Column
コラム
こんにちは。
REDISHで開業サポートを担当しているYです。
飲食店の開業を考え始めたとき、多くの方がまず感じるのは「本当にうまくいくのか?」という不安ではないでしょうか。
- 自己資金はいくらあれば足りるのか
- 融資は本当に通るのか
- この立地、このコンセプトで売上は立つのか
頭の中ではイメージがあっても、それを「数字」として落とし込む段階で立ち止まってしまう——
これは、これまで私たちが支援してきた多くの方に共通する悩みです。
今回ご紹介するのは、異業種からの挑戦でありながら、創業融資3,000万円を含む総額1億1,500万円の資金調達に成功したカフェ開業事例です。
一見すると「特別な成功事例」に見えるかもしれませんが、実際には、ご依頼主様も最初は同じように不安を抱えながら、一つひとつ意思決定を積み重ねていきました。
本記事では、そのリアルな思考プロセスを、実際の数値や計画をもとに紐解きながら解説していきます。
ここからは、実際に私たちがどのようなサポートを行い、どんな迷いや判断のポイントがあったのかを、一緒に見ていきましょう。
また、売上や融資額、資金配分など、より具体的な数値や詳細については、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
【創業融資3,000万円】1億円超の資金調達を実現したカフェ開業戦略と融資審査のポイント
https://redish.jp/columns/example_037/
1. 事業の出発点|「やりたい」だけでは進めない瞬間
開業を検討されていたご依頼主様には、すでに明確な想いがありました。
「北欧のコーヒー文化を、日本でも体験できる場所をつくりたい」
ただ、その想いが強ければ強いほど、次にぶつかるのが現実的な壁です。
- このコンセプトは本当に受け入れられるのか
- 自分の経験で通用するのか
- “自己満足”で終わってしまわないか
頭の中では「できそうな気もするし、難しそうな気もする」——
そんな曖昧な状態のまま、前にも後ろにも進めなくなる方は少なくありません。実際にご相談いただいた際も、「やりたいことはある。でも、それが事業として成立するのか分からない」という状態でした。
さらにお話を深掘りしていくと、
- なぜそのコンセプトなのか
- 誰に届けたいのか
- なぜ自分がやる必要があるのか
といった問いに対して、「感覚では答えられるが、言葉にしきれない」という状況でもありました。私たちが最初に行ったのは、正解を提示することではなく、「その想いがどこまで言語化できているか」を一緒に整理することでした。
なぜなら、融資や出店の前に、
👉 “自分が何をやろうとしているのかを、自分の言葉で説明できるか”
ここが曖昧なままだと、その後のすべての判断がブレてしまうからです。
実際、この言語化のプロセスを進めていくと、最初は一つの“やりたいこと”だったものが、「誰に向けたお店なのか」「どんな体験を提供するのか」「なぜ今、この場所でやるのか」といった具体的な輪郭を持ち始めます。そしてこの段階で初めて、👉 「良さそう」ではなく「成立する可能性がある」かどうかを判断できる状態になります。開業準備のスタートは、物件探しでも資金調達でもなく、“自分の頭の中にあるものを、他人に伝わる形にすること”。ここを丁寧に言語化できたかどうかが、その後のすべての意思決定の精度を大きく左右していきます。
2. 立地選びで直面した迷い|「良さそう」では決めきれない
次に大きな壁となったのが、立地選びです。候補はいくつかありましたが、どれも一長一短。
- 人通りは多いが、ターゲットと少しズレている
- 雰囲気は合うが、集客に不安がある
- 条件は良いが、コストが高い
一見すると「どこも悪くない」。しかし裏を返せば、「決め手に欠ける」という状態でもありました。よくあるのが、この段階で「なんとなく良さそうだから」「ここなら失敗しなさそうだから」という“安心感ベース”で決めてしまうケースです。
ただ、この選び方をしてしまうと、
- 想定と違った場合に修正が効かない
- なぜその場所を選んだのか説明できない
- 結果として、集客や価格設定にも迷いが出る
といった後工程への影響が大きくなります。しかし今回のケースでは、あえて立ち止まりました。すぐに結論を出すのではなく、「そもそも、このお店はどんな人に選ばれるべきなのか?」という前提に立ち返ったのです。
私たちが一緒に整理したのは、
- どんなお客様に来てほしいのか
- その人は普段どこで時間を過ごしているのか
- どんなタイミングでカフェを利用するのか
- 何を基準にお店を選ぶのか
といった、“お客様の行動”と“意思決定の基準”でした。この整理を進めていく中で、ご依頼主様の中でも徐々に気づきが生まれていきます。
例えば、
- 「安さ」ではなく「体験」で選ぶ層なのではないか
- 日常使いだけでなく、“目的来店”も狙うべきではないか
- 滞在時間が長くなる空間の方が相性が良いのではないか
といったように、単なる立地比較ではなく、“コンセプトと場所の相性”で判断する視点へと変わっていきました。その結果見えてきたのが、
👉 「人が多い場所」ではなく、「選ばれる理由が成立する場所」
という考え方でした。
この視点に変わったことで、それまで同じように見えていた候補地も、「ここはターゲットが“通る”だけで“選ばない”場所」「ここは来店動機が自然に生まれる場所」といったように、明確な違いとして見えるようになります。最終的には、「一番無難な場所」ではなく、「このコンセプトならここで勝負できる」と納得できる場所を選択されました。立地選びは、条件の比較ではなく“仮説の検証”です。そしてこのプロセスを丁寧に踏んだことで、出店後の集客や価格設定においても、一貫した判断軸を持つことができるようになりました。
3. 「お金の不安」の正体|足りないのは資金ではなく整理
開業相談で必ず出てくるのが、お金の不安です。
- いくらあればいいのか分からない
- 借りていい金額が分からない
