択です。
人の流れ、競合の有無、周辺環境、そして賃料と売上見込みのバランス。
すべてを冷静に見極めたうえで、勝てる立地を見つけ出しましょう。
出店場所の基本情報と、そこに決めた戦略的な理由を詳しく見ていきましょう。

✅ 出店場所の基本情報

所在地 渋谷区(主要駅から徒歩7分)
周辺環境 人通りの多い道沿い 。地元住民、観光客、オフィス、住宅、学校が混在 。
立地選定のポイント サラリーマンのランチ、主婦の日常利用、夜の飲みや夕食、テイクアウトと幅広い客層に対応可能。周辺にはうどんチェーンやラーメン店が存在するが、「本格うどんを日常使いできる店」というポジションを確立し、品質と価格で差別化を図る。

お店の売上は“どこに出すか”で大きく変わります。だから、妥協せず立地を選びましょう。

賃貸条件

飲食店の経営において、家賃は毎月発生する固定費として、利益を左右する大きな要素になります。
契約時にかかる初期費用や、物件の広さ・家賃のバランスなど、出店時の現実的な賃貸条件をご紹介します。

✅ 賃貸条件

月額家賃 26万円
敷金 物件取得費415万円に含む
礼金 物件取得費415万円に含む
面積 13席規模のカウンターメイン店舗

物件選びは「立地」だけでなく、家賃と広さのバランスが事業の継続性に直結します。
収支計画と照らし合わせながら、無理のない条件で契約できたことが、その後の安定経営にもつながります。

資金計画

お店を始めるにあたって、実際にどれくらいの資金が必要なのか?
内装や厨房機器といった初期投資の内訳に加え、創業融資の活用状況や返済計画まで詳しくご紹介します。「資金の全体像」がイメージできるリアルな数字が詰まっています。

項目 金額 備考
融資申請額 800万円 日本政策金融公庫 新規開業資金
内装・設備工事 342万円 店舗内装
厨房機器 91万円 設備
開業前家賃 415万円 物件取得費として
予備費 352万円 商品仕入・支払等の運転資金として
合計 1,200万円 自己資金: 400万円 、融資: 800万円

✅ 返済計画

返済期間 8,000,000円の元金に対する返済
月々返済額 約7.5万円(元金約5.8万円+利息約1.7万円 ※当初)

資金調達は、夢を形にする最初のハードルとも言えます。
400万円という十分な自己資金と、800万円の融資(自己資金の2倍)という堅実な資金計画をベースに準備を整えたことが、開業後の安定経営につながります。

月次収支計画

「この立地・この業態で、本当に利益は出るのか?」そんな疑問に応えるのが、月ごとの収支計画です。売上予測と支出項目を細かく試算し、黒字転換のタイミングや収益性の見通しを明確にしています。リアルな数字を通じて、経営の全体像が見えてきます。

✅ 月次収支計画(軌道に乗った後の想定)

項目 金額 備考
売上高 224万円
売上原価 67万円 売上の30.0%
人件費 54万円 売上の24.3%
家賃 26万円
支払利息 2万円
その他経費 38万円 水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費など
月次利益 28万円 融資返済は利益計算後に別途支出

損益分岐点: 月商約190万円 (※利益がゼロになる売上高の概算)
注目すべきは、食材原価(30.0%)と人件費(24.3%)を合わせたFLコスト比率が54.3%と、飲食店の健全な経営基準である60%を大きく下回る計画になっている点です。
この月次計画をもとに、どのラインを超えれば黒字化できるのか、どこに支出の余地があるのかを具体的に把握します。
利益を生み出すための道筋が、開業前から明確になっていることがポイントです。

融資審査のポイント解説

日本政策金融公庫などの創業融資をスムーズに通すには、「何を」「どう説明するか」が重要です。
市場のニーズや競合状況、利益が出る見込みを、どれだけ具体的に伝えられるかが審査通過の鍵を握ります。
実際に評価されたポイントを軸ごとに整理し、説得力ある計画づくりのヒントをまとめました。

