特集|飲食店が使える補助金・助成金
その発注が
1 日早いだけで、
補助金はもらえない。
店舗を改装する。販路を広げるために、鍋やオーブン、冷凍冷蔵庫を新しく入れる。レジや券売機を入れる。2020 年 4 月より前からある店で、喫煙室をつくる。店の中で最も低い時給を上げる。パートを正社員にする。飲食店のこうした場面に、国や都道府県・市区町村の補助金・助成金を使えることがあります。ただし補助金は後払いで、交付決定の前に発注・契約・支払いをしたものは、原則として補助の対象になりません。物件の契約、内装工事、機械の発注の前に確かめておくこと、採択された後の手続き、受け取った後の会計と税を、中小企業庁・厚生労働省・国税庁などの公表資料をもとに、5 つの章と 8 本の記事にまとめました。
出典: ミラサポplus(経済産業省 中小企業庁)「補助金入門」、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 20 回 公募要領 第 8 版(2026 年 7 月 21 日)、中小企業省力化投資補助金(一般型 第 8 回)の公募要領、デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠・インボイス枠)・第 7 次公募回以降における制度変更のお知らせ(2026 年 10 月 9 日)
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知りたいところから読めます
これから店を出す。営業中の店で改装や機械の入れ替えを考えている。人を雇っている。申請を誰かに頼むか迷っている。採択された。補助金を受け取った。お店の状況によって先に読む回が違うので、1 章に状況ごとの表を置きました。
工事や機械の代金は先に払い、補助金は後から受け取る
店舗の改装や厨房の機械に国の補助金を使うとき、最初に押さえるのは順番です。国の補助金の多くは、交付決定を受けてから工事の契約や機械の発注をし、実績報告と額の確定を経て、最後に受け取る「後払い」です。費用はいったん自分で立て替えることになり、中小企業庁が運営する「ミラサポplus」は、取引先の金融機関からの「つなぎ融資」が必要な場合もあると説明しています。
- 1公募公募要領が公開され、申請を受け付ける
- 2審査・採択採択はまだ「内定」の段階
- 3交付申請・交付決定採択の後に交付申請をし、交付決定を受ける
- 4事業の実施工事の契約・機械の発注・支払いは、交付決定の後
- 5実績報告領収書などの証拠書類とともに報告する
- 6額の確定・支払い額が確定し、請求の後に入金される
交付決定の前でも対象になる例外は、制度ごとに公募要領に書かれたものだけです。デジタル化・AI導入補助金のように、事務局に登録された支援事業者と一緒に最初から交付申請をする制度もあります。出典: ミラサポplus「中小企業支援施策って何?」「補助金入門」、小規模事業者持続化補助金(第 20 回)・中小企業省力化投資補助金(一般型 第 8 回)・デジタル化・AI導入補助金(通常枠)の公募要領
採択の通知は、まだ「内定」の段階です。工事の契約や機械の発注・支払いは、交付決定の通知を受けてからにします。
補助金と助成金の違いについて、ミラサポplus は、補助金は申請後に審査で採択される必要があり、助成金は所定の資格要件を満たせば受けられる、と説明しています。どちらも返済の義務は無く、後払いだとしています(制度によっては、収益の一部を納める「収益納付」が必要な場合があります)。
ただし、名前だけで扱いは決まりません。店の中で最も低い時給を引き上げ、設備投資などをしたときの厚生労働省の「業務改善助成金」(2 章)は、交付要綱の正式な名前が「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」です。雇用関係の助成金も、要件や審査、調査への協力などの条件があり、申請すれば必ず受け取れるわけではありません。
パートを正社員にする、スタッフに研修を受けさせるといった、人にかかわる助成金にも、取組の前に済ませる手続きがあります。たとえばキャリアアップ助成金は、コースを実施する日の前日までに「キャリアアップ計画」を労働局に出します。雇用関係の助成金を受け取れるのは、雇用保険の適用事業所の事業主で、審査や調査に協力することなどが条件です。
どの回から読むとよいかは、お店の状況によって違います。
| お店の状況 | 分かること | 読む回 |
|---|---|---|
| これから店を出す(物件の契約・内装工事の前) | 補助金は後払いで、交付決定の前に買ったものは対象外になること。店を出す市区町村で確かめる順番 | 第 1 回・第 3 回 |
| 営業中の店で、改装・厨房の機械・レジを考えている | 店でやりたいことに合う国の制度と、公募要領で確かめる項目。持続化補助金は、対象になる店・使える経費・申請の流れ | 第 2 回・第 6 回(2 章) |
