REDISH の正社員採用でよくいただく質問があります。
「飲食業界に興味がないのですが、応募できますか」
はい、できます。むしろ、この記事でお伝えしたいのは飲食への関心とは別のところに、この仕事の価値があるということです。
リディッシュは「すべての『ひと』が仕事で輝ける未来へ」を掲げ、飲食店を中心とした中小事業者を、開業から税務・集客まで支えています。
飲食店の PL は、経営の縮図です
PL(損益計算書)は、その事業のお金の流れを 1 枚にまとめたものです。
飲食店の PL には、経営の要素がほぼすべて載っています。
| PL に載っているもの | そこから読めること |
|---|---|
| 売上 | 客単価 × 客数 × 営業日数。どこを動かせば増えるかが分解できる |
| 原価(食材) | 売上に連動して増える費用。原価率が上がれば利益は即座に減る |
| 人件費 | 売上に連動する部分と、固定の部分が混ざっている |
| 家賃 | 売上がゼロでも出ていく。立地への投資そのもの |
| 水道光熱費・広告費 | 減らせる費用と、減らすと売上が落ちる費用の区別 |
そしてこれらの関係から、「1 日に何人来れば黒字になるか」という 1 つの数字が出ます。
損益分岐点の月商 = 固定費 ÷ 限界利益率
1日あたり必要客数 = 固定費 ÷(客単価 × 限界利益率)÷ 営業日数
この計算式が意味するのは、経営の状態が客数という手触りのある数字に変換できるということです。「月商 250 万円を目指す」よりも「1 日 19 人に来ていただく」のほうが、何をすべきかが具体的に見えます。
同じ業態でも、必要な客数は 2.8 倍違います
抽象的な話ではありません。REDISH が公開している実例をご覧ください。
韓国料理店の開業を 2 つの型で比較すると、こうなります。
| 客席で焼く型 | テイクアウト型 | |
|---|---|---|
| 客単価 | 3,500 円 | 1,200 円 |
| 固定費 | 110 万円 | 115 万円 |
| 1 日あたり必要客数 | 約 19 人 | 約 53 人 |
固定費はほぼ同じなのに、必要な客数は 2.8 倍違います。客単価が違うからです。
同じことは業態をまたいでも起きます。居酒屋では、小規模店が 1 日約 16 人なのに対し、駅前大型店は約 75 人必要でした。融資額の差は 2.6 倍でしたが、必要客数の差は 4.6 倍です。
この構造を理解できると、業種が変わっても応用が効きます。飲食店で学んだ「固定費と限界利益率の関係」は、どんな事業にもそのまま当てはまるからです。
数字を扱う以上、間違えれば人の判断を誤らせます
ここは、この仕事の重さに関わる部分です。
私たちは公開している数字を、前提から計算し直して本文と突き合わせる検査を、自動で走らせています。誤りが入れば、公開の前に止まります。
なぜここまでするかというと、私たちの仕事は「数字を作る仕事」だからです。お客様の申告の基礎になるデータを扱い、経営判断の材料になる数字を出します。間違えれば、人の判断を誤らせます。
正確であることに執着できるかどうかは、この仕事の適性そのものです。
AI が計算し、人が意味を考えます
「計算なら AI がやるのでは」と思われるかもしれません。実際、その通りです。
集計や仕訳の下書きは AI 側の仕事になりつつあります。では人は何をするのか。
この数字が何を意味するのかを考える仕事です。
- 原価率が 3 ポイント上がった。仕入価格の問題か、廃棄が増えたのか、メニュー構成が変わったのか
- 客数は横ばいだが客単価が落ちた。何が起きているのか
- 数字上は黒字だが、資金繰りは苦しい。なぜか
こうした問いに答えるには、数字の背後にある現場を想像する力が要ります。ここは AI に渡せません。
社長の隣で、AI と一緒に経営を学ぶ
社長の松隈は公認会計士で、監査法人・PwC での M&A を経て、3,000 億円規模のファンドを運用したのち、2015 年にリディッシュを創業しました。いまは社長自身が AI と一緒に、会社の業務システムを毎日作り、動かしています。この 30 日で、社内システムの本体に取り込んだ変更は 3,712 件です。
少人数の会社なので、新卒でも経営の定例に座り、社長が判断する理由をその場で聞けます。PL の読み方も、AI の使い方も、教科書ではなく社長の隣で身につけていきます。
「仕組みを作る」とは、具体的にこういうことです
数字を読むだけでは仕事になりません。読んだ結果を、次から誰がやっても同じようにできる形に変える。それがこの会社での「仕組みを作る」という言葉の中身です。
業務標準化を担当しているメンバーは、2025 年のインタビューで、着手の順序をこう話しています。
ヒアリングを起点に、聞いた内容を構造的に整理してフロー図を構築、その後プロセスごとの目的と完了条件を明らかにすることで、業務理解をするように意識しております。
「目的」と「完了条件」を先に決める。ここが曖昧なまま手を動かすと、作った仕組みが使われずに終わります。
いまは、ここに AI が加わっています。たとえばヒアリングの後のマニュアルづくりは、ヒアリングの文字起こしを決まった形式に入れて AI が下書きを作り、人が最後に確かめます。
1 日の流れ
経営企画室に新卒で配属されたメンバーの、ふつうの 1 日です。
| やっていること | |
|---|---|
| 出社・朝のリード定例/チーム朝会 | 現状と今日やること、昨日までの成果を共有する。連携が必要な部分の要請や、確認したいことの質問をする |
| お客様との面談・アライアンス先との打ち合わせ | お客様との面談や、提携先(アライアンス先)の企業との打ち合わせに出る |
| 昼食 | メンバーでランチに行くこともあれば、コンビニで買ってオフィスで食べることも |
| 資料作成 | 社内への提案に向けて資料を作る。AI を使いながら、伝わりやすいスライドの作り方や構成について、社長や上司からフィードバックをもらいながら進める |
| 退社 | その日の振り返りを KPT(続けること・困ったこと・次に試すこと)の形で書いてから退社する |
最後の行が、この会社の特徴かもしれません。振り返りを書いて終えるのが 1 日の締めです。
本人は入社の経緯をこう話しています。
学生時代から自分でお店を間借りして夜カフェを運営しており、飲食業に対する情熱と実践経験を持っています。(中略)若手の意見を積極的に取り入れる開放的な姿勢や、小規模ベンチャーならではの一人一人の働きが会社に大きく影響を与えられる環境に魅力を感じたのです。
大変なところ
良い面だけをお伝えするつもりはありません。実際に働いているメンバーが「困った」と答えた内容を、そのまま載せます。
決まっていないことが多い。
「決まっていないことの多さとその優先度づけ」「ガラパゴス化された業務への適応と標準化」には困りました。良い意味でも悪い意味でも発展途上なので、日々問題は発生し、To-Be 像を描くと GAP だらけの状態だと思います。
整った環境で決められた仕事をしたい方には、正直に申し上げて向きません。
そしてもうひとつ、扱う数字の意味が分かるまでには時間がかかります。PL を見て「ここがおかしい」と気づけるようになるには、何十件も見る必要があります。最初の数か月は、意味が分からないまま数字に触れる期間になります。
応募をご検討いただける方へ
飲食への関心は必須ではありません。数字の背後を考えることに関心がある方に向いている仕事です。