✅ 市場分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
ターゲット市場の明確化 主な対象は30代。昼はサラリーマンのランチや主婦の日常利用、夜は飲みや夕食、テイクアウトにも対応。
マーケットリサーチの徹底 渋谷区の主要駅から徒歩7分、人通りの多い道沿いという好立地。地元住民や観光客など幅広い層に来店可能性がある。
需要予測の具体性 席数13席に対し、ランチは回転率300%(客単価1,250円)、ディナーは回転率180%(客単価2,500円)という現実的な基礎データに基づき売上を試算。
✅ 競合分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
差別化戦略の明確さ 競合はうどんチェーンや低価格の立ち食いそば・ラーメン店。当店は「本格うどんを日常使いできる店」として、品質と気軽に立ち寄れる価格で差別化。
競争優位性の確保 関東では珍しい「ライ麦」を使った麺や、干しエビ・かつおを効かせたオリジナル出汁を提供。さらに、20年以上うどん店を営んできた元店主がプロデュースすることで、長年の実績と信頼性を担保。
✅ 原価率・収益性分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
原価管理の具体性 食材原価率は全体で30%に設定。仕入先として「ヤマエ食品工業株式会社」などを具体的に明記。
収益構造の透明性 うどんだけでなく、おつまみ、天ぷら、サラダなどの軽食(売上シェア20%)や、ビール、ハイボールなどのドリンク(売上シェア20%)も提供し、夜の客単価アップと収益源の多様化を図る。
資金繰り予測の精緻さ 開業初年度(12ヶ月)の月次損益計画および月次資金繰り計画を詳細に作成。特に、開業景気とその後の落ち込みを反映させた「オープン係数」を導入し、現実的な売上推移を予測。

融資を通すためには、数字だけでなく計画の中身にどれだけリアリティがあるかが問われます。
特に、開業直後の売上を楽観視せず、あえて落ち込む前提(2ヶ月目に40%まで減少)で計画を立てたことが、「リスクを理解している堅実な経営者」として高く評価されました。
根拠をもって示すことで、「返済可能な事業」として信頼を得ることができるのです。

飲食店開業前の必要資金と審査のポイント

融資審査では、「その設備、本当に必要ですか?」という視点で投資内容が精査されます。
内装工事や厨房機器といった初期投資についても、金額の妥当性や将来性、衛生基準への適合性などが評価対象となります。
ここでは、実際に審査担当者が注目するポイントとともに、設備投資をどう説明したのかを整理しました。

✅ 内装工事費の内訳と審査ポイント
工事項目 金額 審査ポイント
店舗内装工事 342万円 ・13席カウンターメインという小規模な造りに対し、過剰投資になっていないか。
・地元の方が「また来たくなる」日常使いできる雰囲気づくりというコンセプトとの整合性。

💡審査通過のポイント

投資額(内装342万+物件取得415万)に対して、自己資金400万円という十分な準備金があること。「カウンターメインの小規模な造り」とすることで、初期投資を抑えつつ、オーナーの目が行き届くオペレーション効率を両立させている点。

✅ 厨房設備の内訳と審査ポイント
設備項目 金額 審査ポイント
厨房設備 91万円 ・うどん店運営に必要な設備(茹で釜、フライヤー等)が網羅されているか。
・席数13席に対して過大・過小な設備投資になっていないか。
(その他) ・「ライ麦」麺やオリジナル出汁という商品の独自性を実現するために必要な特殊設備が含まれているか、その必要性。

💡審査通過のポイント

設備投資額が91万円と、総投資額に対してコンパクトに抑えられている点。中古・リースの活用(計画書には明記ないが、この金額であれば活用が推察される)など、コスト意識の高さ。

✅ 初期運転資金の内訳と審査ポイント
項目 金額 審査ポイント
商品仕入・支払等 352万円 ・開業直後の赤字(2025年10月、11月)を乗り越えるのに十分な金額か。
・月次資金繰り計画上、キャッシュが枯渇しない(常にプラスを維持)計画になっているか。
(内:人件費) (開業後) 50.5万円/月 ・正社員1名(店長)、アルバイト1名という人員配置 の妥当性。
・オーナー自身も現場に立つことで、人件費率を24.3%に抑える計画の現実性。
(内:家賃) 26万円/月 ・開業後、売上が安定するまでの固定費(家賃)を支払続けられる運転資金が確保されているか。

