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オピニオンコラム

コロナ禍に発売したお弁当で脚光「十番右京」岡田右京が語る“成功の秘訣”【リディッシュ松隈が聞く!飲食の未来vol.2】

2021/10/27

「飲食店経営を豊かに」をビジョンに掲げ、集客・会計システムなど多角的にサービスを展開するリディッシュ株式会社代表・松隈剛が、飲食業界のトップランナーに飲食の未来を聞く「松隈が聞く!」シリーズ。

第2回は麻布十番「十番右京」「歌京」「十番右京ナチュールスタンド」恵比寿「十番右京」のオーナー、岡田右京氏が登場。

麻布十番にある「十番右京」は女性の日本酒ブームに火をつけた高級居酒屋だ。それまで「アルコール度数が高い」「酔っ払ってしまう」と“オヤジの飲み物”だった日本酒を20代、30代の女性たちが、この店では「飲みやすい」「おいしい」とグラスを空ける。「繁盛している店には女性が多い。だから女性が来て楽しいと思ってもらえる店づくりを徹底しています」と語るのは「十番右京」「歌京」「十番右京 恵比寿店」「十番右京ナチュールスタンド」のオーナー、岡田右京さんだ。おもしろいことに4店舗ともオープンから数ヶ月は閑古鳥が鳴いているのだが、必ず予約困難の大人気店となる。いったいどうやって繁盛店にするのか、松隈剛がその真相に迫る。

逆境の中にチャンスは必ずある! 自分の勘を信じよう!


岡田さんが「十番右京」をオープンしたのは2011年7月。東日本大震災から4ヶ月経った頃で世の中はまだまだ混乱の真っ只中。長年の目標であった飲食店経営への転身だった。

松隈:転職、そして初の飲食店オープンに際し、震災後のタイミングというのは懸念されなかったのですか? 普通なら躊躇するところだと思いますが。

岡田:ファッション業界にいた頃から食べ歩きが好きだったのと、飲食店を経営する会社の社長を経験し、いつか自分の店を開こうと思っていたんです。確かに震災の影響はありましたが、仕事を辞めて半年経っていたのでそろそろ何かやらないと!という気持ちが前に立っていたかな。そうしたら今の「十番右京ナチュールスタンド」の物件が見つかったのでむしろチャンスだと思いました。2011年の5月に契約して7月に「十番右京」をオープンしました。
宣伝なんかまったくしなかったので友人だけしか来てくれなくて本当にヒマでしたよ。でもお客さまがTwitterに投稿してくれたのがきっかけで来店数が急に増えたんです。当時はSNSと言えばTwitterという時代でした。

松隈:どんなことが投稿されたのですか? 岡田さんが仕掛けた戦略的なことはあったのでしょうか?

岡田:最初は具材にトリュフやフォアグラ、キャビアや珍味を使った高級餃子屋をやろうと思ったんです。でも餃子屋だと餃子しか出せないからつまらないしお客さまも頻繁に来ないなと。何か違和感があって進まなかった。物件は麻布十番で、僕も住んでいたし、だったらいま麻布十番になくて僕が行きたくなるお店を作れば当たると思ったんです。それで、”つまみとお酒の種類がたくさんあって毎日来ても飽きない店”にしました。
コンセプトが決まってマーケティングしてみると麻布十番にはワインラバー、しかも30〜40代の女性が多いことがわかり、その人たちが日本酒を飲むようになったらおもしろいと思ったんです。だからワインに似たような味わいの日本酒を選んで、しかも種類をめちゃくちゃ多くしてワイングラスや半合(90ml)で提供する店にしました。
料理は「トリュフたまごかけごはん」や「和ダレのフォアグラごはん」など、高級食材を使ったキャッチーでSNS映えするものに。当時、トリュフは高級レストランでしか食べられなかったのでポテトサラダやカルパッチョ、〆ご飯にまでトリュフをたっぷり削りました。しかもおしゃれ居酒屋価格で!
日本酒のメニューは女性にも飲みやすいフルーティなものから徐々に旨味があるもの、最後は昔ながらの辛口のものにカテゴリー分けして、さらにワインリストのように「名前」「生産地」「種類(純米、吟醸など)」、また「コメント」にはアルコール度数や米の種類、味わいなどを記載した表を作ったんです。日本酒が苦手と言う人は昔ながらの辛口のものを飲むからなので、辛口のカテゴリーのところには「日本酒好きにオススメ。初心者は飲まないように」って書いたりね。また大ブレイクしていた「獺祭」はスパークリングを始め全種類置いたのはウチだけだったし。そうしたら女性から「日本酒を飲むなら『十番右京』だよね」って言われるようになったのです。写真映えする料理とおしゃれに飲める日本酒、SNSにアップしたくなりますよね。

