Column
コラム
こんにちは。
REDISHで開業サポートを担当しているYです。
「自己資金は足りるのか」
「この売上で本当にやっていけるのか」
「思ったようにお客様が来なかったらどうしよう」
開業を検討される多くの方が、こうした不安を抱えています。
今回のご依頼主様も同様に、月商100万円前後の設計や900万円の融資に対して、強い不安を感じていました。
ただ、その不安は──
“数字で分解すること”で解消できるものでもあります。
実際に本事例では、売上・家賃・運転資金をすべて数字ベースで設計し、開業1ヶ月で月商117万円・黒字化、さらに創業融資900万円の調達にも成功しています。
ここからは、その具体的な判断プロセスを見ていきましょう。
また、詳細な数値や資金計画については、こちらのコラムでご紹介しています。
https://redish.jp/columns/example_041/
1. なぜ、その業態だったのか
開業相談でよくあるのが、「やりたい業態から考える」ケースです。もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、それだけでは事業として成立するかは見えてきません。
今回のケースでまず整理したのは、
- 誰に使ってほしいのか
- どんな頻度で来店してほしいのか
- その人は何に価値を感じるのか
という“利用シーン”でした。さらに一歩踏み込み、
- 「1回の来店でどこまで満足してほしいのか」
- 「次回来店の動機は何になるのか」
まで設計しています。その結果見えてきたのが、「日常使いできるが、少しだけ満足度が高い店」というポジションです。
高単価すぎると頻度が落ちる。安すぎると差別化が難しい。この“頻度と満足度のバランス”を取りにいった結果が、「中価格帯のイタリアンバル」という選択でした。
つまり業態は、「やりたいこと」ではなく“選ばれ続ける理由を成立させるための手段”として決めています。
2. 立地は“条件”ではなく“戦略”で選ぶ
物件選びで陥りがちなのが、「空いている物件の中から選ぶ」という発想です。しかし本来は、“どこなら勝てるか”から逆算して探すべきものです。
今回の意思決定で重視したのは、次の3点でした。
- ターゲットが生活しているエリアか
- 日常の動線上にあるか
- 競合とのポジションに空きがあるか
加えて、
- 「その場所で、どんな使われ方をするか」
- 「来店のきっかけが自然に生まれるか」
という視点も重視しています。つまり、「人通り」ではなく「使われ方」を見ています。結果として選ばれたのは、派手な繁華街ではなく、生活圏に近い駅前立地でした。
これは、「たまに来る店」ではなく、“繰り返し使われる店”を狙った判断です。さらに言えば、立地は集客の起点ではなく、リピートを成立させる装置として設計されています。
3. 不安は“構造化”しない限り消えない
今回のご依頼主様が抱えていた不安の多くは、
- 売上が足りるのか
- 融資を返せるのか
- 集客できるのか
といったものでした。ただ、これらはすべて抽象度が高く、そのままでは解決のしようがありません。そこで行ったのが、不安の分解です。
- 売上 → 来客数 × 客単価
- 集客 → 誰に・どうやって知ってもらうか
- リスク → どこまで崩れても耐えられるか
さらに、
- 来客数 → 新規来店+リピート
- 客単価 → 商品構成+提案力
といったように、行動レベルまで落とし込むことで、日々のオペレーションと数字をつなげています。このように分解することで、
- 何を優先して改善すべきか
- どこに手を打てば売上が動くのか
が明確になります。重要なのは、“不安をなくす”ことではなく、“扱える状態にする”ことです。そしてもう一つ重要なのは、「想定通りにいかなかった場合の動き方」まで決めておくことです。事前に打ち手を持っておくことで、実際の経営判断のスピードと精度が大きく変わります。
4. 経験は“そのまま”では武器にならない
もうひとつ大きなポイントは、過去の経験の扱い方です。今回のご依頼主様は、酒類卸での長い経験をお持ちでした。ただ、それをそのまま「強み」と言っても、事業にはつながりません。そこで整理したのは、
- どんな知識を持っているのか
- それはお客様にとってどんな価値になるのか
- どうすれば売上につながる形で提供できるのか
という変換プロセスです。さらに重要なのは、それを現場で再現できる形に落とし込むことです。
- どのタイミングで提案するのか
- どんな言葉で伝えるのか
- 誰がやっても一定の品質を保てるのか
ここまで設計して初めて、“強み”はオペレーションになります。結果として、「お酒に詳しい人」ではなく、“お客様に合った一杯を提案できる店”という形に落とし込みました。経験は、翻訳して初めて競争力になります。そして、仕組みにして初めて売上に変わります。
5. 「うまくいく前提」を作るという発想
多くの開業は、「うまくいったらどうするか」で考えがちです。しかし実際には、“多少うまくいかなくても成立する状態”を先に作ることが重要です。
今回の設計でも、
- 固定費をコントロールする
- 無理のないオペレーションにする
- 初期のブレに耐えられる余白を持たせる
といった、“守りの設計”を先に固めています。加えて、
- 売上が想定を下回ったときにどこを改善するか
- コストをどこまで下げられるか
- どのタイミングで打ち手を変えるか
といった「崩れたときの動き方」まで事前に設計しています。これは消極的な考えではなく、継続するための前提条件です。むしろこの設計があることで、攻めの判断(投資・拡張)も安心して行えるようになります。
6. 成功の本質は「特別なことをしていないこと」
この事例を見ると、「特別なノウハウがあったのでは」と思われるかもしれません。しかし実際には、
- ターゲットを決める
- 立地を戦略的に選ぶ
- 不安を分解する
- 経験を価値に変換する
- リスクに備える
といった、非常に基本的なことを丁寧に積み上げています。さらに言えば、これらはすべて「後から改善する」のではなく、「最初から設計している」点が重要です。
違いが出るのは、それを“なんとなく”ではなく、“構造として設計しているかどうか”です。そしてこの構造は、一度理解すれば他の業態や立地でも応用可能です。つまり、成功は属人的なものではなく、再現できるものになります。
まとめ
開業における不安は、誰にでもあります。ただ、その不安は感覚のまま抱えるものではなく、分解し、整理し、意思決定に変えていくことができます。
今回の事例が示しているのは、
・正しい順序で考えること
・判断を言語化すること
・数字と構造で裏付けること
この3つが揃えば、開業は“再現可能なプロセス”になるということです。そしてもう一つ付け加えるなら、「考えた内容を実行できる形に落とし込むこと」です。
戦略は、実行されて初めて意味を持ちます。逆に言えば、ここまで整理できれば、開業は「不確実な挑戦」ではなく、コントロール可能な事業へと変わっていきます。
☎️ お急ぎの方は、お電話でもご相談いただけます!
受付時間:平日 9:00〜20:00
※時間外は留守番電話にメッセージをお入れください。折り返しご連絡いたします。
※田邊が出られない場合は、丹治または新藤がご対応いたします。