- 返せるのかが不安
ご依頼主様も例外ではありませんでした。特に印象的だったのは、「できるだけリスクは抑えたいので、投資は小さくした方がいいですよね」というご相談でした。一見すると堅実な判断に見えますが、ここには大きな落とし穴があります。
実際に話を整理していくと、見えてきたのは
👉 「お金が不安」なのではなく、「全体像が見えていないことが不安」
という状態でした。
例えば、
- どこまでが“必要な投資”なのか分からない
- 削っていいコストと、削ってはいけないコストの区別がつかない
- 将来の売上との関係性が見えていない
こうした状態のままでは、「とりあえず抑える」という判断になりやすく、結果的に“機会損失”につながるリスクも高まります。そこで行ったのは、細かい数字の話ではなく、
- 何にお金がかかるのか
- なぜそこに投資するのか
- その投資がどんな体験や価値につながるのか
- それがどのように売上へと返ってくるのか
という“構造の整理”です。このプロセスを通じて、ご依頼主様の中でも大きな変化が生まれました。それまでは、「なるべくコストを抑えたい」という発想だったものが、
- 「ここはお客様の体験に直結するから削れない」
- 「ここは優先度が低いので調整できる」
- 「この投資は将来的に回収できる見込みがある」
というように、“意味のあるお金の使い方”を選べる状態へと変わっていきました。すると不思議なことに、「思ったより必要なんですね」ではなく、「この部分は削らない方がいいですね」というように、意思決定の質が変わっていきました。開業におけるお金の問題は、単なる金額の大小ではなく、“そのお金が何を生み出すのかを理解できているかどうか”に本質があります。そしてこの「構造で考える」という視点を持てたことが、その後の資金調達や事業計画の精度を大きく引き上げることにつながっていきました。
4. 迷いが消えた瞬間|「判断基準」ができたとき
開業準備の中で最も大きな変化は、不安がゼロになることではなく、
*「自分なりの判断基準が持てるようになること」です。
今回のご依頼主様も、「どの立地を選ぶか」「どこまで投資するか」「どの順番で進めるか」といった重要な意思決定を、最終的にはご自身で納得して選ばれていました。ただ、最初から迷いがなかったわけではありません。むしろ初期段階では、
- 「どれが正解なのか分からない」
- 「失敗しない選択をしたい」
- 「誰かに決めてほしい」
という状態に近く、判断を先延ばしにしてしまう場面もありました。そこから変化が生まれたのは、一つひとつの選択に対して、
- なぜその選択をするのか
- 他の選択肢と何が違うのか
- 自分たちのコンセプトと合っているのか
といった“判断の軸”を整理していったタイミングです。その背景にあったのは、👉 「なんとなく良さそう」ではなく「こうだから選ぶ」という理由です。この状態になると、意思決定そのものが楽になるだけでなく、迷ったときの“戻る場所”が明確になります。
例えば、想定していたより売上が伸びなかった場合でも、「なぜこの立地を選んだのか」「どの価値を優先しているのか」が整理されているため、「では次に何を調整すべきか」を冷静に考えることができます。逆に、判断基準が曖昧なまま進んでしまうと、価格を下げるべきか、コンセプトを変えるべきか、集客方法を変えるべきかといった判断もすべて“感覚頼り”になり、軸がブレ続けてしまいます。開業とは、正解のない選択の連続です。だからこそ重要なのは、👉 「正しい選択をすること」ではなく、「自分で説明できる選択をすること」。この判断基準を持てたことこそが、今回のプロジェクトが前に進んだ最大の要因でした。
5. なぜこのプロジェクトは前に進めたのか
今回の事例が特徴的なのは、特別な条件が揃っていたからではありません。むしろ、
- 異業種からの挑戦
- 高額な投資
- 初めての飲食事業
という、不安要素が多いケースでした。実際、ご依頼主様自身も、「本当に自分にできるのか」「この規模で進めて大丈夫なのか」といった葛藤を抱えながら、一つひとつ意思決定を進めていかれました。
それでも前に進めた理由はシンプルです。
👉 「感覚」を「言葉」にし、「言葉」を「判断」に変えていったこと
最初は曖昧だったものが、
- なんとなく良い → なぜ良いのか説明できる
- 不安 → 何が不安か特定できる
- 迷い → 比較して選べる状態になる
というように、“扱える情報”へと変わっていきました。この変化が起きると、「考えても分からない状態」から、「考えれば判断できる状態」へとステージが変わります。
そしてもう一つ重要なのは、このプロセスは決して特別なものではないという点です。経験の有無に関わらず、「頭の中にあるものを言語化し」「選択肢を整理し」「判断基準を持つ」このステップを踏むことで、誰でも再現可能なプロセスです。つまり今回の事例は、「すごい人だから成功した」のではなく、👉 「進め方を間違えなかったから前に進めた」と捉えることができます。開業において差がつくのは、センスや運だけではありません。こうした“見えない思考プロセス”をどれだけ丁寧に積み上げられるかが、結果を大きく左右します。そしてこの積み重ねこそが、融資や出店といった大きな意思決定の場面で、「納得して前に進めるかどうか」を分けるポイントになっていきます。
6. まとめ|開業は“決断の連続”
飲食店の開業は、華やかに見える一方で、実際には小さな意思決定の積み重ねです。そしてその一つひとつに、「これでいいのか?」という不安がつきまといます。
ただ、その不安は決して悪いものではありません。むしろ、👉 正しく向き合い、整理することで“精度の高い判断材料”に変わります。
今回の事例のように、想いを言語化し、選択肢を整理し、自分なりの基準で決断する。
このプロセスを踏むことで、開業は「不安な挑戦」から「納得感のある選択」へと変わっていきます。
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