SNSにどんどん投稿されていたら、TVのニュース番組などで”日本酒の新たな可能性”とか”女性に日本酒ブームが到来”のような特集に、火付け役として取材されるようになったのです。すると今度は芸能人や著名人が来店していただけるようになり、さらに雑誌にもたくさん掲載されて、オープンから4ヶ月後にはありがたいことに予約が取れないという状況になりました。

松隈:まさにSNSが火をつけたという事ですね。「十番右京」が軌道に乗って2店舗目を考えられたのですか?

岡田:そうですね。本当にSNSに助けられました。2店舗目はずっと考えていて……、飲食店のセオリーだと「十番右京」の2店舗目をやれば良いのですが、チェーン店に見えるのが嫌だったんです。そこで思いついたのが、”「十番右京」の後に2軒目使いできる店”でした。2軒目っていうとバーかカラオケしかなかったのと、僕がDJをできるのでミュージックバーがいい、それなら万人が楽しめるJPOPだなと。それが「歌京」です。店名的にカラオケ屋さんに思われがちですが違います。
コンセプトが決まってからかなりの軒数の懐メロバーに行きましたが、多くの店は場末のスナックみたいで、店は古くて汚れているわ、提供する料理やお酒もひどかった。
だから僕は店は内装をきれいにしてして80年代のDCブランドの服やバッグ、ラジカセ、ファミコン、雑誌、おもちゃなどを店内に所狭しと並べて、かける音楽は昭和から平成のJPOP。松田聖子や山口百恵から宇多田ヒカルや浜崎あゆみと幅広い。料理は「十番右京」の人気メニュー、ドリンクは「ドン・ペリニヨン」や「ルイナール」「オーパスワン」といった超高級シャンパーニュやワイン、日本酒は「新政NO.6」「澤屋まつもと」など、焼酎、ビール、カクテル、サワーまで本当に良いものを良いグラスで飲める、さらに氷にまでこだわって、めちゃくちゃカジュアルなのに上質な、どこにもない店を作ったのです。結構なお金を投資したけどこれは絶対に当たる!と疑わなかったです。

運良く「十番右京」から歩いてすぐの場所に物件が見つかり、自信満々で開いたのですが、オープン当初こそ友人達が来てくれたけどそれからパタッと静かになり売上ゼロの日もありました。僕が自腹で飲んでゼロを無くすこともできたのですが、振り返った時のためにあえてゼロの日はそのままにしました。スタッフから不安の声が出ましたが、全部僕の責任だから気にしなくて良い、でもコンセプトは変えないし絶対に売り上げは良くなるからと言い続けました

SNSと人脈は最強の味方だ!

松隈:まさかの展開でしたね。どのくらいそんな状態が続いたのですか? 何か打開策は取られましたか?

岡田:2年くらいは本当にヒマで。「十番右京」は変わらず満席なのになかなか2軒目使いをしてもらえませんでした。「十番右京」の利益は「歌京」の赤字
に当てていました。打開策で言えば、SNSの力は「十番右京」でわかったので僕が毎日店に出て様子をアップしたことと、友人を連れて店に行ったことです。「十番右京」は3年目に入った頃から僕がいなくてもやっていける店を作らなければと店長に託して僕は店に立つのを辞めて、空いた時間で食べ飲み歩きをしていました。先輩や友人たちを食事の後に「歌京」にお連れするとみなさん、「楽しい!」と仰っていただけて。その方々が「右京さんが喜ぶと思って」と、超有名経営者や日本を代表する歌手や音楽プロデューサー、芸能人、著名人を連れてきてくれるようになったんです。僕のSNSにアップしましたが、その方たちも「あの店おもしろいよね」ってアップしてくれたり有名人の友達を連れてきてくれたりしていたら、ある時、売り上げが右肩上がりどころじゃない、直角に上がったんです。前月対187%とかだったかな。

松隈:そんなすごい人たちが!?