| 人を雇っている・これから雇う(時給の引き上げ・パートの正社員化) | 人を雇うときの助成金の種類、雇用保険の加入などの共通の条件、労働局・ハローワークの窓口 | 第 2 回・第 7 回(2 章) |
| 申請を誰かに頼むか迷っている・業者から勧誘を受けた | 自分で・無料の公的窓口・有償の専門家の 3 つの進め方と、頼む前に確かめること | 第 4 回 |
| 採択の通知が届いた | 工事の契約や機械の発注はいつからか、書面の残し方、計画を変えるときの承認、実績報告の期限 | 第 8 回(5 章) |
| 補助金で機械を入れ、入金も済んだ | 税の対象になる収入か、圧縮記帳と総収入金額不算入、消費税、受け取った後の義務 | 第 5 回 |
国の制度は、店でやりたいことから探す
飲食店が使える主な国の制度は、店でやりたいことごとに分かれます。制度の名前・金額・期限は、年度や公募の回ごとに変わります。
| 店でやりたいこと | 制度 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 店舗の改装、鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫 | 小規模事業者持続化補助金 | 商工会・商工会議所の助言を受けて作った経営計画に沿った販路開拓の取組。上限 50 万円(特例で上乗せあり)・補助率 3 分の 2。公募要領は対象の例に「店舗改装・バリアフリー化工事」「利用客向けトイレの改装工事」「生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫」を挙げている。パソコンやタブレットのように、ほかの目的にも使えるものは対象外。開業して間もない店には「創業型」がある(開業日と、市区町村などの特定創業支援等事業の支援を受けた日の両方が、公募の締切から数えて過去 1 年の間にあることが条件) |
| 人手不足を、券売機や配膳ロボットで補う | 中小企業省力化投資補助金 | カタログに載った製品(券売機・自動精算機・配膳ロボット・スチームコンベクションオーブン・業務用自動食器類洗浄機・自動フライヤーなど)から選ぶカタログ注文型と、店に合わせた設備やシステムを入れる一般型 |
| レジ・券売機・予約 | デジタル化・AI導入補助金2026 | 旧「IT導入補助金」。レジ・券売機は、インボイス枠で決済の機能を持つソフトと合わせて入れる場合が対象(20 万円まで・補助率 2 分の 1)。通常枠ではレジなどの機械は対象外 |
| 最も低い時給を上げ、設備を入れる | 業務改善助成金(厚生労働省) | 店の中で最も低い時給を 50 円以上引き上げ、生産性を上げる設備投資などをしたときの助成。厚生労働省の手引きは、飲食業の例に「POSレジシステム、セルフレジ、食器洗浄機、珈琲焙煎機、オーブン、スライサー、自動茹で麺機」を挙げている。申請期間は都道府県ごとで、すでに終わった地域がある |
| パートを正社員にする・人を育てる | キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金(厚生労働省) | 公募の回は無く、取組の前に計画を出す |
| 喫煙室をつくる | 受動喫煙防止対策助成金(厚生労働省) | 飲食店の事業者は助成率 3 分の 2・上限 100 万円。対象は 2020 年 4 月 1 日に営業していた、資本金 5,000 万円以下・客席 100㎡以下の店に限られる。工事の前に交付申請が必要 |
金額・率・受付の状況は 2026 年 10 月 11 日時点の公募要領・厚生労働省の資料のものです。受付の状況は回ごとに変わります。出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 20 回 公募要領 第 8 版・<創業型>第 4 回 公募要領 第 8 版・第 19 回 参考資料、中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 改訂 11・製品カテゴリ(令和 8 年 10 月 8 日)、デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(インボイス枠)、厚生労働省「令和 8 年度業務改善助成金のご案内」「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用の手引き」(令和 8 年 6 月)「キャリアアップ助成金のご案内(令和 8 年度版)」「受動喫煙防止対策助成金」のご案内[令和 8 年度版]
持続化補助金の対象は、商業・サービス業なら従業員 5 人以下の事業者です。この人数には、パートタイムで働く人も入ります(第 19 回 申請時によくあるご質問 A2-3)。第 19 回の参考資料は、料理をその場で出すだけの飲食店を商業・サービス業、流通する弁当や総菜を作る店を製造業(20 人以下)としています。
