監査の現場で、数字を確かめる力をつけてきた。その力を、経営を動かす側でも使ってみたい。コンサルや IPO を目指す事業会社に進むか、AI を軸に仕事の形を変えるか。そう考えている若手の会計士の方に読んでほしい特集です。
私たちリディッシュは、作業は AI が担い、専門家が判断する形で、税務・経営アプリ・パートナー企業との仕事を毎日作り変えています。
その先に目指しているのは、中小企業の CFO(財務の責任者)の仕事を、AI で担うこと(CFO テック)です。これを一緒に目指すことで、会計士の専門性の可能性は、監査の中よりずっと広がると私たちは考えています。この特集では、いま動いていることと、これからのことを分けてお見せします。
1. 私たちが自信を持っているのは、AI を使いこなす「環境」です
AI の道具そのもので差はつきません。差がつくのは、業務の手順とお客様の暗黙知(言葉になっていない仕事のコツ)を早くつかみ、仕組みに残したかどうかです。
私たちは 2025 年 2 月に「AI ネイティブ経営」を宣言し、同年 11 月から生成 AI を経営と開発の中心に置きました。社内では、システムの外で仕事をしないのが原則です。口頭や手作業で進めると、決めたことと経緯が残らず、AI も学べないからです。
代表自身が AI 活用の最先端を走り、AI と一緒に会社の業務システムを作っています。税務・開業支援・集客の現場で、社員とお客様が毎日それを使っています。1 か月(2026 年 9 月 18 日〜10 月 18 日の 30 日)に書いたコードは 300 万行を超え、自分たちで作った業務アプリとサイトは 30 個を超えています。
(数え方: 社内でコードを置いている 3 つの場所(業務アプリの 2 つと、AI の運用の仕組みの 1 つ)で、本番(お客様と社員が実際に使う状態)に入れた変更の追加行を合計した値です。自動生成ファイルと、他所からの写しは除いています。アプリとサイトの数は、業務アプリの 2 つの場所の合計です)
だから私たちは、会計の仕事で AI を徹底的に使いこなせるこの環境に、強い自信を持っています。それでも代表自身、AI に数字を数え直されて考えを改めることが毎週あります。
2. 隣にいるのは、財務を軸にキャリアを歩いてきた代表です
代表は公認会計士として、監査法人トーマツで上場企業の監査からキャリアを始めました。その後、クーパース&ライブランド(現 PwC)で M&A に携わり、スパークスでは経理・IPO の準備・アナリストを経てファンドマネージャーとなり、ピークの 2006 年には 3,000 億円規模の日本株ファンドを運用しました。投資会社を 5 年経営したあと、2015 年にリディッシュを創業しています。
監査、M&A、IPO の準備、資産運用、そして経営。財務を軸に多彩なキャリアを歩き、いまは AI 活用の最先端を走る経営者の隣で働くことが、会計士が CFO の仕事に近づくいちばんの近道だと、私たちは考えています。
3. 税務の現場 — 作業は AI が担い、専門家が判断する
記帳・資料の回収・質問の振り分けといった作業は AI が担い、人が判断します。記帳では、AI が仕訳を作り、人が判断して承認します。お客様からの質問も、まず AI が振り分けます。事務的な質問には AI がすぐ答え、税務の判断が要る質問は必ず税理士に回します。「AI は税務の判断に答えない」を、システムの決まりとして入れています。
マニュアルづくりも同じ形です。聞き取りの文字起こしを決まった形に入れると、文にする作業は AI が担い、何を載せるかは人が判断します。
専門家の仕事は、なくなるのではなく移ります。AI に答えだけを覚えさせても応用は利きません。どんな手順を経て、なぜその結論にしたかをセットで渡すと、AI の精度が上がります。社内の定例で、代表がメンバーに伝えていることです。自分で答えることに加えて、AI が学べる材料(結果・手順・理由)を用意すること。それが、これからの会計士の仕事の一部になると考えています。
現場から届く改修の要望も、量を大事にしています。最初から質の高い要望はなく、質は量からしか生まれないからです。集めた要望は、次の仕組みを作るときの学びの材料になります。
4. 経営アプリと店舗管理の現場 — 数字を、経営者が使える形に
税務が入口になると、毎月の記帳でお店の数字(損益と財産の状態)が集まります。だから記帳の先で、経営と資金の助言までつなげられます。
フランチャイズ本部向けに「どの店に手を打つか」を判断する画面を作り、それを複数の店舗を持つオーナー向けの店舗管理に転用しました。企画から 2 週間半で、計画した変更の大半を終えています。全店の数字の上には、AI が「どの店が最優先か」を要約して出します。
ただ、計算は AI がしても、その意味を考えるのは人です。原価率が上がった理由が仕入れなのか、廃棄なのか、メニューの組み方なのか。経営者がその数字を見て何に不安を感じるか。相手の気持ちを徹底的に考えることは、AI には代わってもらえません。
5. パートナー企業との現場 — 企画書から数日で、担当者が使う画面に
会計ソフトのパートナー企業とは、紹介したお客様の進み具合を一緒に追う画面を作って運用し、同じ形を不動産のパートナー企業にも広げました。飲食店向けの物件を扱うパートナー企業の担当者が使う画面は、企画書を書いてから数日で本番に出ています。