岡田:「歌京」は個室がないので、例えば坂本龍一さんや小室哲哉さんがカウンターに座って飲んでいますし、広瀬香美さんの前でご本人の曲をかければみんなで大合唱したりと、すごい盛り上がりでした。今はコロナ禍なので大合唱はできませんが。

松隈:そんな人たちが普通のお客さまと一緒に飲んで歌ったりするなんて信じられません! 有名人をそんな気にさせる秘密は何だと思いますか?

岡田:音楽と懐かしい空間でしょうね。みんなの知っている曲がかかると世代を超えて一体感が生まれる。あとは麻布十番という場所でしょう。客層が本当に良いです。

松隈:なるほど。40代や50代は青春ど真ん中だから「歌京」に行きたくなるのはわかりますが、20代30代が多いのは不思議です。

岡田:20代は親の影響ですね。親が50〜60代なので小さい頃、車の中で流れていたのが明菜ちゃんやキョンキョンの歌だったりで歌えるんですよ。30代もやはり音楽だと思いますよ。80年、90年代はみんなカバーするくらい名曲ばかりですから。
あと「歌京」でいちばん出るお酒は「ドン・ペリニヨン」なんですよ。年間500本近く出ます。びっくりですよね。高額で特別な日にしか飲めないドンペリがデイリーに飲めたら嬉しいじゃないですか。だから僕がドンペリを気軽に飲めるとしたらっていくらかなって考えてリーズナブルな価格にしたんです。そうしたらみなさん、「この価格ならドンペリ飲もう」って。またお誕生日にはドンペリだね、ともなりました。客層の良さですね。

良い物件はどんなことをしても手に入れる!

松隈:それは岡田さんの戦略勝ちですね。本当に発想がすごい! 岡田さんは勝負のしどころがよくわかっていらっしゃる気がします。そういう意味では恵比寿もナチュールスタンドも業態変更をされたようですが。

岡田:恵比寿店は「十番右京」から6年後に作ったのですが苦労しました。まず最初に大変だったのが物件探しです。最後の最後で他と契約されてしまったり、決まったと思ったら急に条件をあげてきたり。今の物件を獲得するのにしたことは頼まれてもいないのにパワーポイントで20枚くらいで自分の店のアピールポイントを書いて大家さんに持参しました。また保証金以外に礼金として家賃2ヶ月分を支払うと言いました。家賃を上げられるのは嫌ですが最初にイニシャルで支払えばそれはランニングコストにはならないからです。そうまでしても良い物件ならば勝ち取るべきです。そこでケチってしまうと1年2年(良い物件が)出てこないかもしれない。そのリスクの方が大きいです。
しかしやっと場所が決まったと思ったら今度はスタッフが見つからない。まさかの週休2日でのスタートでした。次は営業時間が問題に。最初は「十番右京」と同じ17時から朝までの営業にしたのですが0時以降まったくお客さまが来ない。ほぼ毎日深夜は売り上げゼロだったので、ランチから0時までに変えたのですが、これまたランチも入らない。夜はしっかり(お客さまが)入るので、ランチが入るようにあれこれ考えて昼飲みをオススメして高額なものをメインにしたけどウケなかったですね。結局1,000円前後のランチメニューをたくさん作ったら入るようになりました。週末はもう昼から飲んでくださる方も増えてきて、いい流れになりました。ただ現在はコロナ禍でリモートになった会社も多く、ランチの売り上げは下がりましたが。

松隈:3店舗とも苦しみながらも繁盛店にして、次は4店舗目ですね。

岡田:「十番右京ナチュールスタンド」は最初「右京堂」という名前で2019年10月にオープンしました。「十番右京」が手狭で、近くに広めの良い物件が出たので移転することにしたのです。ここ(移転前の「十番右京」)は何をするか考えてなかったですね。

松隈:なぜ移転しても残そうと思ったのですか?

岡田:創業の場所というのもありますが、こんな良い物件を手放す理由がないからです。良い物件さえあれば何でもできますから。
2019年5月に無事移転させて、店に何もなくなってから考え始めて、”ナチュールワイン”と”立ち飲み”がコンセプトの”コイン制”のお店にしてみたんです。「十番右京」は移転前まで満席状態だったし、業態は違っても僕の店だし、ナチュールワインも立ち飲みも流行り始めていたので、まさか人が入らないとは思ってもみませんでした。ところが激ヒマで、「歌京」を超える激ヒマ加減(笑)。人は通るけど「何なのこの真っ白い建物は?」って感じで無視。「右京堂」って店名も何屋さんかわからなかったんでしょうね。店の前で呼び込みもしたけど一向に良くならずにどうしようか悩んでいたらコロナが始まったんです。オープンして4ヶ月目くらいですね。コロナ前からヒマだったけれどコロナ禍になってからはさらにヒマで、売り上げ2〜3万円はざらで、数千円の日もありました。恵比寿と違って最初からスタッフは全員社員にしたので売り上げより人件費の方が上回ってしまい、さらに仕入れと家賃で大赤字です。でも「歌京」も2年ヒマだったし、コンセプトは良いので絶対に当たるから信じて!とスタッフにも自分にも言い聞かせていました。信じてと言っても信じられない様子でしたが(苦笑)。スタッフはお店を好きで働いてくれていたので頑張ります!と。本当にスタッフには恵まれました。