💡審査通過のポイント

開業後2ヶ月目(2025年10月)に売上が40%に落ち込むという最悪のシナリオを想定しても、資金繰りがショートしない(月末残高がプラスを維持する)計画を立てていたこと。400万円の自己資金 + 352万円の運転資金 + 融資800万円の一部により、開業後の赤字期間を耐え抜く体力(キャッシュ)を明確に示せたこと。

審査を通すためには、金額をただ並べるだけでなく、「なぜそれが必要か」を明確に語ることが求められます。
特に、本計画の「オープン係数」のように、最悪の事態を想定し、それでも事業が継続できるだけの運転資金を確保しているという「リスク管理能力」を提示できたことが、最大の信頼獲得につながりました。

成功のポイント

売上が伸びたお店には、必ず“うまくいった理由”があります。
ここでは、開業前の準備・リスク管理・商品開発・実務経験の活用といった観点から、実際に成果へとつながった工夫や取り組みを整理しました。これから開業を目指す方にとって、再現性のあるヒントが詰まっています。

項目 具体的な取り組み
開業前の徹底準備 1992年から2025年に至るまで、ファストフード、和食店、アジアンカフェ、洋食レストランなどでアルバイト・正社員として約30年にわたる豊富な飲食店勤務経験。
リスク管理の具体策 売上予測に「オープン係数」を導入。開業景気(1ヶ月目60%)の後、2ヶ月目に40%まで落ち込むという現実的なシミュレーションを行い、初期の赤字を計画に織り込み済。
差別化要素の明確化 関東では珍しい「ライ麦」を使った麺を導入。透明感と強いコシが特徴で、時間が経っても伸びにくいためテイクアウト需要にも対応可能。
実務経験の活用 20年以上うどん店を営んできた元店主のプロデュースを受け、専門性と信頼性を確保 。オーナー自身の長年のホール・リーダー経験と、専門家の技術を融合。

融資がうまくいった背景には、入念な準備と、実行力のある戦略がありました。
成功は偶然ではなく、ひとつひとつの積み重ねが生んだ必然です。

融資面談で効果的だった回答例

融資面談は“一発勝負”。限られた時間の中で、自信と説得力をもって事業計画を伝える力が求められます。
ここでは、実際の面談で高評価につながった受け答えを具体的にご紹介します。
「どう答えれば審査担当者に響くのか?」そのヒントとしてぜひ参考にしてください。

Q: 飲食店経験は長いですが、ご自身の「うどん店」での専門経験は?
A: 私自身はホールスタッフやリーダーとしての運営・接客経験が20年以上あります。調理の核となるうどん自体は、20年以上うどん店を経営してきた専門家(元店主)のプロデュースを受けています。私の店舗運営ノウハウと、パートナーの確かな技術力を組み合わせて、高品質な商品とサービスを提供します。
Q: 競合店が多い渋谷エリアで、なぜ「うどん」なのですか?勝算は?
A: 確かに競合は多いですが、多くはチェーン店やラーメン店です。当店は、関東では非常に珍しい「ライ麦」を使った麺と、こだわりの出汁を武器にします。この麺はテイクアウトにも適しているため、イートイン以外の収益も見込めます。「日常使いできる、ちょっと良い本格うどん」というポジションで確実に差別化を図ります。
Q: 開業2ヶ月目の売上予測が1ヶ月目より低いですが、大丈夫ですか?
A: はい、これは意図的に設定した現実的な予測です。開業景気(1ヶ月目)が落ち着いた後、必ず一時的な落ち込み(2ヶ月目)が来ると想定しています。この「オープン係数」を導入することで、最も厳しい時期の資金繰りをあらかじめ計画しています。この赤字期間を乗り越えるための運転資金も、自己資金400万と融資枠で十分に確保しています。

