【飲食店開業】青色申告と白色申告の違いとは?開業前に知っておきたい基礎知識とメリット

【飲食店開業】青色申告と白色申告の違いとは?開業前に知っておきたい基礎知識とメリット

飲食店の開業準備を進めている方や、オープンして間もないオーナー様からよくいただくのが、確定申告に関するご相談です。

「青色申告と白色申告って何が違うの?」 「どちらを選べばいいか分からない……」

初めてご自身で事業を立ち上げる場合、聞き慣れない税務用語に戸惑うことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、個人事業主として飲食店を開業する際に知っておくべき「青色申告」と「白色申告」の違いや、飲食店が青色申告を選ぶべき理由・メリットについて分かりやすく解説します。

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。


1. 青色申告と白色申告の基本的な違い

個人事業主が飲食店を経営する場合、1年間の売上や仕入れ、人件費などの経費を計算して毎年「確定申告」を行います。申告方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

ざっくりまとめると、両者には以下のような違いがあります。

  • 青色申告:一定水準の帳簿を作成・保存する代わりに、手厚い税制上の優遇措置(節税メリット)が受けられる申告方法
  • 白色申告:事前の特別な届出が不要で比較的シンプルだが、税制上の優遇措置が少ない申告方法

以前は「帳簿付けが面倒だから白色申告にする」という選択もありましたが、現在は白色申告であっても帳簿の作成と保存が義務化されています。

同じように帳簿を作成する必要があるため、事業として長く続けるなら、税制メリットの大きい青色申告を選ぶのが一般的な考え方です。


2. 飲食店が青色申告を選ぶ4つの大きなメリット

特に飲食業界は開業時の初期費用が大きく、家族経営のケースも多いため、青色申告の優遇措置と非常に相性が良い業種です。具体的には以下のようなメリットがあります。

① 最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられる

青色申告の要件を満たすことで、所得金額(利益)から最大65万円(または55万円・10万円)を控除できます。 最大65万円の控除を受けるには、①複式簿記で記帳する、②貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する、③期限内にe-Taxで申告する(または優良な電子帳簿の要件を満たして保存する)、といった要件があります。会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても対応しやすくなりますが、最初の設定や勘定科目の判断に迷う方も多いため、開業時に専門家と一緒に仕組みを整えておくと安心です。

税金は控除後の利益をもとに計算されるため、所得税や住民税などの税負担を大幅に軽減できます。資金を手元に残したい開業初期には非常に大きな魅力です。たとえば課税所得が300万円前後(所得税率10%)の方の場合、65万円の控除によって、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税をあわせて年間およそ13万円の負担が軽くなる計算です。国民健康保険料も所得をもとに決まるため、あわせて下がる場合があります。

② 開業初期の「赤字(純損失)」を最長3年間繰り越せる

飲食店の開業時には、内装工事費、厨房機器・什器備品の購入、広告宣伝費など多額の初期費用が発生します。そのため、初年度は赤字になるケースも少なくありません。 青色申告であれば、初年度に出た赤字を翌年以降(最長3年間)に繰り越し、翌年以降の黒字(利益)と相殺することができます。黒字化した年の税金を抑えられる心強い制度です。 なお、繰越控除を受けるには、赤字が出た年に青色申告をし、その後も毎年続けて確定申告をする必要があります。

③ 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)

白色申告では家族への給与は「事業専従者控除」(配偶者は最大86万円、その他の家族は1人あたり最大50万円)にとどまりますが、青色申告なら事前に届出書を提出することで、事業専従者(一緒に働く配偶者や親族など)に適正額支払った給与を全額経費(必要経費)として計上できます。 ご夫婦や親子でお店を切り盛りすることが多い飲食店にとって、大きな節税効果が期待できます。 ただし、専従者給与を受け取るご家族は配偶者控除・扶養控除の対象外になります。また、年に6か月を超えて店舗運営に専従していること、給与額が届出書に記載した金額の範囲内で、労務の対価として適正であることが条件です。