しかし敵はコロナです。2020年4月からは「十番右京」も「歌京」も売り上げた激減。全店休業という事態に追い込まれ、いよいよダメかと思いました。その窮地を救ってくれたのが「お弁当」でした。実は「ウーバーイーツ」が日本に上陸した2016年の目玉商品は、1,800円が500円という期間限定破格の「十番右京のトリュフたまごかけごはん」だったんです。「十番右京」の移転を機にテイクアウトは「右京堂」で単品や惣菜のみ取り扱っていたのですが、「お弁当メニュー」を新たに作ってテイクアウトに注力することにしました。恵比寿も同じくコロナでヒマだったので一緒に「お弁当」を始めることにしたら、コロナがどんどん広がり緊急事態宣言が発令され、外出の自粛となり、その「お弁当」が急に売れ始めたんです。

松隈:その頃はまだどこもテイクアウトを始めていなかったので、「十番右京」の人気メニューが入った豪華な弁当はすごく印象的でした。

岡田:TVにもバンバン取材され凄まじい売れ方でした。恵比寿店は離れているので単独で製作販売をして、麻布十番の店は歌京は休業、「右京堂」では仕込みだけをして、お弁当を「十番右京」で販売しました。その月はお弁当だけで3,000万円くらい売り上げたんです。
勝負をかけたのはGWも間近に迫った時です。有名店がテイクアウトに参入し僕が使っていた高級お弁当箱をみんなが使うようになり手に入らなくなってきたんです。コロナは収まるかもしれないし、このままお弁当が売れ続けるかわからない、何しろ全店舗が営業できていない状況でお金もないのに数百万円つぎ込んでお弁当箱を確保するという! 「右京堂」は天井までお弁当箱の山になりましたよ(笑)。でもこの”読み”が当たり、GWも、それ以降もお弁当は売れ続けたんです。もしこの時にお弁当箱を確保しなかったら資金繰りが危なかった。

勝負時を知る!

松隈:その勝負の勘はどこからくるのでしょうか。

岡田:”売れる風”って感じるんですよ。僕はそれに乗るだけです。たぶん誰でも「あ、これだ!」って思うことがあるはずで、それが”勝負時”だと思うんです。恵比寿の物件も前述の通り、「ここだ!」と思ったので言われてもいないのに店のコンセプトや売り上げの資料を作って、不動産屋さんと一緒にオーナーの会社に行って僕の店を入れたらどんなに良いかとプレゼンしましたよ。相手側にウチを”選ばせる”努力は最大限します。不動産屋さんの担当者をごはんに誘って僕や店のことをわかってもらう為にコミュニケーションを取って、味方になってもらいました。

松隈:「十番右京ナチュールスタンド」の勝負どころは「お弁当」だったってことですね。

岡田:そうですね。TVやSNSのおかげで「十番右京のお弁当」が日本中に知れ渡り、またそのおかげでロケ弁の注文も100個単位でかなりくるようになりました。しかしここで問題が発生しました。発送が「右京堂」だとそこって何?ってことになったんです。だから店名を「右京堂」から「十番右京ナチュールスタンド」に変えることにしました。これで何屋さんかわかるようになったし、”十番右京”がついていることで説明が要らないとお客さまからは好評でしたね。コイン制がうまくいってなかったのもあって良い機会だからとコイン制もやめました。本当に色々改革しました。空間は真っ白がきれいすぎたので外に提灯をつけ、中には黒板を貼って手書きのメニューにしました。すると不思議と店が活気付いてきたんです。スタンドバーだから回転率は良いし、「十番右京」の中で唯一”予約が要らない店”というのも人気が出た理由のひとつですね。2021年の4月には売り上げが右肩上がりになり、「歌京」を抜く日も多くなりました。

松隈:単刀直入に、右京さんが成功したのはなぜだったと思いますか?