クライアントの声

「あの時、事業計画書を作って良かった」ーー実際に支援を受けて開業・融資成功したオーナー様の声をご紹介します。

【うどん店】オーナー 様

長年飲食店で働いてきましたが、いざ自分の店を持つとなると、何から手をつけていいか分かりませんでした。特に「融資」は未知の世界で、自分の経験をどう数字に落とし込めばいいか悩んでいたところ、相談させていただきました。
担当コンサルタントの方は、私の「ライ麦うどん」というアイデアを高く評価してくれた上で、「オープン係数」という現実的な売上予測を提案してくれました。正直、最初は「もっと強気の計画で良いのでは?」と思いましたが、「審査官は夢物語より、最悪の事態を想定できている計画を評価する」という言葉に納得。
結果として、面談では「非常に堅実な計画ですね」と評価され、満額の融資が決定しました。あの時、一人で強気な計画を作っていたら、きっとうまくいかなかったと思います。

融資審査官が重視したポイント

創業融資の審査では、「どんな事業か」だけでなく、「どこまで具体的にリスクや根拠を提示できているか」が重要視されます。
実際に本件の融資審査を担当した日本政策金融公庫の審査官に、評価されたポイントを伺いました。事業計画を作成する際に押さえるべき実践的な視点として、ぜひ参考にしてみてください。

項目 審査官のコメント
市場・競合分析の具体性 「『ライ麦うどん』という明確な差別化要因と、20年経験の専門家がプロデュースするというストーリーが、単なる思いつきではない事業だと感じさせました。」
リスク認識と対応策 「最も評価したのは『オープン係数』です。開業2ヶ月目に売上を40%まで落とす計画を自ら提示できる経営者は稀です。リスクを直視し、その上で必要な運転資金を確保している点を高く評価しました。」
経験の活かし方 「オーナーご本人の20年を超える長期の飲食店経験は、事業の継続性に対する強い担保となります。自己資金400万円という額にも、その本気度と計画性が表れていました。」
資金計画の精緻さ 「FLコスト54.3%、家賃比率12.5%など、飲食業のKPIをしっかり押さえた収益構造になっていました。これなら安定した返済が可能だと判断しました。」

支援サービスの流れ

飲食店の開業準備は、融資申請や収支計画だけでなく、「自分の想いを形にする設計力」が求められます。
本サービスでは、アンケートからヒアリング、事業計画書の納品・融資面談対策までを一貫してサポート。飲食業界に特化した視点で、融資通過と開業成功に向けた実践的な支援を行っています。
以下は、実際の支援ステップとその中で重視しているポイントのご紹介です。

ステップ 1
アンケート段階でのサポート
飲食店特有の質問項目(技術経験、仕入れルート、メニュー構成など)、開業計画の骨子作成、必要資金の概算把握
ステップ 2
オンラインヒアリング1回目のポイント
創業の動機と経験の整理、競合分析と差別化要素の明確化、初期投資の妥当性検証
ステップ 3
オンラインヒアリング2回目の重点事項
収支計画の詳細検討(特に「オープン係数」の導入)、資金繰り表の精緻化、出店立地の評価と選定理由の整理
ステップ 4
事業計画書納品と融資面談準備
審査官の質問予測(「なぜ売上を低く見積もるのか?」など)と回答準備、プレゼンテE\ションのポイント指導、必要書類の最終チェック

まとめ

本事例の最大の成功要因は、「豊富な経験」と「徹底した現実主義」の融合にあります。
オーナーの30年近い飲食店経験は、融資担当者にとって何よりの安心材料です。
しかし、それ以上に評価されたのは、経験に胡坐をかくことなく、開業景気の後の「売上低迷期」をあえて計画に盛り込んだ(オープン係数)、その堅実な姿勢です。

「ライ麦うどん」という強力な差別化要因を持ちながらも、コストはFL54.3%に抑え、十分な自己資金と運転資金を準備する。
夢と現実のバランスが完璧に取れた事業計画書だったからこそ、800万円という高額融資の獲得につながりました。
あなたの「経験」や「アイデア」も、適切な「計画」に落とし込むことで、最強の武器になります。

お問い合わせ・無料相談

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飲食店開業は、多くの人にとって初めての挑戦であり、不安や悩みがつきものです。だからこそ、私たちは一人ひとりに寄り添い、最初の一歩から実現までをしっかりサポートしたいと考えています。
どんな些細なことでも構いません。まずは無料相談でお話を聞かせてください。あなたの開業ストーリーのスタートを、私たちが一緒にお手伝いします。