持続化補助金の公募要領は、単なる取替え更新の機械や「老朽化した既存機械の取替え費用」、単なる店舗移転を目的とした工事を、対象にならない経費の例に挙げています。申請には、地域の商工会・商工会議所から「事業支援計画書(様式 4)」の発行を受ける手続きがあります(第 6 回)。
人を雇うときの助成金の多くは厚生労働省の「雇用関係助成金」で、雇用保険の適用事業所であることが前提です。31 日以上引き続き雇用される見込みがあり、週の所定労働時間が 20 時間以上のパート・アルバイトは、原則として雇用保険に入ります(昼間の学生など、入らない人もいます)。一方、個人事業主と同居の親族は原則として雇用保険に入れないため、夫婦や家族だけで営んでいて雇用保険に入っている人がいない店は、前提を満たしません。ハローワークなどの紹介で人を雇い入れるとき、パートを正社員にするとき、育児休業や介護休業と仕事を両立させるときなど、目的ごとに助成金があり、多くは取組の前に計画の提出や規定の整備が要ります。窓口は助成金ごとに違い、主に都道府県労働局かハローワークです(第 7 回)。
出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 20 回 公募要領 第 8 版、厚生労働省 雇用関係助成金支給要領 共通要領(令和 8 年 4 月 8 日現在)・雇用関係助成金共通要領Q&A(令和 8 年 9 月 14 日)・「雇用保険の適用範囲」・「助成金のお問い合わせ先・申請先」(令和 8 年 9 月 28 日更新)
ミラサポplus は、これまでの「ものづくり補助金」は 2026 年 5 月、「新事業進出補助金」は 2026 年 6 月をもって公募を終了したと案内しています。古い名前で探すと、終わった制度に当たることがあります。
使えそうな制度が見つかったら、受付の状況と、交付決定の前に買わないなどの順番の決まりを、最新の公募要領で確かめます。
物件を決める前に、店を出す市区町村の制度を確かめる
店を開く・改装するときに使える補助金は、国だけでなく、都道府県や市区町村も出しています。店を出す場所によって制度が違い、受付の期間が短いものもあります。
都道府県・市区町村の補助金は、国の検索サイトに全部載っているわけではありません。中小機構の J-Net21 は公的な機関の情報を「中心に収集」しているとしており、デジタル庁の jGrants に載るのは jGrants で申請を受け付ける制度です。検索サイトに出てこないことは、制度が無いことを意味しません。
- 市区町村の公式ページ「補助金」「創業」「空き店舗」「商店街」の語で探す
- 都道府県と中小企業支援センター都道府県の制度と、センターと一緒に出す制度を見る
- J-Net21・jGrants漏れが無いかを拾う(全部は載らない)
- 公式ページで確かめる更新日・募集期間・要綱を読む。検索結果やまとめの「終了」「受付中」をそのまま信じない
- 時期を合わせる物件の契約・工事・開業の前に、申請と交付決定の時期を合わせる
- 分からなければ無料の窓口へ商工会・商工会議所・よろず支援拠点など
市区町村の制度には、時期の決まりを持つものが多くあります。たとえば渋谷区の店舗開業支援補助金は「申請の時点で物件が確定していることが必要」、昼に営業する飲食店などを対象にした山口市の新山口駅周辺出店支援事業補助金は、事前届出書を「工事着工の前日まで」に出すよう求めています。物件の契約や工事を始めた後に制度を知ると、使えないことがあります。
飲食店を名指しした制度もあります。ただし、福井県の「旅の目的地となる飲食店開業支援事業補助金」のように、県産食材や伝統工芸品の活用、ブランド力のある店など、採択の基準が絞られているものがあります。
市区町村が地域の支援機関と一緒に行う創業の支援「特定創業支援等事業」を受け終えると、市区町村が証明書を出します。中小企業庁は、証明書を受けると、会社を設立するときの登録免許税が軽くなる(特例の適用期限は 2027 年 3 月 31 日)、持続化補助金の「創業型」に申請できる、などのメリットがあると説明しています。創業支援等事業計画の認定を受けた市区町村は 2026 年 6 月 25 日時点で 1,580 で、全部の市区町村が認定を受けているわけではありません。
証明書を受けるまでには、原則として 1 か月以上かかります。開業の準備の早い時期に確かめておくと、使える制度が広がります。
渋谷区・山口市・福井県の例は、自治体の公式ページで確かめた 2026 年 10 月 11 日時点のものです(渋谷区の令和 8 年度の受付は終わっています)。出典: J-Net21(中小機構)サイト利用条件、Jグランツ(デジタル庁)、渋谷区・山口市・福井県の公式ページ、中小企業庁「特定創業支援等事業を受けるメリット」・創業支援等事業計画の認定自治体一覧(令和 8 年 6 月 25 日時点)・産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画のガイドライン(令和 8 年 8 月)、租税特別措置法 第 80 条第 3 項(登録免許税の特例の適用期限・e-Gov 法令検索)
