【飲食店オーナー必見】個人事業主が知っておくべき4つの税金と節税ポイント6選

飲食店の開業準備を進めている方や、開業したばかりのオーナー様にとって、日々の店舗運営や仕込みと並んで頭を悩ませるのが「税金と会計」の問題ではないでしょうか。
飲食店を個人事業主として経営していくうえで、しっかり利益を出し手元に資金を残すためには正しい節税の知識が欠かせません。
今回は、飲食店の個人事業主が納めるべき税金の基本と、開業初期から実践できるおすすめの節税ポイントを分かりやすく解説します。
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。税制は毎年改正されるため、実際の申告の際は最新の情報をご確認ください。
飲食店の個人事業主が納めるべき「4つの税金」
個人事業主として飲食店を経営する場合、主に以下の4つの税金を納める必要があります。まずはどのような税金がいつ発生するのかを把握しておきましょう。
(納税に備えたお金の残し方についてはこちら:売上は順調でも手元にお金がない理由とは?個人事業主のための資金管理法)
1. 所得税
1月1日から12月31日までの1年間の所得(売上から経費を差し引いたもの)から、各種の所得控除を差し引いた「課税所得」に対して課される税金です。所得が高くなるほど税率も高くなる「累進課税」の仕組みになっており、税率は5%〜45%です。翌年の2月16日から3月15日までの確定申告期間に申告・納付を行います。
2. 住民税
その年の1月1日時点でお住まいの都道府県・市区町村に対して納める地方税です(店舗の所在地ではなく、住所地で課税されます)。確定申告のデータをもとに税額が計算され、自治体から送られてくる納付書に従って納付します。年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて支払うか、6月に一括で納付します。
なお、お住まいとは別の市区町村に店舗がある場合、その店舗のある自治体からも住民税の均等割(定額部分)が課されることがあります。
3. 個人事業税
事業所得が年間290万円(事業主控除額)を超える場合に課税される地方税です。都道府県税事務所から届く通知に従って、原則として8月と11月の2回に分けて納付します。業種区分によって税率(3%〜5%)が異なり、飲食店業は第1種事業として税率5%が適用されます。
計算の際には所得税の青色申告特別控除は差し引かれないため、所得税の計算上の事業所得が290万円以下でも、個人事業税がかかる場合がある点に注意しましょう。
4. 消費税
前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に納税義務が発生します。また、前年の1月〜6月(特定期間)の課税売上高と給与等の支払額がともに1,000万円を超えた場合も、納税義務が生じます。
開業したばかりの1〜2年目は原則として免税事業者となりますが、インボイス制度に登録すると売上規模にかかわらず課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要です。免税事業者からインボイス登録をした個人事業主には、納税額を売上にかかる消費税額の2割に抑えられる「2割特例」(2026年分まで)があり、2027年分・2028年分は3割に抑えられる「3割特例」に移行します。登録するかどうかは、取引先に法人のお客様が多いかなども踏まえて判断しましょう。
そのほかに押さえておきたい税金
上記の4つに加えて、飲食店ならではの場面で関わってくる税金もあります。
- 源泉所得税
アルバイトやパートなどのスタッフを雇って給与を支払う場合、給与から所得税を差し引いて(源泉徴収して)、原則として翌月10日までに国へ納める必要があります。給与を支払う人が常時10人未満であれば、「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けることで、納付を年2回(7月10日・翌年1月20日)にまとめられます。 - 償却資産税(固定資産税)
厨房機器や冷蔵庫、テーブル・椅子、看板などの事業用の設備は「償却資産」として固定資産税の対象になります。毎年1月1日時点で所有している資産を、1月31日までに店舗のある市区町村へ申告します。課税標準額の合計が150万円未満であれば課税されませんが、申告は求められます。 - 印紙税
宴会や貸切などで5万円以上の代金を受け取り、手書きの領収書を発行する場合は、200円(5万円以上100万円以下の場合)の収入印紙を貼る必要があります。クレジットカード払いで、領収書にその旨を記載した場合は不要です。
飲食店の個人事業主におすすめの節税ポイント6選
税金の仕組みを理解したら、次は手元に現金を残すための具体的な節税方法を押さえましょう。
① 青色申告の承認を受けて特典をフル活用する
確定申告には「白色申告」と「青色申告」があります。青色申告は複式簿記での記帳や決算書類の作成が必要ですが、その手間に見合う節税メリットがあります。
- 最大65万円の青色申告特別控除(2027年分からは最大75万円)
2026年分までは、複式簿記で記帳し、e-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿保存)を行うことで、所得から最大65万円を控除できます(紙で申告した場合は55万円、簡易な記帳の場合は10万円)。2027年分からは制度が見直され、e-Taxでの期限内申告が65万円控除の必須要件となり、さらに帳簿を電子帳簿保存法に沿って電子保存すると75万円の控除が受けられます。一方、55万円控除は廃止され、紙での申告は最大10万円になるため、これから開業する方は最初からe-Taxと会計ソフトでの記帳を前提に準備しておくのがおすすめです。 - 赤字(純損失)の3年間繰り越し