POS レジを入れたお店には売上の分析と経営の助言を、内装を頼んだお店には店づくりの助言を付ける。パートナー企業の商品に「その先」を付ける仕組みを、パートナー企業ごとに AI と速く作っています。
2024 年には PwC Japan と、飲食店の経営者を対象にした生成 AI の分析の実証を共同で発表しました。
6. 速さと一緒に、間違いを止める仕組みも作る
会計の専門家にとって、速さと同じくらい大事なのは正しさです。
私たちは、公開している数字を前提から計算し直して本文と突き合わせる検査を、自動で回しています。誤りが入れば、公開の前に止まります。
AI に仕事を代わりにさせるときの守りも決めています。戻せる形でやる。事前に控えを取る。お金が動くことは代表の同席のもとで行う。お客様や社外への連絡を AI に勝手にさせない。先に試して確かめる。
失敗や不具合は、その場の再発防止で終わらせません。共通する原因まで掘り下げて原則に直し、AI の学び全体に広げます。
7. CFO の仕事を技術で担う — どこまで来ていて、何がこれからか
公式サイトで「CFO TECH」と呼んでいる考え方があります。AI を土台に、データ(基盤)・AI を前提にした組織と業務システム(運用)・経営者に届くアプリ(アウトプット)の 3 つの層で事業を組む。AI を後から足すのではなく、事業と組織そのものを AI 前提で作り直す、という考え方です。
実現できると考える理由は 3 つあります。1 つ目は、記帳を通じてお店の数字が毎月集まること。2 つ目は、構想を数日〜数週で動く画面にでき、1 社で作った仕組みを別の業種へ転用できる開発の速さ。3 つ目は、隣に実例がいることです。代表は監査から M&A・資産運用・経営へと進み、財務と経営を一体で担ってきました(§2)。
| いまの状態 | |
|---|---|
| 今あるもの | 開業アプリ(事業計画・融資の準備・物件探し)、経営アプリ、店舗経営管理アプリ、集客の管理。記帳で集まる数字を、経営の助言につなげる流れ |
| 作っているところ | 記帳の作業を AI が担い、人が判断して承認する形。税務の作業時間がどれだけ減ったかは、まだ測っている途中です |
| これから | 会計士・税理士が事業者の CFO のアドバイザーとして、資金繰り・投資判断・経営戦略まで入る道。実例はまだ無く、これから作ります。飲食で作った型を、店舗のビジネス全般へ広げることも進めます |
8. 入ってから、何をどの速さで身につけるか
飲食業界の専門家である必要はありません。売上の組み立てと客単価をつかめば、お金の専門家としてどの業種にも向き合えます。足りない業界の知識は AI で補います。
最初の半年は代表と並走し、その後は自分がリードする案件を持ちます。たとえば、こんな 1 週間です。
- お客様の月次の損益を AI と読み、打ち手を 1 つ代表に提案する
- 経営の定例に座り、判断の根拠を聞いて意見を出す
- 資金繰り・予実・投資判断の資料を AI と作る(CFO が担う実務そのもの)
- パートナー企業の打ち合わせで聞いた課題を AI と動く画面にし、翌週に提案する
学びが速く回る決まりもあります。資料は仕上げてからではなく、目次の段階で見てもらう。毎日の振り返り(続けること・困ったこと・次に試すこと)を AI と一緒に書き、次の 1 手を磨く。迷ったら自分で判断して先へ進め、最後の確認だけを人に頼む。どれも社内の定例で、代表がメンバーに伝えていることです。少人数なので、生成 AI では代わりにくい生きた経営判断と、AI で仕組みを作る方法を、経営トップから直接学べます。経験が浅くても、AI と一緒に根拠をそろえて持ってくれば、提案はその場で通ります。
楽ではないこと
作業を AI に任せた分、判断の責任は自分に残ります。頭の中にある判断のコツを、個人のメモに閉じ込めず、システムを通して言葉にする手間もかかります。固定給は、大手の監査法人やコンサルほど高くありません。そして、会計士が中小事業者の CFO の仕事を担う道には、まだ実例がありません。決まった道を歩くより、道を作る側に回りたい方に向いています。
この現場で、会計の専門性を広げたい方へ
私たちは「すべての『ひと』が仕事で輝ける未来へ」を掲げています。経営者が数字に追われるのではなく、数字を使って次の一手を決められるように。専門家が入力ではなく、経営の判断を支える仕事で力を出せるように。記帳を支えるリモートスタッフも定型作業から離れ、それぞれの立場でお客様に価値を届けられるように。その形を、AI と一緒にいま作っています。
選考はカジュアル面談から始まります。応募の前提でなくても構いません。いまの仕事で AI をどう使っているか、どこで止まっているかを聞かせてください。 → 採用ページ
募集の要項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集主 | リディッシュ株式会社 |
| 住所 | 東京都港区西麻布 1-12-5 SW 六本木通ビル 3F |
| 連絡先 | https://redish.jp/careers/apply(応募フォーム) |
| 業務内容 | 公認会計士・税理士として、AI を使った中小事業者の財務と経営の支援(CFO テック)と会計・税務 |
| 就業場所 | フルリモート可(本社: 東京都港区西麻布) |
| 賃金 | 年収 600〜1,000 万円+業績賞与 |