岡田:努力しましたよ、もちろん。”売れる風に乗りながら流行らせて”います。「十番右京」がSNSの力を借りて成功し、「歌京」は時間こそかかりましたけど僕の人脈に助けてもらって、恵比寿は物件やスタッフの苦労はあったけれど「十番右京」の支店ということでうまくいって、「ナチュールスタンド」はお弁当と店名変更によって認知され軌道に乗せた。
思うにすべては”発信力”です。その発信力は”普通じゃないもの””女性目線”からきます。例えばメニュー開発は最初スタッフからあがってきますが、”普通に良いもの”なんです。それを僕がアレンジして”普通じゃないもの”に仕上げる。
また盛り付けや見せ方は女性を意識しています。女性がひと口で食べられる大きさにするとか、お箸で取りやすいように隠し包丁を入れたりとか、様々な種類が食べられるようにひと皿のポーションも”女性目線”で考えています。
成功したのはSNSにあげたくなるような料理やドリンク、空間を作り、お客さまと僕自身も発信して流行らせたからだと思います。

松隈:よくわかりました。でもSNSにあげたくなるようなものはどうやって作られるのですか?

岡田:食べ歩きですね。飲食店をやる前からずっと食べて飲んできましたから。日本酒なんて試飲会含めると3,000種類は飲んだんじゃないかな。おいしかったものや感動したものは写真を撮ってFacebookやインスタにアップします。それは映えているので当然勉強になりますから。料理人じゃなくても食べて飲んで舌を肥やせば仕事になります。

松隈:最後にズバリ、コロナ禍で成功する秘訣を教えてください。

岡田:こんな状況だから良い物件が出るので物件探しにとってはチャンスです。場所も今後はリモートが残ったりする可能性のあるオフィス街ではなく繁華街か住宅地の駅近に限定した方が良いでしょう。また家で過ごすことに慣れてしまったせいで目的がないと外食しないと思うんです。だからかなりこだわりを持つことですね。まず値段が高いのは理由がないと難しいと思います。おいしいだけでもダメ。有名シェフ以外は立地も重要です。初めての店ならビルの上階は避けるべきですね。店名もキャッチーだったり覚えやすいとか、名前だけで業態がわかるのも大事。いまの世の中、何が当たるかわからないから他店にはないセールストークをどれだけたくさん持っているかだと思います。
商売は単価×客数です。麻布十番って吉野家とか立ち食い蕎麦屋とかないんですよ。商売にならないんです。マクドナルドはあるけど24時間営業でなんとか成り立っている。麻布十番の街は乗降者数も少ないから単価が安いと成立しないんです。単価が高いということは”特別感”が求められる。普通=負けです。

松隈:右京さんはもう”次”のこと考えていらっしゃいますか?

岡田:考えていますよ。でも次も麻布十番ですよ。街も客層も好きすぎて(笑)。また今までとは違ったスタイルの店を作ります。なんだろうな、さっきも言ったけどチェーン店みたいに見られるのが嫌いなんですね。これからもありそうでなかったことを考えて、そこにどれだけファンがついてくれるか、かな。ファンがついてくれるように普通じゃないお店を作ります。
あと、商品開発もやっていきます。お弁当のように大ブレイクを狙いますがやはりいつも通りはじめはダメなんでしょうね(笑)。

【プロフィール】

岡田右京
ビクトリックス株式会社 代表取締役
ファッション業界でスタートして、目標であった飲食店経営へ。震災の年2011年7月に「十番右京」を創業。オープン半年で予約の取れないお店と言われるようになる。その後、JPOPミュージックBARの歌京を麻布十番に、十番右京2号店の恵比寿店に、そして新業態の自然派ワインの立ち飲みの十番右京ナチュールスタンドをまたも麻布十番にオープン。全店が繁盛店となる。コロナ渦で発売した十番右京弁当が大ヒット。今年、十番右京トリュフラーメン、まぜそばを通販で発売開始し、商品開発もスタート。


松隈 剛
リディッシュ株式会社 代表取締役
公認会計士資格取得後、監査法人、ファンドマネジャーを経て、2015年に飲食店の経営課題を解決すべくリディッシュ株式会社を創業。飲食店における「売上の最大化」と「コストの最小化」をテーマに、クラウドファンディング支援サービス「Make Story」と会計税務サービス「Cross Point」を展開。

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