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【創業融資400万】精肉30年のプロが 町の空白ポジションを埋めた戦略

【創業融資400万】精肉30年のプロが町の空白ポジションを埋めた戦略

日本政策金融公庫から「400万円の融資」を獲得し、住宅街のロードサイドで「肉特化型定食店」を軌道に乗せた成功事例を解説します 。
本記事は、「自身の技術や経験をどう事業計画に落とし込めばいいか」と悩む開業検討者向けの内容です。
具体的には、
職人の目利きを「圧倒的コスパ」という数字に変えた収支計画
競合を分析し「定食専門・宅配対応」という空白地帯を狙った戦略
リスクを最小限に抑えた家族経営の資金モデル
など、実際に融資審査を通過した計画書のポイントを凝縮して公開します 。自身の経験を「稼げる計画」へと変換するための、実践的なヒントが詰まった一例です。

1. 事業概要

開業の成功には、「お店の基本情報」が土台として欠かせません。
今回の事例は、精肉のプロが提供する「和牛や銘柄豚」を主役にした定食屋です。ボリューム、価格、品質の三拍子を揃え、地域で唯一無二のポジションを築くための全体像を見ていきましょう。

✅ 基本情報

業態 肉特化型定食専門店(イートイン・テイクアウト・デリバリー)
営業形態 月曜〜土曜(日曜定休)
11:00〜14:00 / 17:00〜22:00
席数 カウンター中心、小上がり席あり(計15〜20席想定)
従業員構成 オーナー夫婦(2名)、アルバイト2名
客単価目標 ランチ:1,100円 / ディナー:1,200円
月商目標 210万円(軌道に乗った後)

この事業の核心は、店主が30年以上培ってきた「肉の目利き」です。和牛を扱ってきた確かな技術を、あえて日常的な「定食」という形に落とし込むことで、チェーン店では真似できない圧倒的な品質と満足度の提供を目指しています。
次に、この事業がなぜ「勝てる」と確信できたのか、立地戦略を見ていきましょう。

飲食店経営や開業、税務・集客に関するご相談を受け付けています。

2. 立地条件と選定理由

「どうしてこの場所に決めたのか」
--それは、開業成功のカギを握る大事な選択です--

今回の選定地は、横浜市瀬谷区の幹線道路沿い。
背面に広がる厚い住宅街と、前面の交通量を味方につけた戦略的な立地です。

所在地 神奈川県横浜市瀬谷区(厚木街道沿い)
周辺環境 ・背面に大規模な住宅街、近隣に学生・単身社会人が居住。
・前面道路は車通りが多く、配送業者や買い物客の通行が活発。
立地選定のポイント ・住宅街からの徒歩圏内(夜・テイクアウト需要)と、ロードサイドの車客(昼需要)の両取り。
・周辺に「手作り・ボリューム」を売りにする定食屋が皆無。

周辺にはラーメン店や中華食堂など単品中心の店舗は多いものの、ボリュームのある「手作り定食」を専門とし、かつ宅配まで対応する競合はほとんどありません。
この「空白ポジション」を突くことで、近隣の共働き世帯や学生、さらには街道を利用するドライバーまで、幅広い客層の獲得を確実なものにしています。

🤔いい物件は見つかったけど、近くに大手チェーン店がある。太刀打ちできるかな?

大手チェーンは「安くて安定した品質」が売りですが、一方で「どこにでもある味」になりがちです。
本事例のように、チェーン店には真似できない「手作りの温かみ」や「圧倒的な専門性」を打ち出すことで、同じエリア内でも競合せず、独自のファンを獲得することが可能になります。

3. 賃貸条件

経営において、家賃は売上に関わらず必ず発生する「重い固定費」であり、利益を残せるかどうかを左右する最大のポイントです。
今回は、初期費用を抑えつつ、イートインとテイクアウトを両立できる適正な広さの物件を確保しました。

月額家賃 12.6万円
敷金 約6ヶ月分
面積 約15〜20坪(客席・厨房のバランスを重視)

低めの固定家賃を設定できたことが、損益分岐点を下げ、安定した経営を支える要因となっています。

4. 資金計画

内装工事や厨房機器といった初期投資の内訳に加え、創業融資の活用状況をご紹介します。

項目 金額 備考
調達資金:融資申請額 400万円 日本政策金融公庫 国民生活事業
調達資金:自己資金 250万円
費用:物件取得・内装工事 438万円 住宅街立地に合わせた温かみのある内装
費用:厨房機器 82万円
費用:運転資金 134万円 (仕入・経費・家賃3か月分等)予備費含む
合計 654万円 自己資金: 250万円 / 融資: 400万円