開業初期に赤字が出てしまった場合でも、その赤字を最長3年間繰り越し、翌年以降の黒字と相殺して税金を抑えられます。繰り越しを受けるには、赤字の年以降も毎年続けて確定申告をする必要があります。 - 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
生計を一にする15歳以上(その年の12月31日時点)の家族が、年に6か月を超えて店舗運営に専従している場合、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、届出書に記載した金額の範囲内で、労務の対価として適正な給与を経費に算入できます。なお、専従者として給与を受け取った家族は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます。
※青色申告を利用するには、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。提出期限は、1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内、すでに開業している方が翌年から青色申告に切り替える場合は、適用を受けたい年の3月15日までです。
(開業届・青色申告承認申請書の出し方についてはこちら:【飲食店開業】個人事業の「開業届」の書き方を解説!メリット・期限・書き方のポイントまとめ)
② 自宅を作業場所にするなら「家事按分」を活用する
自宅で飲食店の事務作業やメニュー開発、備品の保管などを行っている場合、家賃や水道光熱費、インターネット代などの一部を経費(家事按分)として計上できる場合があります。
たとえば、賃貸の自宅(50㎡)のうち10㎡を事務スペースや備品置き場として使っている場合、家賃の20%を経費として申告できます。税務調査で根拠を説明できるよう、間取り図のコピーや面積の計測記録をしっかり保管しておきましょう。
③ 小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、個人事業主のための「退職金積立制度」です。掛金は月額1,000円〜7万円の間で500円単位で自由に設定でき、支払った掛金の全額が所得控除の対象になります。最大で年間84万円の所得控除が受けられるため、将来の備えを作りながら節税効果を得られます。
たとえば課税所得が300万円程度(所得税率10%・住民税率10%)の方が、掛金を月7万円(年84万円)かけた場合、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税をあわせて年間約17万円の節税になる計算です。ただし、所得控除のため個人事業税は減りません。また、掛金を納めた期間が20年未満で任意解約すると、受け取れる額が掛金の合計を下回る点にも注意しましょう。
④ iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する
iDeCoは老後資金を積み立てる私的年金制度です。個人事業主の場合、月額最大6万8千円(年間最大81万6千円)まで拠出でき、掛金の全額が所得控除になります。この上限は国民年金基金や国民年金の付加保険料との合計額で、2026年12月拠出分(2027年1月引き落とし分)からは月額最大7万5千円に引き上げられます。
原則として60歳まで引き出せないため、店舗の運転資金とは分けて、無理のない掛金額に設定しましょう。小規模企業共済とあわせて活用することで、手元資金の将来設計と節税を同時に進めることが可能です。
(開業時に用意しておきたい運転資金の考え方についてはこちら:【飲食店向け】創業計画書の書き方完全ガイド!融資審査を通すポイントと業態別作成例(公認会計士監修))
⑤ ふるさと納税(寄附金控除)を活用する
自治体に寄附を行うことで返礼品が受け取れるふるさと納税も、有効な控除制度です。原則として「寄附金額−2,000円」が所得税や住民税から控除されます。個人事業主は確定申告を行うため、会社員のような「ワンストップ特例」は使えず、確定申告で寄附金控除を申告する必要があります。ご自身の所得に応じた上限額をシミュレーションしたうえで上手に活用しましょう。
⑥ 「少額減価償却資産の特例」で設備費を一度に経費にする
飲食店は、厨房機器や券売機、製氷機、冷蔵ショーケースなど、数十万円クラスの設備を買う機会が多い業種です。本来、10万円以上の設備は「減価償却」として、耐用年数に応じて数年かけて少しずつ経費にしていく必要があります。
青色申告をしている個人事業主であれば、「少額減価償却資産の特例」を使うことで、取得価額40万円未満の設備を、使い始めた年に全額経費にできます(年間の合計300万円まで)。たとえば35万円の券売機を買った場合、数年に分けずにその年の経費として計上できるため、開業初年度など利益が出た年の税負担を抑えやすくなります。
- 40万円未満が対象になるのは、2026年4月1日以降に取得した資産です(2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満が対象)
- 免税事業者の場合は、消費税込みの金額で40万円未満かどうかを判定します
- この特例で経費にした設備も、前述の償却資産税の申告対象になります
設備を購入する時期や金額によって使える制度が変わるため、開業前の設備計画の段階で確認しておくのがおすすめです。
忙しい店舗運営と会計・節税を両立するために
飲食店の経営は、仕込み、接客、メニュー開発、スタッフ管理など日々の業務が多岐にわたり、会計業務や節税対策まで手が回らないオーナー様も少なくありません。
しかし、領収書の整理や確定申告を後回しにしてしまうと、利用できるはずの控除を見落としたり、余計な税金を払ってしまうリスクがあります。
REDISHでは、飲食店の立ち上げ・店舗運営に特化した会計・税務サポートを提供しています。日々の経理の効率化から最適な節税提案まで幅広くお手伝いしておりますので、開業前後のお金の管理でお困りの際はお気軽にご相談ください。
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