Column
コラム
開業早々に軌道に乗せ、創業融資400万円の調達にも成功――。
【お弁当屋兼居酒屋】は、開業直後から安定した売上を確保し、順順調なスタートを切りました。
もちろん成功の背景には、オーナー自身の経験や努力があります。しかし、それだけではありません。立地選定、資金計画、融資対策、売上シミュレーションなど、開業前に行った入念な準備が大きな支えとなりました。
本記事では、実際に作成された事業計画書をもとに、
- 現実的な資金計画の立て方
- 融資審査で評価されたポイント
- 売上予測の考え方
- 開業前に準備しておくべきこと
など、開業成功の裏側をご紹介します。
「開業したいけれど、何から始めればいいかわからない」
「創業融資を受けたいけれど、審査が不安」
そんな方にとって、実際の開業事例から学べるヒントが詰まった内容です。
目次
1. 事業概要
飲食店開業では、「どのようなお店をつくるのか」を明確にすることが重要です。
業態や営業時間、席数、客単価、スタッフ体制などの基本設計は、売上計画や融資審査にも大きく影響します。
まずは、この事業がどのようなコンセプトでスタートしたのか、その全体像を見てみましょう。
基本情報
昼は手頃な価格のお弁当を提供し、夜は居酒屋として営業することで、一つの店舗で複数の需要を取り込むビジネスモデルを構築しています。
2. 立地条件と選定理由
飲食店経営において、「どこで開業するか」は売上を大きく左右する重要な要素です。
この店舗では、単純に人通りの多さだけでなく、地域特性や顧客の移動手段まで考慮して出店場所を選定しました。
出店場所
この立地を選んだ理由
最大のポイントは、ビーチ至近という集客力と、大型共用駐車場(70台)の利便性を両立していたことです。
沖縄は車移動が中心の地域であり、十分な駐車場を確保できるかどうかが来店率に大きく影響します。
この立地であれば、
・平日の通勤客・近隣住民
・休日の観光客・レジャー客
・ファミリー層
といった幅広い客層を取り込める可能性がありました。
立地選定の段階からターゲット顧客を明確にイメージし、売上につながる環境を整えていたことが成功要因の一つといえます。
3. 賃貸条件
家賃は飲食店経営における代表的な固定費です。
どれだけ売上が好調でも、家賃負担が重すぎると利益を圧迫し、経営の安定性が損なわれます。そのため、物件選びでは立地だけでなく、「家賃と売上のバランス」を慎重に見極めることが重要です。
物件条件
創業時は売上が安定するまで時間がかかるケースも少なくありません。
そのため、この事例でも立地の魅力だけでなく、創業初期の売上でも無理なく支払える固定費水準かどうかを重視して計画が立てられました。
結果として、十分な集客力を持つ立地を確保しながらも、事業継続に無理のない賃貸条件でスタートできたことが、その後の安定経営につながっています。
4. 資金計画
飲食店開業では、「いくら必要か」だけでなく、「どのように資金を配分するか」が重要です。
店舗取得費や内装工事費、厨房機器といった初期投資に加え、開業後すぐに売上が安定しなかった場合に備える運転資金も確保する必要があります。
この事例では、自己資金250万円に加え、沖縄振興開発金融公庫から400万円の融資を受け、総額650万円の資金計画を立てました。
資金計画の内訳
資金調達の内訳
自己資金:250万円
創業融資:400万円
自己資金比率は約38%となっており、金融機関から見ても一定の準備ができている計画といえます。
返済計画
融資は「借りられるだけ借りる」のではなく、返済を前提に計画することが重要です。
この事例では、開業直後の資金不足を防ぐために十分な運転資金を確保しながらも、毎月の返済負担を抑えた計画となっていました。こうした無理のない資金設計が、開業後の安定した店舗運営につながっています。
5. 月次収支計画
開業前に必ず作成しておきたいのが収支計画です。
「どれくらい売上があれば利益が出るのか」「固定費はどの程度か」「売上が想定を下回った場合でも継続できるか」といった点を事前に確認することで、開業後のリスクを大きく減らせます。
月次収支計画
損益分岐点
月商 約77.7万円
この計画から分かるのは、売上が月商80万円前後を超えると利益を確保しやすくなるという点です。
また、人件費をかけない運営体制によって固定費を抑え、損益分岐点を低く設定できていることも特徴です。
ただし、ワンマン経営は人件費を削減できる一方で、体調不良や繁忙時の対応など課題もあります。そのため、将来的な人員計画まで見据えた事業設計が重要になります。
6. 融資審査で評価されたポイント
創業融資の審査では、単に「飲食店をやりたい」という熱意だけでは十分ではありません。
市場環境や競合状況、収益性、返済可能性などを具体的な数字や根拠とともに説明できるかが重要になります。
ここでは、事業計画書の中で特に評価されたと考えられるポイントをご紹介します。
📌 市場分析
ターゲット設定が明確
- 平日昼:近隣の会社員や現場作業員向けのお弁当需要
- 夜間・休日:近隣住民やビーチ利用者向けの食事需要
時間帯ごとにターゲットを明確に分けることで、売上の根拠を説明できていました。
📌 ニーズ調査に基づく商品設計
価格だけでなく、
・手作り
・健康志向
・地元食材の活用