✅返済計画

返済期間 7年(標準的な返済期間)
月々返済額 約5〜6万円(金利等により変動)

自己資金を250万円(総額の約38%)確保できていたことが、融資審査における「計画の信頼性」を大きく高めました。

飲食店経営や開業、税務・集客に関するご相談を受け付けています。

5. 月次収支計画

売上予測と支出項目を細かく試算し、黒字転換のタイミングを明確にします。

✅月次収支計画(軌道に乗った後想定)

項目 金額 備考
売上高 210万円 月26日営業、1日平均約8万円
売上原価 73.5万円 原価率35%(高品質な肉を維持)
人件費 24万円 オーナー夫婦+アルバイト
家賃 12.6万円
水道光熱費 12万円
広告宣伝費・その他 15万円 SNS、消耗品、通信費等
融資返済 6万円
月次利益 66.9万円 ※事業主の生活費含む

損益分岐点: 月商約120万円
1日あたり約4〜5万円の売上で損益分岐点に達する、非常に手堅い計画です。

150種類もの日替わりレパートリーを持つことで、その時々で最もコストパフォーマンスの良い肉を仕入れ、利益を確保しながらも顧客満足度を下げない機動力のある運営を実現しています。

🤔原材料費が上がっている今、高い原価率でお店を回していけるか不安…

重要なのは「原価率を固定しない」ことです。本事例では150種の日替わりメニューを持つことで、その時々に安く仕入れられる旬の食材や部位を柔軟に使い分けています。この「仕入れの工夫」こそが、物価高騰時代を生き抜くリスク管理の極意です。

6. 融資審査のポイント解説

日本政策金融公庫の審査をスムーズに通すには、店主の「技術」をいかに「利益」に結びつけて説明するかが重要です。

✅ 市場分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
ターゲット市場の明確化 昼:厚木街道を利用するドライバー、近隣の配送業者
夜・週末:周辺住宅街の共働き世帯、学生、ボリュームを求める単身者。
需要予測の具体性 周辺はチェーン店(ファミレス・牛丼)か単品系(ラーメン)が多く、バランスの良い「手作り定食」を求める地域住民の未充足需要を特定。
✅ 競合分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
差別化戦略の明確さ 精肉30年のキャリアによる「希少部位の活用(和牛バラなど)」と、問屋を通さない独自の仕入れ力で、大手チェーンが真似できないコスパを実現。
機動力のある運営 固定メニューだけでなく、気温や仕入れ状況に合わせた「日替わり定食150種」のストックにより、リピーターを飽きさせない仕組みを提示。
✅ 原価率・収益性分析で評価されたポイント
ポイント 記入例
原価管理の具体性 プレコフーズ、八面六臂などの仕入先を確保し、卸・小売経験から得た「歩留まり改善」のノウハウを数値化。高品質を維持しつつ原価35%以内に抑える根拠を提示。
収益構造の多角化 店内飲食に加え、住宅街需要を狙ったテイクアウト・デリバリーを初期から組み込み、客席数以上の売上(外販比率の向上)を見込んでいる点。

🤔計画書は作ったけれど、面談で突っ込まれた時にうまく答えられる自信がない…

面談で求められるのは、流暢なプレゼンではなく「根拠」です。
「なぜこの売上になるのか?」「なぜこの立地なのか?」という問いに対し、自身の経験や実際の通行量データなどを交えて答えられれば、熱意は必ず伝わります。
計画書を作る過程で「なぜ?」を繰り返すことが、一番の面談対策になります。

7. 開業前の必要資金と審査のポイント

審査では、設備投資が「売上を作るために本当に必要か」という視点でで見られます。

✅ 内装・設備投資の審査ポイント
工事項目 金額(概算) 審査ポイント
厨房・客席内装 520万円(一括) 居抜き活用の有無、保健所基準の適合、カウンター中心の効率的レイアウトか。
厨房機器・什器 開業資金内 肉の加工に必要な冷蔵・冷凍設備のスペック、テイクアウト用包材の保管スペース等。

💡審査通過のポイント

  • 自身の経験に基づき、無駄な装飾を排し、回転率を高めるカウンターメインの設計にしたこと。
  • 見積書を詳細に精査し、投資回収が早期に見込める妥当な金額であることを証明したこと。
✅ 初期運転資金の審査ポイント
項目 金額 審査ポイント
初期仕入れ・経費 134万円 開業初期のキャッシュフローに余裕があるか、家族経営による人件費の弾力性。