どの進め方でも、計画を考えるのは店の経営者本人
国の主な補助金の公募要領は、事業計画を申請者自身が作るよう求めています。たとえば小規模事業者持続化補助金は、「事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、評価に関わらず不採択・交付決定取消となります。」と書いており、社外の代理人だけで商工会・商工会議所に相談したり、事業支援計画書(様式 4)の発行を頼んだりすることはできないとしています。中小企業省力化投資補助金(一般型)も「事業計画は申請者自身で作成してください。」としています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、外部の助言を受けることは「差し支えございません」としつつ、作成そのものを申請者以外が行うことを認めていません。
| 進め方 | どんな形か | 費用 |
|---|---|---|
| 自分で進める | 公募要領と公式の手引きを読み、自分で計画を作って申請する | かからない |
| 無料の公的窓口に相談する | よろず支援拠点・商工会・商工会議所などで助言を受けながら、自分で作る | 無料の窓口が多い |
| 有償の専門家に頼む | 補助金は行政書士、雇用の助成金は社会保険労務士など、資格のある人に依頼する | 報酬がかかる |
無料で相談できる公的な窓口に、よろず支援拠点・商工会・商工会議所・都道府県等中小企業支援センターがあります。持続化補助金は、地域の商工会・商工会議所が出す「事業支援計画書(様式 4)」が要ります。
総務省は、補助金の申請支援を考える事業者からの照会に対し、書類を作成できるのは顧客(申請者)か行政書士・行政書士法人に限られると顧客に案内するよう回答しています。雇用関係の助成金の申請書の作成と提出の手続きは、社会保険労務士の業務とされています。
レジや券売機で使うデジタル化・AI導入補助金(2 章)は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と共同で申請する仕組みです。その場合も、申請に使う ID とパスワードは申請者自身が管理し、申請者が行うべき手続きを他人が行う「なりすまし」は交付の取消などの対象になる、と公募要領は書いています。厚生労働省は、受動喫煙防止対策助成金について、「無料で喫煙室が設置できる」という勧誘に注意を呼びかけています。
支援を受けたら、その相手と報酬を申請に書く(持続化補助金など)。GビズID とパスワードは人に渡さない。高額な成功報酬や「無料」の勧誘に注意する。
REDISH は申請書類を作らず、代わりに提出することも、GビズID を預かることもありません。申請の相談は、無料の公的な窓口や、資格のある専門家をご利用ください。
出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 20 回 公募要領 第 8 版、中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第 8 回)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第 1 回)1.3 版、デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)、GビズID 利用規約 第 11 条(デジタル庁)、総務省 産業競争力強化法第 7 条第 2 項に基づく回答(令和 7 年 10 月 10 日)、社会保険労務士法 第 2 条・第 27 条(e-Gov 法令検索)、厚生労働省 受動喫煙防止対策助成金の案内ページ
採択の後は、交付決定を待って発注。受け取った補助金は収入で、設備には処分の決まりがある
改装や厨房の機械で申請した補助金に、採択の通知が届いた。ここで工事の契約や機械の発注をすると、原則として補助の対象から外れます。持続化補助金の補助事業の手引き(第 19 回分)は、「採択通知は、補助対象経費や補助金交付希望額を承認するものではありません」と書いています。発注・契約、納品、請求、支払いは交付決定の後に、書面を残しながら進めます。同じ手引きは、電話などの口頭のやり取りだけでは補助対象外になるとしています。
内容や経費の配分を変えるとき・やめるときは、原則として事前に事務局の承認が要ります。期限までに事業を終えて実績報告を出さないと、交付決定が取り消されることがあります。補助金は確定検査と額の確定の後に受け取る後払いで、交付決定の額より少なくなることがあります(第 8 回)。
補助金で冷凍冷蔵庫や券売機を入れ、入金も済んだ。そこで終わりではなく、帳簿への入れ方、税の扱い、受け取った後の義務が続きます。