といった付加価値を明確に打ち出し、既存店との差別化を図っていました。
📌 競合分析
差別化ポイントが明確
競合店がコスト削減を重視する中、
・冷凍食品を使用しない
・国内産・県産食材中心
・多彩な副菜を提供
という独自の強みを設定していました。
📌 立地優位性の説明
ビーチ近接のロードサイド立地に加え、70台分の共用駐車場を活用できることから、広域からの来店が期待できる点も強みとして整理されていました。
📌 収益性の説明
仕入れ先が具体的
主要仕入先や仕入比率が明確になっており、原価管理の実現性を説明できていました。
固定費を抑えた事業設計
創業当初はオーナー1名で運営することで人件費を抑え、売上変動への耐性を高めていました。
こうした「なぜ利益が出るのか」を具体的に説明できたことが、事業計画の説得力につながったと考えられます。
7. 開業前の設備投資と審査のポイント
融資審査では、「何にいくら使うのか」だけでなく、「なぜその投資が必要なのか」も確認されます。
特に飲食店では、物件取得費・内装工事費・厨房設備費が大きな割合を占めるため、それぞれの妥当性を説明できることが重要です。
■ 内装工事・物件取得費
審査では、
・契約条件は適正か
・設備譲受費用は妥当か
・必要以上の投資になっていないか
といった点が確認されます。
この事例では、既存設備を活用することで初期投資を抑え、必要最低限の改装で営業可能な状態を実現していました。
■ 厨房設備・什器
厨房設備は店舗コンセプトと直結する投資です。
今回のケースでは、
・手作り中心の調理体制
・弁当製造と夜営業の両立
・オーナー1名での運営
を前提に設備が選定されていました。
設備投資の理由と運営方法が一致している点は、金融機関から見ても評価しやすいポイントです。
■ 運転資金
開業直後は売上が計画通りに推移しないケースも少なくありません。
そのため、
・仕入資金
・家賃
・水道光熱費
・広告宣伝費
などをあらかじめ数か月分確保しておくことが重要です。
この事例では、運転資金を3か月分確保することで、売上が安定するまでの資金繰りリスクに備えていました。
融資審査では、「いくら必要か」よりも「なぜ必要か」を説明できることが重要です。設備投資や運転資金の根拠を明確に示すことで、事業の実現性と返済可能性を伝えやすくなります。
8. 成功のポイント
開業後に安定したスタートを切れた背景には、立地や資金調達だけでなく、オーナー様自身の経験や準備がありました。
特に本事例では、「経験」「差別化」「資金計画」の3つがうまく噛み合っていたことが特徴です。
成功の要因は、特別なアイデアではなく、これまで積み上げてきた経験を事業計画として整理し、実行可能な形に落とし込んだことにあるといえるでしょう。
9. 融資面談で意識した回答例
融資面談では、事業内容そのものよりも、「なぜ実現できるのか」を説明できるかが重要になります。
ここでは、実際の事業計画をもとに整理した想定回答例をご紹介します。
融資面談では、特別な回答をする必要はありません。大切なのは、事業計画書に書かれた内容と一貫した説明ができることです。
10. クライアントの声
お弁当屋兼居酒屋 オーナー Y様
長年、移動販売や飲食業に携わってきましたが、いざ自分の店舗を持とうと考えた時、自分の経験をどのように事業計画へ落とし込めばよいのか分かりませんでした。
特に、これまで積み重ねてきた実績や商品へのこだわりを、金融機関にどう伝えるべきか悩んでいました。
支援を受けながら事業計画を整理したことで、自分では当たり前だと思っていた経験や強みが、実は事業の大きな武器になることに気付けました。
その結果、自信を持って融資面談に臨むことができ、開業への第一歩を踏み出すことができました。
11. この事例から学べる融資審査のポイント
本事例を振り返ると、評価につながったと考えられるポイントは以下の4つです。
創業融資では、「良いアイデア」よりも「実現できる根拠」が重視されます。経験・数字・計画を整理して伝えることが重要です。
13. まとめ
今回ご紹介した事例では、
・長年の実務経験
・明確な差別化戦略
・現実的な資金計画
・根拠のある売上予測
を丁寧に整理したことで、開業準備を着実に進めることができました。
飲食店開業では、「どんなお店を作りたいか」だけでなく、「なぜ成功できるのか」を数字や根拠で説明できることが重要です。
事業計画書は融資のためだけの書類ではありません。開業後の経営判断の軸となる大切な設計図です。
これから開業を目指す方は、ぜひ今回の事例を参考に、ご自身の経験や強みを事業計画へ落とし込んでみてください。
お問い合わせ・無料相談
飲食店の開業準備では、
・融資は受けられるのか
・自己資金はいくら必要なのか
・売上計画は現実的なのか
・この立地で本当に大丈夫なのか
など、多くの不安や疑問が生まれます。
今回ご紹介した事例も、最初からすべてが明確だったわけではありません。オーナー様の経験や強みを整理し、数字や根拠に落とし込むことで、事業計画として形にしていきました。
REDISHでは、飲食店専門の開業支援として、
・創業融資の相談
・事業計画書の作成支援
・売上・収支シミュレーション
・開業準備全般のアドバイス
などをサポートしています。
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