8. 成功のポイント

成功するために行った具体的な取り組みとは何を行っていたのでしょうか。

項目 具体的な取り組み
開業前の徹底準備 ・30年以上の精肉・販売実務経験。
・複数店舗の立ち上げ・運営・品質管理業務を歴任した圧倒的なバックボーン。
リスク管理の具体策 ・夫婦経営による「最小単位でのスタート」。
・固定費を抑えるための住宅街立地の選定と、アルバイトに頼りすぎないオペレーション。
差別化要素の明確化 「あの店に行けば旨い肉が腹いっぱい食べられる」という看板メニュー(メガミックスフライ等)の開発。全150種の日替わりローテーション。

成功の要因は「攻め」のメニューだけではありません。夫婦経営による固定費の抑制や、初期投資を抑えつつ着実に回転させる堅実な事業モデルなど、「守り」の戦略が徹底されています。自身のキャリアを最大限に活かしつつ、不確実な要素を一つひとつ排除した計画が、融資獲得の大きな決め手となりました。

9. 融資面談で効果的だった回答例

Q: 競合が多いが、どう勝つのか?
A: 周辺には大手チェーンはありますが、店主が自ら市場で目利きし、その場で加工する鮮度とコストパフォーマンスには勝てません。精肉30年の知見を活かし、他店が使わない希少部位を安く仕入れることで、価格以上の満足度を提供します。
Q: 集客はどう考えているか?
A: ロードサイドの利点を活かした視認性の高い外観演出(のぼり・看板)に加え、Instagramで毎日「今日の日替わり」を投稿し、視覚的に訴求します。近隣住宅街へのポスティングと合わせ、リピート率を高める LINE公式アカウントも活用します。

10. クライアントの声

【肉特化型定食店 オーナー T様】

「長年、精肉の現場で働いてきましたが、いざ自分の店を持つとなると、数字や書類の壁にぶつかりました。自分の想いや技術をどう『事業計画』として言葉にすればいいのか悩みましたが、プロの視点で自分の強みを整理してもらったことで、公庫の担当者にも自信を持って説明できました。400万円の融資が決まった時は、自分のこれまでのキャリアが認められたようで、本当に嬉しかったです。今は、妻と一緒に理想の店を運営できる毎日に、大きなやりがいを感じています。」

11. 融資審査官が重視したポイント

項目 審査官のコメント
圧倒的な実務経験 「精肉加工だけでなく、取締役として店運営やスタッフ教育まで一貫して携わってきた経験は、経営能力として非常に高く評価しました。」
ターゲットと立地の合致 「住宅街とロードサイドの交差点という立地で、ターゲットに合わせた価格設定とテイクアウト需要をしっかり捉えている点に納得感がありました。」

12. 支援サービスの流れ

ステップ 1
アンケート段階
これまでの精肉キャリア、独自の仕入れルート、得意とするメニュー構成の棚卸し。
ステップ 2
オンラインヒアリング
競合店と比較した際の「肉の品質・価格」の絶対的な優位性の言語化。
ステップ 3
事業計画書納品
日本政策金融公庫のフォーマットに基づき、30年の経験を「数値」と「戦略」に変換した書類の作成。

13. まとめ

今回のT様の成功事例から学べる最も重要なことは、「30年の熟練技術」という形のない財産を、市場のニーズと合致させ、客観的な数字(事業計画)へと正しく翻訳したことにあります 。一つひとつの要素が「根拠」として積み上がった結果、400万円という融資獲得と、安定した開業スタートが実現しました 。

開業は多くの人にとって初めての挑戦であり、不安や悩みが尽きないものです。しかし、高野様のように自身のキャリアを「勝てる戦略」として言語化できれば、その不安は「確信」へと変わります。

もし、今あなたが「自分の経験は、銀行が認めてくれるだろうか?」「この立地で本当に食べていけるだろうか?」と一人で悩んでいるのなら、その想いを一度言葉にしてみませんか?あなたの歩んできた道のりの中には、必ず最強の武器となる「成功の種」が隠されています。

以上本記事を読んでいただきありがとうございました!
最後までお読みいただいたあなたに、少しでもお役に立つ情報をご提供できていたら嬉しいです。ほかの記事もぜひ読んでみてください!

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