主な補助金の公募要領は、受け取った補助金を法人税・所得税の課税対象と書いています(例: 持続化補助金「法人税・所得税の課税対象となります」)。どの年度の収入にするかは、制度の種類によって考え方が違い、公募要領の書き方も制度によって違います。
設備などの固定資産を買うための国・自治体の補助金には、次の仕組みがあります。どちらも、手続きをしなければ使えません。
| 区分 | 法人 | 個人事業者 |
|---|---|---|
| 仕組みの名前 | 圧縮記帳(法人税法第 42 条〜第 44 条) | 総収入金額不算入(所得税法第 42 条・第 43 条) |
| やること | 固定資産の帳簿価額を減らす経理など | その部分を総収入金額に入れない |
| 条件 | 返さなくてよいことが期末までに確定し、確定申告書に明細を書く(確定していなければ特別勘定) | 返さなくてよいことが年末までに確定し、明細書を添付して確定申告書を出す |
国や自治体の補助金・助成金そのものは、消費税の対象になりません(不課税)。一方で、消費税分を補助の対象から外す、申告の後に報告して返す、といった決まりを持つ補助金があります。
受け取った後も、証拠書類の保存(持続化補助金は、補助事業が完了した年度の終了後 5 年間)、財産の処分の制限、事後の報告が続きます。持続化補助金では、単価 50 万円(税抜き)以上の機械などは、耐用年数の期間は事務局の承認を受けずに処分できません(金額の線は制度ごとに違います)。店舗改装も、50 万円(税抜き)以上の外注工事は処分が制限されることがあります。
補助金で入れた冷蔵庫などを買い替えるときは、処分の制限にかかる財産かどうかを交付規程や交付要綱で確かめ、かかる場合は処分する前に事務局に申請します。持続化補助金の手引きは、店を移る、個人の店を法人にするなどで、取得した財産の置き場所や持ち主が変わるときは、事前に連絡するよう求めています。
特例を使うかどうか、どの年度に入れるかは、申告の内容によって変わります。申告や税務調査への対応は提携税理士法人が担います。
出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 20 回 公募要領 第 8 版・交付規程(2026 年 3 月 6 日改定)・補助事業の手引き(第 19 回受付締切分)第 3 版、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第 1 回)1.3 版、法人税法 第 42 条〜第 44 条・所得税法 第 42 条・第 43 条(e-Gov 法令検索)、国税庁 タックスアンサー No.2202・No.6157、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 第 22 条
よくある質問
補助金・助成金について、よく聞かれること
開業資金に、補助金を使えますか?
補助金は後払いなので、開業の費用はいったん自分で用意して立て替えます(ミラサポplus は、金融機関からの「つなぎ融資」が必要な場合もあると説明しています)。交付決定の前に発注・契約・支払いをしたものは原則として対象外なので、物件の契約や工事の前に制度の時期を確かめます。国の持続化補助金の一般型は、申請の時点で開業していない人は対象外で、開業して間もない店には創業型があります(開業日と、市区町村などの特定創業支援等事業の支援を受けた日の両方が、公募の締切から数えて過去 1 年の間にあることが条件)。都道府県や市区町村には、店の開業を対象にした制度もあります(第 3 回)。
採択の通知が届きました。すぐに工事や機械を発注してよいですか?
いいえ。採択は内定の段階で、交付決定の通知を受けてからでなければ、発注・契約・支払いはできません。交付決定の前の経費は、原則として補助の対象になりません。
補助金と助成金は、何が違うのですか?
中小企業庁が運営する「ミラサポplus」は、補助金は申請後に審査で採択される必要があり、助成金は所定の資格要件を満たせば受けられる、と説明しています。担当は、補助金は経済産業省・商工担当、助成金は厚生労働省・雇用担当が多いとしています。ただし、中小機構の J-Net21 は「『助成金』『補助金』という言葉は、必ずしも明確に区別されていません」と書いており、名前だけで扱いは決まりません。条件は制度ごとの公募要領・要綱で確かめてください。
自治体の補助金は、どこで探せますか?
まず店を出す市区町村の公式ページで、「補助金」「創業」「空き店舗」「商店街」の語で探します。次に都道府県と、都道府県の中小企業支援センターのページを見て、J-Net21 と jGrants で漏れを拾います。検索サイトに全部が載るわけではなく、検索結果やまとめの表示と自治体の公式ページが食い違うこともあるので、最後は公式ページの更新日・募集期間・要綱で確かめてください。
申請は自分でできますか? 誰に頼めますか?