④ 40万円未満の設備投資を一括で経費計上できる

飲食店では、POSレジ、タブレット、PC、小型の厨房機器など、10万〜40万円未満の機器類を購入する機会が多くあります。 通常は減価償却として何年かに分けて経費化しますが、青色申告の特例(中小企業者の少額減価償却資産の特例)を活用すれば、取得価額40万円未満の備品を、年間合計300万円まで一括でその年の経費に計上できます(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満が対象)。


3. 青色申告は「経営数字の管理」や「資金調達・融資」にも直結する

青色申告のメリットは単なる節税だけにとどまりません。日々の仕入れや売上、経費を正確に記録することで、以下のような経営基盤の強化につながります。

  • リアルタイムな店舗状況の把握:原価率は適正か、利益がどれくらい残っているか、手元資金に余裕があるかを常に可視化できます。
  • 融資や追加融資がスムーズになる:日本政策金融公庫などの創業融資や、2店舗目出店に向けた追加融資を検討する際、金融機関は「経営数字を正確に管理・把握できているか」を重視します。きちんとした帳簿を作成していることは、金融機関からの信用獲得に直結します。

青色申告に取り組むことは、「飲食店として長く生き残るための数字管理の仕組みづくり」でもあるのです。


4. 白色申告を選ぶ場合の注意点

白色申告は事前申請の手続きが不要という気軽さはあるものの、前述の通り現在は帳簿付けの義務があります。

「記帳の手間は発生するのに、税制上の優遇(特別控除や赤字繰越など)は受けられない」という状態になってしまうため、事業として飲食店を運営していくのであれば、最初から青色申告を見据えて準備を進めることを強くおすすめします。


5. 青色申告を始めるための準備

青色申告のメリットを受けるには、開業前後にいくつかの準備が必要です。「難しそう」と感じる方も多い部分ですが、やることを整理すると次の3つです。

① 期限内に届出書を提出する

青色申告を始めるには、税務署へ青色申告承認申請書を提出します。期限は、その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内、1月15日以前に開業した場合はその年の3月15日までです。ご家族に給与を支払う予定がある場合は、青色事業専従者給与に関する届出書も同じ期限までに提出します。開業届と一緒に提出しておくと、出し忘れを防げます。

② 会計ソフトとe-Taxを前提に記帳の仕組みをつくる

2027年分からは制度が見直され、e-Taxでの期限内申告が65万円控除の必須要件となり、さらに優良な電子帳簿の要件を満たして保存すると75万円の控除が受けられます(55万円の控除は廃止)。これから開業する方は、最初から会計ソフトとe-Taxを前提に準備しておくと有利です。飲食店は仕入れや消耗品の購入など毎日多くの取引が発生するので、ため込まずに記録する習慣をつけることが、原価率や手元資金をリアルタイムで把握することにもつながります。

③ 設備投資の時期を計画しておく

POSレジや厨房機器などの設備は、少額減価償却資産の特例(40万円未満)を使えるかどうかで、その年の経費が大きく変わります。購入する設備と時期は、開業資金の計画とあわせて早めに考えておきましょう。

会計ソフトの初期設定や勘定科目の判断、専従者給与の金額の決め方などは、最初に迷いやすいポイントです。開業準備の段階で専門家と一緒に仕組みを整えておくと、その後の記帳や申告がぐっと楽になります。


6. まとめ:開業前から青色申告の準備を進めよう

飲食店の開業準備中は、物件探し、内装工事、メニュー開発、スタッフ採用などに追われ、確定申告や税務の準備は後回しになりがちです。

しかし、青色申告の特典を活用するためにはその年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内、1月15日以前に開業した場合はその年の3月15日までに、税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があるなど、期限が定められています。

オープンしてから「知らなかった……」と後悔しないよう、早い段階から帳簿付けの流れを把握し、準備を進めておきましょう。

REDISHでは、飲食店の開業準備から日々の税務・会計管理、資金調達までトータルでサポートを行っています。「自分のお店の場合はどうすべき?」「会計ソフトの選び方が分からない」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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