国の主な補助金の公募要領は、事業計画を申請者自身が作るよう求めています。助言を受けるのはよくても、作成そのものを申請者以外が行ったと分かれば、不採択や取消になります。よろず支援拠点・商工会・商工会議所などの無料の公的な窓口で、助言を受けながら自分で進めることができます。総務省は、補助金の申請支援を考える事業者からの照会に対し、書類を作成できるのは顧客(申請者)か行政書士・行政書士法人に限られると顧客に案内するよう回答しています。雇用関係の助成金の申請書の作成と提出の手続きは、社会保険労務士の業務とされています。REDISH は申請書類を作らず、代わりに提出することも、GビズID を預かることもありません。
受け取った補助金に、税金はかかりますか?
主な補助金の公募要領は、受け取った補助金を法人税・所得税の課税対象と書いています。ただし、設備などの固定資産を買うための国・自治体の補助金には、法人の「圧縮記帳」、個人事業者の「総収入金額不算入」という仕組みがあり、どちらも、返さなくてよいことが確定していることと、確定申告書への記載が条件です。補助金・助成金そのものは消費税の対象になりません(不課税)が、消費税分を補助の対象から外すなどの決まりを持つ補助金があります。当てはまるかどうか、どの年度に入れるかは申告の内容によって変わるため、提携税理士法人と確かめてください。
補助金で買った冷蔵庫を、数年後に買い替えて処分してもよいですか?
持続化補助金では、単価 50 万円(税抜き)以上の財産は、耐用年数の期間は事務局の承認なしに処分できません。金額の線は制度ごとに違うので、交付規程や交付要綱で確かめ、処分の制限にかかる財産なら、処分する前に事務局に承認を申請してください。
パート・アルバイトが多い店でも、持続化補助金の対象になりますか?
人数に数えるのは「常時使用する従業員」で、商業・サービス業は 5 人以下が対象です。第 19 回(終わった回)の「申請時によくあるご質問」は、パートタイム労働者を常時使用する従業員に含むとしています。一方、日雇労働者や 2 か月以内の期間を定めて使用される者などと、店主本人(個人事業主)は数えません。第 20 回の参考資料と「よくあるご質問」は 2026 年 10 月 11 日時点で準備中のため、公開されたら確かめてください(第 6 回)。
夫婦や家族だけで店を営んでいます。雇用の助成金を使えますか?
雇用関係助成金は、雇用保険の被保険者がいる事業所の事業主が対象です。個人事業主と同居の親族は原則として雇用保険に入れないため、家族だけで営んでいて被保険者がいない場合は、前提を満たしません(第 7 回)。
この特集の作り方
根拠を確かめて書いています
- 一次資料から書く
中小企業庁(ミラサポplus)・中小機構と各補助金の事務局の公募要領・厚生労働省・デジタル庁・自治体の公式ページ・国税庁・e-Gov の法令を主な根拠にしています。制度の名前・金額・期限は年度や公募の回ごとに変わるため、公募要領の版と日付を書き、予告だけで公募要領の出ていない制度は条件を書いていません。申請書類の作り方には踏み込まず、行政書士法・社会保険労務士法にかかわる部分(第 4 回)は、法律と国の機関の説明の言い方のまま紹介し、個別の行為が法律に触れるかの判断はしていません。各記事の末尾に参考資料を載せています。
- 別の担当が確かめる
書き手とは別の担当が、制度の名前・金額・率・期限・条文を一次資料と照らし合わせて確認しています。
- 税理士法人が監修する 確認待ち
提携税理士法人(クロスポイント税理士法人)が内容を確認します。
次に確かめること
受け取った後の会計と税は税務サービスへ。制度を探す補助金ナビは公開準備中
受け取った後の会計と税は、REDISH の税務サービスで、日々の記帳の仕組みづくりを REDISH が、申告や税務調査への対応を提携税理士法人が担います。申請書類は、ご本人が作って提出するほか、補助金は行政書士に、雇用の助成金は社会保険労務士に、作成や提出を依頼することもできます。REDISH は申請書類を作ったり、代わりに提出したり、代理で手続きをしたりすることはありません。制度を探すのは、ご本人が使える無料の道具「補助金ナビ」(公開準備中)です。地域や事業の内容を入れると、合いそうな制度と「いつまでに何をするか」を確かめられます。